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2018年4月19日 (木)

「あえてexplainするという選択」-関経連CG改革への建議

外部調査委員会で委員長を務めておりますTN社の件において、連日DF(デジタルフォレンジック)で深夜まで頑張っておられる委員(委員補佐)の皆様をみておりますと、ノホホンとブログを更新している気持ちにもなれず、ずいぶんと更新頻度が落ちております。また、新聞で大きく報じられております事件の品質管理委員会委員にも就任したことで(開示されましたら、またあらためて告知いたします)、工場見学など早朝から活動せねばならず、当分の間は週1ペースの更新になるかと思いますが、どうか見捨てないでくださいね(笑)。

ということで、いろいろとブログネタはあるのですが、どうしても書きたかったのが関経連さんの「実効性あるコーポレートガバナンスへの改革に関する意見について」と題する建議です(4月17日リリース)。うーーーん、毎度ながら、関経連さんの企業統治改革への意見、とんがっていてスキです(笑)。企業統治の仕組みについては、個別企業ごとに柔軟な制度設計とすべき、というのが基本思想でして、表題にも書いたとおり、コンプライを目標とするのではなく、あえてエクスプレインする、という選択肢もあるのではないか、と締め括っています。ホント、そのとおりかと。最近は機関投資家の方々の中にも「コンプライよりもエクスプレインする企業のほうが形式よりも実質的な改革を進めている企業といえるのでは」という意見も出ていますよね。

ただ、上記関経連意見の個別提案をみると、機関投資家の気持ちを逆なでしているものも散見されます(四半期報告廃止、社外取締役の制度化反対、政策保有株式制度の柔軟化、議決権行使助言会社への規制導入、ROE指標重視への警鐘等)。関経連さんの意見は「三方よし」の近江商人の教えを基本としており、「株主も(大切にすべき)ステイクホルダーのひとつにすぎない」というところが基本にあります。たとえばROEの過度の重視は企業倫理、日本企業の経営哲学にそぐわないと明言しています。

ホンネで言えば、この関経連さんの意見に共感する上場企業さんも多いと思います。そもそもコーポレートガバナンスの在り方をソフトローで誘導すること自体、議論の対象にすべきですが、どうせコンプライするのであれば、日本を代表するグローバル企業(外国人株主の保有比率が高い企業)の多くが範としている「近江商人 商売十訓」のほうが参考になるような気もいたします。「正札を守れ。値引きは却って気持ちを悪くするくらいがオチだ」なる訓戒は、売上高営業利益率にも通じるのではないでしょうか。

とりあえず、関経連さんの意見における個別提言については、また時間のあるときにでも、きちんと読んで理解しておきたいところです。あと、UACJさんの株主による人事権行使の件や積水ハウスさんの株主代表訴訟ネタについても書きたいのですが、後者については私の立ち位置からして問題がありそうなので(笑)、もはやブログでは永遠に書けないかな・・・。さらに財務次官のセクハラ問題で財務省顧問弁護士が調査窓口となったことが波紋を呼んでいますが、これって内部通報の外部窓口を顧問弁護士が務めている企業が多いこととどんな関係に立つのか・・・、また別途エントリーでまとめたいと思います。

 

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コメント

財務次官の件は、財務省側は、第三者委員会を設ける不祥事的な事案として対応すべきだったのか、内部通報事案として対応すべきだったのかで評価が分かれるのかもしれませんね。

投稿: luckymangan | 2018年4月21日 (土) 13時40分

luckymanganさん、ご指摘のとおりかと。第三者委員会設置ということになると、もう少し冷静な議論ができたのではないかと思います。ただ、森友案件、加計学園案件では「第三者委員会は設置しない」という方針を財務省が貫いたので、ここでも提案はできなかったのではないかと思いますね。

投稿: toshi | 2018年4月21日 (土) 20時04分

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