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2017年7月12日 (水)

コーポレートガバナンス改革の実効性の検証方法について考える

先日のエフ・オー・アイ事件のときもそうでしたが、このたびの出光興産さんの公募増資に係る差止仮処分事件には、ほとんどの東京の大手法律事務所がどこかの関係当事者の代理人を務めておられるので、なんとも情報が出てきませんね(笑)。裁判の審理はいまどのあたりでしょうかね?(^^;; 要急案件なので、創業家側が申立をしたらすぐに審理(審尋手続き)は開始されていると思うので、双方の即時抗告、保全抗告の機会を考えますと、今週後半には決定が出てもおかしくないと思うのですが(東京地裁の商事専門部が審理をしますので、もう実質的にはそこで一発勝負ということであれば来週18日ころ、ということも考えられますが・・・、どうなんでしょう?)。

ところで最近、監査等委員会設置会社の急増だけでなく、取締役に選任されていない「社長執行役員」やインセンティブ報酬に関する議論などもされるようになり、ガバナンス改革の具体的な実践例などもよく話題になります。そうなると、やはり気になるのが「ガバナンス改革は成功した、と判断する検証方法ってどんなものなんだろうか?」という点です。

たとえばガバナンス・コードを実施することで、株主目線で経営するようになり、その結果として業績が向上した、もしくはROE向上を意識したことで株価が上がり、時価総額が上がったということが検証されるということが考えられます。つまり、ガバナンス・コードという「上場会社すべてにおいて『こうすれば業績が上がる』という魔法の指針があって、これを実施すれば業績も上がる」というストーリーの検証をすることが必要なのでしょうか?本家本元のOECD原則だと、こういった検証になるのでしょうか?

しかし、取締役会改革の流れをみてみると、ダイバーシティや執行と監督の分離、といった主題があって、その流れをつきつめていくと、同じ経営環境でも成功する企業も出て来れば失敗する企業も出てくる、最終的に成功した企業がその業界でたくましく成長して、失敗した企業を統合していって最終的には国際的に競争できる企業に成長する、ということを目指しているようにも思えます。つまりミクロ的に見れば、ガバナンス・コードを実施した結果として業績が下がってしまう企業が多く出てきたとしても、業界全体をマクロとして日本企業の業績が上がっていれば成功とみる、という検証方法もありかな・・・と。

いろんな経営者の方とガバナンス改革のお話をしていて、行き着く先への思いが前者として考えておられる方と、後者として考えておられる方と分かれているように思いました。まぁ、そんなことどうでもいい、といった「なんちゃってコンプライ」の上場会社の社長さんもけっこういらっしゃるようではありますが・・・(^^;

7月 12, 2017 コーポレートガバナンス関連 |

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コメント

山口先生 - ご無沙汰しております。いつも有難うございます。コードをもともと提案した人としてこう書くのは恥ずかしいほどですが、コード自体がどれほど機能しているかを検証することはとても難しいです。しかし、企業のCGプラクティスおよび関連行動のどれが優れた業績と相関性が高いのかを分析できます。BDTIとMETRICALが共同で行ったこの調査研究はその例です。以下は、一部の結果であります:https://bdti.or.jp/2017/04/08/jwhatcrorrel/
もっと面白い結果もありますので、ご興味がある方はinfo@bdti.or.jp までメールください。今後、このような分析をTSE1の全企業に広げたいと思っていますが、TSEのCG報告書のXBRLデータフォーマットに大きいな問題があるので、とても時間がかかります。(その問題は直しやすいはずですが、、、。)

投稿: ニコラス・ベネシュ | 2017年7月12日 (水) 10時12分

創業家の申立却下、ということになりましたね。だいたいそんな雰囲気が漂っていましたよね。EBITDAからみれば、増資の必要性はそれほど高くなくて、借入融資ということもありかな、と思っていましたが。

投稿: unknown1 | 2017年7月18日 (火) 12時29分

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