エフオーアイ損害賠償請求訴訟の控訴審判決ほか(最近の話題)
土曜日(3月24日)の日経朝刊記事には2度驚きました。すでに当ブログでは何度も報じておりましたエフオーアイ事件の裁判ですが、控訴審判決が出て、みずほ証券さんの損害賠償責任が否定されたそうです。もうひとつのエフオーアイ裁判(エフ社の架空売上の発覚を妨げた取引先従業員の法的責任を認めた判決)も影響したのかもしれませんが、「みずほ証券がエフ社の取引先への調査で販売実績を確認しており、通常要求される注意義務を尽くしていた。したがって相当な注意を払ったが有価証券届出書の虚偽記載を知ることはできなかった」と判断された、とのこと。
本件はエフ社の従業員による内部告発(取引所、監査法人等への情報提供)によって調査が開始されたものですが、当該告発が調査にどのような影響を及ぼすものなのか、とても関心を寄せています。ぜひまた控訴審判決の全文を読んでみたいところです。本件には東京の大手法律事務所の皆様がたくさん関与されていますので、またコソっと要旨だけでもお教えいただければありがたいです・・・笑
そしてもうひとつの驚きが同じ社会面に掲載されていたリニア工事の捜査に関する記事でした。たしか経済紙にあった風評ネタではJR東海による地検への告発が捜査の発端のように書かれていましたが、実は大手ゼネコン社員による地検への告発が発端だったのですね。いや、これは私も存じ上げませんでした。昨年に改訂された「従業員からの通報に関する国の行政機関のガイドライン」では、行政機関が捜査の端緒として「内部告発による」という点も秘匿されることになりましたので、この点が明らかになったのは意外です。
告発をした社員がどのような意図で情報を提供したのかはわかりませんが、果たして当該告発社員に代理人弁護士がついていたのかどうか、どれほどの社内証拠を持ち出して地検捜査の協力をされたのか、といったところが、また内部告発に関連する話題としては興味があります(おそらくこのあたりの事実は絶対にオモテには出てこないと思いますが)。上記の日経記事でも取り上げられているとおり、最近は日本版司法取引への関心が高まりつつあります。しかし、私的にはむしろ「国の行政機関向けガイドライン」の改訂によって、従業員の行政機関への内部告発が飛躍的に活用しやすくなっている点のほうが企業には大きなリスクになっているのではないかと感じております。
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