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2017年8月15日 (火)

DeNA社「MERY」再開-誠実な企業は早期によみがえる

皆様、お盆休みをいかがお過ごしでしょうか。本日(8月14日)の日経WEBニュースでは、富士フイルムさんの取締役の方が「会計不祥事によるグループ業績への影響は一時的なものに過ぎない」と回答しておられました。グループの業績は好調ですし、ゼロックス社豪州子会社のガバナンスも一新されたそうで、そのようなご発言になるものと思います。ただ、果たして不祥事を再発させない組織風土が短期間に構築できるかどうかは別問題ですね。

先週木曜日(8月10日)の日経朝刊14面に「女性向けサイトMERY再開へ-DeNA見切り発車」と題する記事が掲載されており、DeNAさんのキュレーション事業のひとつである「MERY」が小学館さんとの共同事業で再開することが報じられています。記事では、キュレーションサイト事業への社会的批判が残るものの、若い女性から早く再開してほしいとの要望が強かったことが再開の要因と記されています。しかし私は別の見方をしています。今年3月21日、私は「DeNAキュレーション問題-この不祥事を事前に止めることはできたか?」なるエントリーにて、第三者委員会報告書の全文を読んだ感想として、以下のように述べておりました。

今回、報告書全文を読んで、他社のコンプライアンス経営に最も参考になると思われるのが、DeNAグループの運営する10のキュレーションサイトのビジネスモデル、管理体制に関する比較です。ペロリ社が運営するサイト「MERY」の社長さんはDeNAの経営トップの意見を聞かず、グループ内で独自路線を貫いたからこそ高収益を上げていたのですね。もし親会社の経営トップの指示に従っていたら、おそらく業績は上がっていなかったと思われます(私個人の意見としては、この「MERY」だけはキュレーションサイトとして今後早めに再開されるのではないか、と予想しています)。調査報告書を読むと、「MERY」に対する解説部分が一番わかりやすいのです。おそらくこれはMERYの責任者の第三者委員会に対する協力姿勢が報告書の解説記述に反映されているものと推測されます。これはグループ企業の内部統制を考えるにあたり、また、今後のキュレーション事業の展開を考えるにあたり、とても示唆に富む比較です。なお、上記図表は私なりのイメージで比較したものであり、作成責任は私にあります。

Dna02

参考のために、作図についても再掲しております。

やはりMERYを担当しておられたDeNA買収以前の経営者の方(ペロリ社の創業者)が、組織作りをしっかりされていたことが一番の再開要因ではないかと思います。小学館さんも「この人が責任者なら信頼できる」といった確信があるからこそ共同事業に乗り出すのではないでしょうか。つまり、企業不祥事から早期に立ち直れるかどうかは、有事の危機対応による「付け焼刃」的なリスク管理ではなく、不祥事発覚までの平時の組織風土次第ではないかと思います(先日ご紹介したペッパーランチ社の例とよく似ています)。コンプライアンスも事業戦略と一体ですね。

富士フイルムさんでも、競争社会における株式会社である以上、これからも間違いなく一次不祥事は発生します。ただ、その一次不祥事を(マスコミが大好きな)二次不祥事に発展させないためにはどうすべきか・・・、その二次不祥事を防止するための組織風土をどのように構築すべきかが、「業績に対する不祥事の影響」を軽微にするためのポイントです。

8月 15, 2017 コンプライアンス経営 |

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