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2018年3月12日 (月)

3月総会の注目点-「モノ言う株主」とSSコード

3月の定時株主総会のシーズンということもありまして、「モノ言う株主」の方々の動きが活発になってきましたね。帝国繊維、アルパイン、GMOインターネット等、5~10%を保有する機関投資家からの株主提案に、どれだけの賛同票が集まるのか注目されます(※ アルパインさんは3月総会ではありませんが・・・)。指針の改訂といったポピュレーション・アプローチだけでなく、ピンポイントで企業に狙いを定めて改革の実効性を高めようとするハイリスク・アプローチの威力がいよいよ試される時期が到来したようです。

株主提案を行っている各機関投資家が、他の株主の方々の賛同を得られるよう、提案の理由をHP等でわかりやすく解説しているのが特徴的です。スチュワードシップ・コードの改訂によって、運用機関は議決権行使結果の個別開示が求められますので、「なぜ機関投資家の提案に賛同しなかったのか」といったことも合理的に説明しなければならず、このあたりの影響を、おそらく6月総会を控えた企業も注目しているのではないでしょうか。SSコードの改訂は、「モノ言う株主」の戦術にも変化をもたらすことになりそうですね。

なかでも機関投資家の提案としては取締役の任期を1年とするための定款変更議案や株式の持ち合い解消を促すような意見表明については今後ボディブローのように効いてくるのではないかと。力ずくで株主提案をごり押しして通すのではなく、何年かかけて機関投資家の推薦する社外取締役を複数名派遣し、インサイダーで経営に共同参画する(情報の非対称性を解消する)、という手法も増えてくるものと思われます。先日の日本ペイントさんのような事例が増えてきますと、ガバナンス・コードを「形だけ」コンプライしている多くの上場会社の行動にも多大な影響が出てくるはずです。

3月の定時株主総会では、単純に株主提案が通るかどうか、ということよりも、(集団的エンゲージメントが推奨される中で)株主提案に賛同する運用機関の票がどれだけ集まるか、という点に関心を向けておきたいと思います。

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