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2017年10月22日 (日)

日産自動車不正検査問題-やはり内部告発が端緒だった・・・

日曜日ですが、備忘録を兼ねて短めのエントリーをひとつ。FNNニュースですでにご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の日産自動車さんの不正検査(無資格者による最終検査)問題について国交省の抜き打ち検査が行われたのは、その数か月前に国交省に内部告発(社内からの情報提供)がなされていたことによるものだそうです。日産自動車の件では、初めて内部告発の存在が明らかになりました。つまり、従業員の方の内部告発がなければ、日産さんは今も平穏無事に(?)無資格者による最終審査を継続しており、新型リーフによる新たな事業戦略がマスコミで華やかに取り上げられていたことになります。

日産さんは当初、「本件について内部通報や告発があったものではない」と発表していました。ただ、私の前回のエントリーの最後のところで述べたとおり、実際には内部告発で発覚したということで、しかも監督官庁がマスコミに漏らした・・・ということなので、日産さんと監督官庁との信頼関係はかなり破たんしていることがわかります。再発防止策を実施したと監督官庁に報告していながら、実はその後も無資格検査が続いていたことが判明したので、日産さんとしては国交省のメンツをつぶしてしまったことになります(これは有事対応としては最悪のパターンです)。

ここからはまた私の推測ですが、従業員の方がいきなり内部告発に至ったとは思えません。定石通り、最初は社内へ内部通報をしたり、上司に問題提起をしておられたものと推測いたします。仮に社内通報が行われていたとなりますと、今度は「不正隠し」(もしくは情報の根詰まり)のほうが無資格検査よりも大きな不祥事として世間から批判を受けることになり、沈静化には長い時間を要することになります。これで「安全性には問題はない、といった意識から、そんなに悪いことではないと現場社員は考えていた」といった安易な企業風土論で片づけることができない不祥事であることが認識できました。

土曜日(10月21日)は、私の事務所で神戸製鋼事件に関する某新聞社の取材を受けました。ここ1週間の間に数名の方から取材を受けましたが、「監査はなぜ機能しなかったのか」といった視点から取材を受けるのは初めてでした。日産さんの件、神戸製鋼さんの件、そして商工中金さんの件、いずれにおいても「監査はなぜ機能しなかったのか」といった視点で原因を究明することは当然であり、ようやくマスコミもそこに関心を向けるようになったと感じました。神戸製鋼さんの品質データ偽装問題については、今のところ自主調査によって発見し、これを自主的に公表したとされていますが、こちらも本当に会社の発表どおりなのか、やはり第三者への情報提供があったのではないか・・・と疑問を抱くところです。

10月 22, 2017 内部通報制度 |

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コメント

山口先生 なぜ、「首を垂れて」跪いて購入者や販売店の皆さんに向けた謝罪会見を行わないのか不思議でなりません。危機管理のプロがひかえておられると思うのですが?タクシー・ハイヤー業界でも、名指しでこのメーカーの車両の配車をしないでくれと言われると・・・。テレビでガンガン流れる広告も、耳障りに感じます。2ヶ月ほどのメデイア自粛が妥当かと?なんか、このざらざらした感覚は理解できないのですが?

投稿: サンダース | 2017年10月22日 (日) 23時11分

極めて深刻な事態と云わざるを得ません。

(完成)検査が正しく行われているか否かということを、内部監査人であれ会計監査人であれ、検査手順と検査数値をデータや書面、ヒヤリングで確認するだけでは見抜くことは極めて困難であることが分かってしまったからです。一切の信頼を失ってしまったというのはそういうことです。

監査人自らが一定回数以上検査を行って、検査数値とほぼ一致するかどうかを確認する必要が出てきました。しかし、これは監査人に検査者と同等レベルの技能がなければできないわけです。凄まじい手間と暇(金銭的な負担と時間)が掛かることになりますが、それなくして国際的な信用回復は不可能でしょう。

そのことと、企業ぐるみで永年行われてきた不正の風土を改めるということはまた別次元の問題です。

商工中金に関しては、もうとっくに社会的存在意義がなくなっていた、ということに尽きるでしょう。

投稿: 機野 | 2017年10月23日 (月) 17時13分

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