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2017年7月 3日 (月)

どっちが日本で主流になるの?-KAM(カム)とCAMs(キャム)

7月1日(土曜日)、日本監査研究学会西日本部会にお招きいただき、「財務報告の適正性判断への司法の関与」なるテーマで講演をさせていただきました(私の講演がやや短かったので、30分ほど質疑応答もさせていただきました)。学会関係者の皆様、どうもお世話になりました<m(__)m>。

講演の前に統一論題に関する討論&会場との質疑応答が開催されておりましたので、(専門外の私にはかなり難しい議論でしたが)一生懸命拝聴しておりました。そして監査報告書の透明化に関する質疑を拝聴しておりましたところ、学者の皆様が「重要な監査上の課題」のことを「きゃむ」と発音されていることに気づきました。ほぼ全ての大学の先生が『きゃむ』と発音されていました。

「え?『きゃむ』?、『かむ』じゃないの?」(私の素朴な疑問)

日本監査研究学会は8年ぶりにお招きいただいたのですが、8年前も「あぐりあぽん」という言葉が統一論題の質疑応答で飛び交っているのを聴いていて「『あぐりあぽん』って何?」と近くにおられた大学の先生にお尋ねしたことがありました(笑)。⇒合意された手続(Agreed upon procedures)「なんや、そんなことも知らんのかいな?」と思われても「知ったかぶり」だけは自分で許せない性格なのです。

討論の司会をされていた学会の先生に、(討論終了後)尋ねたところ、「うーーーん、学者の世界では『きゃむ』ですかねぇ・・・アメリカでは『きゃむ』だから・・・、欧州だと『かむ』なんだけどねぇ・・・」とのお答え。私の周囲の会計士さん方は、普通に『かむ』と発言しています。たしか金融庁のHPでもKAM(監査上の主要な事項:Key Audit Matters)となっていました。米国PCAOBの提言に登場する重要な監査上の課題(CAMs:critical audit matters)と「監査報告書の透明化・長文化」を議論する中では同じ意味ですよね?(それとも若干意味が違うのでしょうか?)

いずれにしても、①東芝さんの監査意見未受領問題、②ガバナンス改革における企業と機関投資家との建設的な対話の促進、③監査の品質向上への社会的要請といった時代背景において、監査報告書の透明化は(監査という専門領域を超えて)世間の関心を集めることは間違いありません。たしかIFRSのときもいろんな読み方がありましたけど、会計監査における「期待ギャップ」を埋めるためにも、対外的な読み方をどっちかに統一したほうが良いのではないかと、老婆心ながら思った次第であります。

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コメント

日本では、国際監査基準の改正を受けて、導入の議論をしているので、当然KAMになるものと理解してました。学者の世界でCAMが一般的だとは初耳です。
なお、金融庁は、「監査報告書の透明化」と呼んでいますが、おかしなネーミングですね。
監査報告書を透明にしたら、読めなくなってしまう....というのは冗談ですが。

投稿: Beaver | 2017年7月 5日 (水) 22時18分

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