« 東芝の臨時株主総会-監査委員会の修羅場・土壇場・正念場? | トップページ | 全社的リスクマネジメント-これだけやれば及第点 »

2017年9月 4日 (月)

平成28年度の優れた第三者委員会報告書表彰について

(9月4日 12時20分更新)

企業不祥事発覚時に設置される第三者委員会報告書の品質の維持・向上を図ることを目的として、社会的に話題となった第三者委員会の格付けを行う任意の団体として第三者委員会報告書格付け委員会というものがあることはご存知の方もいらっしゃると思います。

そういえば東芝さんの第三者委員会報告書が世に出たとき、この格付け委員会の3名の委員から「不合格」認定が出され、私などは「いやいや、この報告書によって歴代3社長が辞任したではないか。ずいぶんと厳しすぎる判定だなぁ」と思いました。しかしながら、WHののれんの減損問題が発覚し、本当は債務超過隠しのためではなかったのか、といった意見が当たり前のように語られている現状からしますと、委員の方々の慧眼であったことは否定できません。

このように、格付け委員会の主な活動は、話題となった企業不祥事の際に公表される第三者委員会報告書をA~Fの7段階で格付け評価を行い、とりわけ厳しい意見を付するというところに特色があります。ただ、この委員会には別の委員が「こんな優れた第三者委員会報告書も世に出ていますよ。今後の参考にされてはいかがでしょうか」といった趣旨で、第三者委員会の秀作を審議をもって選定する部会もあります。

私もこの「優れた第三者委員会報告書表彰委員会」の一委員を務めておりますが、8月28日に上記格付け委員会のHPにて、平成28年に作成された第三者委員会報告書の中から1点、該当作が決定したことを公表しました。委員のほぼ満場一致でテクノメディカ社の第三者委員会報告書が選定されました。会計不正事例が中心ですが、候補作17点のなかから、最終的には高田工業所事例、住江織物事例との3点に絞られました。そして最後に委員の圧倒的な支持を得たのが上記テクノメディカ社事例に関するものでした。

選定に至った理由等は、上記HPに詳しく示されていますので、そちらを参照いただきたいのですが、やはり第三者委員会が会社から依頼された事項にこだわらず、不祥事の全容解明に努めることは重要ですし、また原因究明にあたっては、ガバナンスの問題にまでさかのぼり、人の問題だけでなく、組織としての構造的な欠陥にも目を向ける必要があると痛感します。

当事会社にとっては不祥事を起こしたことは残念であり悔しいかもしれませんが、そういったガバナンスの問題にまで踏み込んで原因を究明することで、ようやく組織のひとりひとりがお互いに弱みを見せ合えるような雰囲気が組織に芽生えるのではないでしょうか。効率的な経営を目指すガバナンス、攻めのガバナンスが強調されればされるほど、組織の共助の精神が重要と考えるところです。

追記:本日の日経法務面に「優れた第三者委員会表彰制度」に関する記事が掲載されました。

 

9月 4, 2017 独立第三者委員会 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104680/65747742

この記事へのトラックバック一覧です: 平成28年度の優れた第三者委員会報告書表彰について:

コメント

受賞作品の最後が印象的です。
「TMC の対応は,不祥事対応プリンシプルの考え方に真っ向から反するものであり,不祥事の根本的な原因解明こそがステークホルダーからの信頼の回復及び 企業価値の再生に資することに鑑みれば,極めて遺憾である。」

そもそも不祥事対応プリンシプルを理解している経営陣ならば、会計不正を主導しないだろうと感じたのは、穿った見方かもしれません。

表彰対象となった調査報告書に対する各委員の先生のコメント には、下記のようにコメントされておりました、
「* 会社側が調査に極めて非協力的で虚偽説明が多かったことを明確に記述している。そのような 中でトップである会長の関与を明確にしている点は非常に大きな成果である 。」

任意調査では相当困難と誰もが認めるところであれば、制度に無理があるのではないでしょうか。経営トップが関与している可能性があれば、速やかにSESCが強制調査に入るなり、第三者委員会の調査にSESCが立会うなど、規制の実効性向上が必要なのでは?と思ってしまいます。オリンパス、東芝など本気で事実を隠そうとする会社にとって、現在の規制では生ぬるいのでしょう。
第三者委員会報告書が発表された翌年3月に同社は元取締役による横領171百万円が開示されていました。せっかくの諫言も当該会社の経営陣には響かなかったか、響いたから横領事案が判明したのか気になるところです。

投稿: たか | 2017年9月 5日 (火) 23時52分

現在の取締役CFOが前人事部長同様の電力畑だったり(OB重視の東芝でこの意味がデカイ気がする)
第三者委員会に当時の社外で経営学者の伊丹氏同様に一橋大出身者の弁護士が混じっていたり

東芝の社外に経営学協会理事でもある人事部長殿と同じく経営学協会理事であるアサヒ社長の先輩のアサヒ相談役混じってるわ

これまでの人事草案に関与している人事部長殿は未だに専務代表執行役なので、業務執行と経営が分離されている指名委員会等設置会社的においては業務執行の権限的に全くダメージになってない状況からして

人事部が黒に近いグレーの東芝の第三者委員会報告書に不合格認定だした委員会の3名の委員は正しいとしか思えません。

投稿: 中国不良債権問題秒読み | 2017年9月14日 (木) 22時22分

平成28年度の優れた第三者委員会報告書として表彰されたテクノメディカ社の第三者委員会報告書の事案は、元代表取締役だったお一人を相手に第三者委員会設置費用などとして5億83百万円を請求するようですね。

テクノメディカ、当社元代表取締役に対する損害賠償請求に関するお知らせ(15日)
https://wp.shojihomu.co.jp/archives/9703
第三者委員会の設置や過年度決算の訂正等に要した費用については、決算訂正が必要とな った事業年度において当社の代表取締役を務めた元代表取締役の任務懈怠により生じた損害であるも のと判断し、当社は同氏に対し、これらの損害の一部として金員 583,029,842 円および民法所定の遅 延損害金を請求することといたしました。


テクノメディカ、当社元取締役に対する損害賠償請求訴訟および判決に関するお知らせ(15日)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171115419376.pdf

投稿: TK | 2017年11月16日 (木) 23時02分

コメントを書く