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2017年11月24日 (金)

三菱マテリアルグループ会社の品質偽装とアデルソンの図形

私の新刊書の帯書きではありませんが、経団連会館に本店を構える非鉄名門企業のグループ会社でも、品質データ偽装事件が発生していたそうです。神鋼さんと全く同じで取引先から要求されていた仕様に満たない品質検査結果のデータを書き換えていた、とのこと。まさに「企業不祥事はかならず起きる」。三菱マテリアルさんの23日付けリリースを読みましたが、人間模様が出ていて(失礼ながら)とても興味深い内容です。

データ偽装を行っていた一社では、神戸製鋼さんが品質データ偽装を公表した翌日から自社でも品質監査を開始され、そこで品質偽装の事実が判明したそうです。そしてもう一社では、親会社(マテリアルさん)の品質監査要求に従って実施した社内監査により、今年2月に発覚した、とのこと。同社経営陣には3月に報告されましたが、同社経営陣が親会社に報告したのが、これも神鋼さんの事件が発覚した後の10月25日だそうです。週刊エコノミストの今週号に掲載された拙稿でも述べましたが、今回の品質データ偽装については、いずれの会社でも、「公表するほどの安全性の問題はない。誠意をもって取引先に報告をして、安全が確認されれば一件落着」との思いが強かったのではないでしょうか。

こうなってきますと、「やっぱり神鋼さんは組織風土に問題があった」などと安易に語ることはできないと思います。日本を代表する名門企業のグループ会社でもマスコミから批判されるような不祥事が起きてしまう。まちがいなく、神鋼さんの不祥事を契機に品質検査(品質監査)を行った結果、同じような結果が出た企業がたくさんあるはずです。とりわけグループ会社でデータ偽装が判明した親会社の場合、(株主から業績を厳しい目で監視されている関係上)三菱マテリアルさんのように潔く公表を決断できる企業は珍しいと思います(しかし三菱マテリアルさんは昨年12月の時点で品質監査をグループに厳しく要請していたようなので、先見の明があったのでしょうかね?)。

私も一社、三菱マテリアルさんとは関係のない某社の有事対応に関わっておりますが、その会社の不正(偽装と仲間内での放置)を見ておりまして、アデルソンの図形を思い出しました。

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不祥事を起こしてしまう組織風土とアデルソンの図形との関係は、上記図の左の解説をお読みいただけると幸いです(もちろん、私の試論なので、いろんなご異論はあると思いますが)。ちなみに上の図で、私はいまでもAとBのパネルの色が同じには見えないのです。ためしにPC上でBを切り取ってAに重ねると、やっぱり同じ色なんですね。社内で常態化している作業について、たとえルール違反があったとしても、出荷を止めなければならないほど悪いことと認識するのは、現場も経営者も含めて、かなりむずかしいのではないかと。「おかしい」と口に出して言うことは、上図のような違和感(目の錯覚を認識すること)を超えることではじめて可能になると思います。

11月 24, 2017 コンプライアンス経営 |

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コメント

「監査役の目、社外(取締役)の目」に期待して、私も今週、社外取締役・監査役に改めて通報(行政通報も含めた)経緯を連絡しました。
三菱マテリアル社長がグループ会社の不正に関して謝罪会見を行いましたが、親会社たる自社の調査も迅速に行ってほしいと思います。
「企業の価値を向上させる実効的な内部通報制度」。。。通販で注文しましたので楽しみにしています。
「公益通報者保護法改正」に関しては、消費者庁、内閣府だけでなく法務省、厚生労働省、経済産業省が協働していく必要性(というか必然性)を山口先生や他の方が、御講演やシンポジウムのパネルディスカッションで熱弁されています(私はそう捉えています)。
「通報当事者」として協力・協働することを試行錯誤しています。

投稿: 試行錯誤者 | 2017年11月24日 (金) 18時28分

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