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2018年2月 2日 (金)

日本版司法取引の全容が明らかになったようです

以前、ご案内しておりましたみずほ総研さんのセミナーですが、満員御礼のうちに無事終了いたしました(正確には70名定員で66名のご聴講でした)。緊急対応の本業のため、準備不足は否めませんでしたが、ひさりぶりのオープンセミナーということで、とても頑張りました(笑)。ご参考になりましたら幸いです。

さて、諸事情ございますので、この話題には沈黙を貫こうかと思いましたが、やはりひとこと発言せざるをえません。ご承知の方もいらっしゃるとは思いますが、オリンパス社の社内弁護士の方が同社に対して訴訟を提起したことは、すでにマスコミでも報じられております。そして、週刊エコノミストのWEBニュースでは、社内弁護士の方が(提訴前に)同社の社外取締役宛に発信していた「弁護士職務基本規程51条に基づく通知書」の全文も公開されています。

ちなみに弁護士職務基本規程51条とは、

(違法行為に対する措置)
第五十一条 組織内弁護士は、その担当する職務に関し、その組織に属する者が業務上法令に違反する行為を行い、又は行おうとしている ことを知ったときは、 その者、自らが所属する部署の長又はその組織の長、取締役会若しくは理事会その他の上級機関に対する説明又は 勧告その他のその組織内における適切な措置をとらなければならない。

というものであります(日弁連の関係委員会でも、その解釈が大いに議論されているところです)。

私は本件にはコメントを出せない立場にありますので(笑)、ここで内容について私見を述べることは差し控えます。ただ、エコノミストの一連の記事に「海外贈賄事件に詳しい弁護士」のコメントが登場しており、「これは山口先生ですか?」との問い合わせをいくつか受けておりますので「これは私のコメントではありません」ということだけ本ブログで明らかにしておきたいと思います。いずれにしても、この社内弁護士の方が関係者に送ったメールや文書は、多くのオリンパス社の社員が共有しておられるようなので、これまた多くのマスコミの方々が通知文書の内容や提訴内容を知るところになったのでしょうね。

話は変わりますが、今年6月から施行されます改正刑事訴訟法の「協議・合意制度」(いわゆる日本版司法取引)ですが、「刑事訴訟法第350条の2第2項第3号の罪を定める政令」に関する政令案がパブコメに付されたようですね(詳細はこちらをご参照ください)。証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の対象となる財政経済関係犯罪として、どのような法令違反が含まれるのか注目されておりましたが、金商法、会社法、独禁法、不正競争防止法のほか、租税法、倒産関連法、知財関連法、特別贈収賄なども含むようです(ほぼ予想どおりかと)。

本日のセミナーでも具体例を出してご説明しましたが、弁護士倫理問題、公益通報者保護法との関連、社員と会社との利益相反問題など、とても悩ましい法律上の課題が山積しています。住友電工さんの株主代表訴訟(5億円を超える賠償金額で役員の方々が和解) とも関連しそうな問題だけに今年のホットな話題になりそうです。

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コメント

弁護士職務基本規程第51条(違法行為に対する措置)
「組織内弁護士は・・・組織の長、取締役会若しくは理事会その他の上級機関に対する説明又は 勧告その他のその組織内における適切な措置をとらなければ【ならない】」。。。というのは弁護士に対して相当厳しい職務態度を要求していると思います。
それに比べるとコーポレートガバナンス・コード補充原則2-5で「経営陣から独立した窓口、たとえば社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等を行う【べきであり】、通報者の秘匿、不利益扱禁止の規律を整備【すべきである】」。。。というのは義務ではない努力目標程度の甘いフレーズに見えてしまいます。
他の法律による役員の義務である「善管注意義務」「内部統制構築義務」に関しても、大株主が訴えなければ果たされないのではという懸念があります。
私は弁護士でも大株主でもありませんが、社外取締役・監査役に説明・情報共有は続けています。

投稿: 試行錯誤者 | 2018年2月 4日 (日) 22時59分

オリンパスさんは2011年の会計不祥事においてまともな第三者委員会が立ち上がらなかったことで、その後も企業価値を棄損し続けているように見えます。今回のように従業員のやむにやまれぬ行動に社外取締役や社外監査役がどのように力量を発揮するのか大変注目しております。
今回は中国事業での法務関連の問題がきっかけのようですね。オリンパスさんのHP等を拝見していて気になったのは、オリンパスさんのチーフコンプライアンスオフィサーには米国出身の方が2016年に就任されているのですが、その方は執行役員に名を連ねておらず副チーフコンプライアンスオフィサーの方が執行役員になっており、その副チーフコンプライアンスオフィサーの方がアジアパシフィックコンプライアンス担当兼オリンパスコーポレーションオブアジアパシフィックに出向兼オリンパスチャイナに出向となっています。
(ウッドフォード氏の時もウッドフォード氏に会長の菊川氏がCEOを譲ったにも関わらず実態は菊川氏が実権を握り続けたということが書籍に記載されていましたが、それとダブって見えてしまいました。)
One Olympus Report 2016 69ページ チーフコンプライアンスオフィサー
One Olympus Report 2017 25ページ チーフコンプライアンスオフィサー
会社情報役員一覧2017年6月28日現在
人事、オリンパス2017年1月1日
ロイター2015年2月 内視鏡で「スーパー耐性菌」感染、米当局は09年にリスク認識
2015年8月 ニューヨーク=共同米当局、オリンパスに警告書 耐性菌感染で報告遅れ
2015年8月に米国の病院で起きた内視鏡による薬剤耐性菌の感染事案について迅速な報告を怠った問題で感染米食品医薬品局(FDA)の監査を受け、警告書を受領。
オリンパス、米に740億円支払いで和解 反キックバック法巡り
2016年3月に米国反キックバック法等の問題で米国司法省と和解(約6億4600万ドル(約740億円、利子含む))した。

投稿: TK | 2018年2月12日 (月) 01時45分

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