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2017年8月10日 (木)

究極の危機管理-平時の信頼関係と共助の精神が危機を救う

上場会社の取締役さんの個別報酬はいったい誰が決めているのか・・・。もし社長さんが決めているのであれば、それは「ガバナンス改革」が要請している取締役会の監督機能強化に反するのではないか・・・、といった議論が法制審で真剣に交わされているようですね(実務でもインセンティブ報酬の設計を巡って、とても盛り上がっている論点です)。社長への再一任の開示規制問題も含めて、おそらく監査等委員会や任意の報酬諮問委員会の役割といったことが、今後真剣に上場会社で検討される時代が来るように思われます(以下、本題です)。

日経ビジネスの最新号(8月7日、14日合併号)の特集「挫折力-実録8社の復活劇」は力作の特集記事に仕上がっていて、たいへん読み応えのあるものでした。三菱自動車のCEO益子修氏への単独インタビュー記事も、何度も不祥事を繰り返していた企業の経営トップが何を考えておられたのか、という点に光を当てて、とても興味深いところです。

企業不祥事からの復活をかけて奮闘した企業のなかで、私がとても感銘を受けたのはペッパーランチさんとゼンショーさんでした。私は(関西には店舗も少ないということからか)「いきなり!ステーキ」で食事をしたことはありませんが、ペッパーランチさんの運営店舗とは知りませんでした。いずれの企業の不祥事も、過去にこのブログでも取り上げたことがあります。

ペッパーランチさんは、あの「鬼畜企業」とまで評された女性暴行事件とその後の食中毒事件が会社の危機を招きました。同じ食中毒事件でも、なぜ大きく取り上げられる企業とそうでない企業があるかと言えば、その「前振り」になる別の不祥事が世間から消えないから・・・ということだと思います。ただ、倒産直前まで落ち込んだペッパー社が回復できたのは、多くの取引先が「あの社長なら復活させることができる」として、取引を継続してくれたからとのことで、まさに平時の信頼関係があったからだそうです。平時の信頼関係こそ究極の危機管理ですね。

そしてゼンショーさんの例では、同社のビジネスモデルだった「ワンオペ」を捨てて、「ツーオペ」を断行したときに、組織が変わったそうです。地域ごとに店舗間での関係が緊密になり、困ったときには「助けて」と言える組織に変わったそうです。私はパワハラを発生させない組織として「共助の精神」が不可欠と考えていますが、組織において「共助の精神」があれば、たとえ不祥事が発生したとしても自浄能力は発揮でき、大きな危機を回避できる場合が多いと思います。

これらの企業にはカリスマ経営者が存在し、カリスマ経営者が動くことによって、社員も本気で復活に取組むことができたのかもしれません。ただ、このような復活劇の背景には組織の頑張りがあったはずで、その頑張りを喚起したストーリーがあります。ペッパーランチ社の場合は社長自らが取引先一軒一軒に頭を下げて回ったということであり、ゼンショーさんの場合は久保利弁護士を委員長とする第三者委員会の設置(とその結果としての驚愕の報告書)です。いずれも組織を変えたいという経営者の意思が明確に社員に伝わるストーリー性があります。

このようなストーリーを企業不祥事という「修羅場、土壇場、正念場」において、どのように従業員の方々に発信できるのか・・・、これはカリスマ経営者ではなくても、危機に臨んだ経営トップが示すことはできるのではないでしょうか。

8月 10, 2017 コンプライアンス経営 |

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