« 世間で話題の相談役・顧問の方々がこだわるCSRとは? | トップページ | 出光興産公募増資差止却下決定-どうなる即時抗告の行方? »

2017年7月18日 (火)

「これからの内部通報システム」を考える

33620333

今年前半は改正個人情報保護法の解説本がたくさん出版されましたが、後半は内部通報制度・公益通報者保護制度に関する解説本がいくつか出版されるようですね。公益通報者保護法の改正審議はまだまだこれからですが、11年ぶりに民間事業者向けガイドライン、(労働者通報に関する)行政機関向けガイドラインが改訂されたこともありまして、こちらもたいへんタイムリーな解説書に仕上がっています。

これからの内部通報システム(2017年7月 中原・結城・横瀬著 金融財政事情研究会 2,600円税別)

ちなみにジュンク堂さんの「おすすめ」コメントによりますと、

「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を詳細に解説。通報窓口を受託している民間事業者や先進的企業の取組も紹介し、これからの内部通報システムの在り方を提言。民間事業者必読の1冊。

だそうであります。以下はご献本いただいた私の感想です。

これまでの内部通報制度に関する解説書で何度も解説されているところは思い切って簡素化し、その分を民間事業者向けガイドラインの解説、そして関係者からのインタビュー記事に重点を置いているのが本書の第1の特徴です。この類の共著の解説書は、机上で情報を収集することに重きを置きたくなるのですが、多くの有識者、コンサルタント会社、民間事業者から直接ヒアリングをして、その結果を丁寧にまとめ上げるという、かなり「しんどい」作業が行われています(ヒアリングや録取内容のまとめ、構成は3名で分担されたものと思われます)。したがって、読者もおそらく新鮮な情報に触れることができるはずです。

不肖私も、本書では有識者(?)のひとりとしてヒアリングを受けまして、「山口利昭弁護士に聞く(74頁以下)」として私のインタビュー記事が掲載されています(民間事業者ガイドラインの解説部分に、何度かこのインタビュー記事が引用されていますので、責任重大ですね・・・(^^; )。作業の一端を垣間見ておりますので、上記のようなご苦労も推察できます。個人的にはやはり民間事業者の方々のインタビュー記事がとても参考になりました。

さてもうひとつの特徴は、タイトルどおり「これからの内部通報システム」を読者の皆様へ提案している点です。私も「いつかやっておこう」と思っていたのですが(結局、まだやらないうちに先を越されたわけですが)、改訂された民間事業者ガイドラインの各項目と、消費者庁が示したレベル感(やっておくべき⇒やったほうがいい⇒やってみてもいいかも)を上手に整理した図表を活用して、それぞれの事業者の規模に合わせて内部通報システムの適切な導入・運用を提案しておられます。これは正直フリーライドしたくなりますし(笑)、私自身の通報窓口業務にもそのまま参考になりそうですね。

「異論のあるところだが、内部通報義務を規程に明記することも検討すべき」といった積極的な提案も、その理由を含めて示されています(ちなみに、私は通報義務についてはやや懐疑的ですが・・・笑)。こういった専門家の積極的な意見による提案は企業実務家の皆様にもウケるのではないでしょうか。

諸事情ございまして(笑)、当ブログでは加計学園問題へのコメントは控えておりましたが、文部科学省の一連の文書提出により、公益通報者保護制度への国民的関心が(良い意味でも悪い意味でも)高まったのは間違いないところかと。 行政のことですから、関係各省庁の人事異動で公益通報者保護法の改正審議がどうなるのかやや未知数なところもありますが、私も様々な意見発信を通して法改正に向けた審議に何らかの形で関与していければ、と思っております。そのためにもぜひ本書を参考にさせていただきます。

7月 18, 2017 本のご紹介 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104680/65547380

この記事へのトラックバック一覧です: 「これからの内部通報システム」を考える:

コメント

山口先生がおっしゃるとおり、「公益通報者保護制度への国民的関心が高まったのは間違いない」と思います。
朝日新聞編集委員で消費者庁の「公益通報制度に関する意見聴取(2014年)」にも参加された奥山俊宏様も、6月30日の紙面や直近のWEBRONZA(言論サイト)で、公益通報について書かれています。
山口先生や奥山様、有識者の方々が、法改正に向けて様々な御発信をされているのは心強いことです。
私が、事業者に通報し、コンプライアンス部門と面談した際に「社長、社外取締役、社外監査役に不正事案について発信している(実際には手紙で通報していたのですが)」と話したところ、「あなた、発信してるんですか!」と侮辱するように言われたことがあり、理不尽な扱われ方がトラウマになっています。
有識者ではないから「非常識者」と暗示をかけられ、経営者への通報を無視されそうになった経緯を、当該事業者経営陣、監督省庁、法律を所管する消費者庁に、真摯に丁寧に説明してゆこうと思います。
そもそも、この経営者が私の手紙を読んだのか?コンプライアンス部門が隠したのか?それも不明で、そこから検証する必要がありそうです。

投稿: 試行錯誤者 | 2017年7月18日 (火) 20時15分

コメントを書く