日本取引所グループ「上場会社における不祥事予防のプリンシプル(案)」について
日経新聞の日曜版(2月18日)一面で、「日本取引所グループ 企業不正防止へ指針」なるフライング記事(?)が出ておりました。その記事によりますと、日本取引所は(もうすぐ)企業不祥事予防のプリンシプル(案)を公表するそうです(おそらく、公表されるのは指針の草案なので、今後パブコメを経て正式版になるものと思います)。
ご承知のとおり「上場会社における企業不祥事対応のプリンシプル」はちょうど2年前(2016年2月)に公表されていますが、そちらは企業不祥事の発覚時、つまり有事における危機対応の指針として策定されました。会計不正発覚時の企業対応など、現在では多くの上場企業がその指針に影響を受けているのが現状です。しかし、上場会社における昨今の企業不祥事の頻発をみるに、「早めに不正の芽」を見つけ、これに対処することが(株主、投資者にとっても)重要ではないか、という考え方のもとで、取引所も不祥事予防に力点を置いたプリンシプルの策定に至ったというところかと思われます。
日経記事にもありますように、指針は6原則から構成されているようですが、各原則にはそれぞれ解説文も付されているのではないかと推測します(笑)。本指針に関する私なりの意見につきましては、また正式に草案が公表された後に当ブログでも申し上げたいと思います。ただ、原則の中には「監査・監督機関」に向けての行動規範となる指針が含まれているようですので、そのあたりについては監査役、監査等委員の皆様に(もちろん正式公表後になりますが)解説させていただきます。
なお、ここから先は本当に私の推論にすぎませんが、公表予定の「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」については、文字通りの「企業不祥事の予防」という視点だけで捉えられる内容ではないということに注意が必要かと思われます。たとえばプリンシプルに従った行動を遵守していて、不幸にして不祥事が発覚した場合にも、それなりに「(指針を遵守していれば)おいしい結果」が待ち受けているのではないかな・・・と(笑)。つまり、平時からのコンプライアンス経営への取組みが、実は有事の「危機対応」にも活きる・・・、という点をぜひとも読みとっていただければと思う次第です(いつも日本取引所の役員の皆様には「ブログで書いていただいているが、ここは間違いですよ」とご指摘いただきますので、この推論部分も間違いがあれば指摘されるかもしれません・・・笑)。
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コメント
2月23日(金)10時より開催された内閣府消費者委員会「第10回公益通報者保護専門調査会」にて、座長代理より参考資料として「上場企業における不祥事予防のプリンシプル」(案)の策定について 2018年2月21日 日本取引所自主規制法人。。。が配布されました。
原則5「グループ全体を貫く経営管理」や原則6「サプライチェーンを展望した責任感」などについて、公益通報者保護と関連した議論もありましたが、1~6の各原則について各1ページ「解説」が付されており、(不祥事につながった問題事例)なる記述もありますので、山口先生、ブログで「解説の解説」をよろしくお願いします。
【監査機関及び監督機関】については、原則2「使命感に裏付けられた職責の全う」(カッコイイな!)に書かれています。
今回の調査会では、内部通報制度、社外取締役と監査役の合議体窓口を示す(あの有名な。。。)コーポレートガバナンス・コード原則2-5、補充原則2-5についても取り上げられ、各委員の方々が準備怠りなく参加されているように感じました。
投稿: 試行錯誤者 | 2018年2月25日 (日) 22時27分