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2018年4月29日 (日)

DF(デジタルフォレンジック)業者が足りない!-調査委員会激増の中で

本日(4月28日)も、私が委員長を務めておりますTN社外部調査委員会を開催しておりましたが、終了後、「社内調査、社外調査の委員会が増えているので業者の『取り合い』状態が続いているようだ。掛け持ちができない仕事なのでたいへんな状況」との話題が出ておりました。速やかに調査委員会を立ちあげたいのにDF業者さんがいない・・・という状況は、考えてみると恐ろしいです。

たしかに、私が独自で調べた結果からみますと、1月~4月までにリリースされた(上場会社の企業不祥事発生に伴って立ち上げられた)社内調査委員会、社外調査委員会の数は、2015年から今年までの推移でみますと18件→18件→10件→27件となっていて、今年は激増しています。さらに開示が必要かどうか、会計監査人の品質管理部門の判断に資するための予備調査まで含めますと、調査委員会が相当に増えていることは間違いありません。予備調査にまでフォレンジックが必要かどうかは事案次第かと思いますが、フォレンジック業者の取り合い状態・・・というのも頷けます。

フォレンジックには①委員との連携(保全対象者の絞り込み、キーワード検索の有効性)、②フォレンジックを監督するアドバイザー(費用対効果)、③会社の協力関係(対象者のPCやスマホ、クラウドの提供)が必要ですが、なんといっても保全から解析、一次レビュー、二次レビューに多くの専門人員の投入が不可欠で、ここのところが事実認定のための証拠発見、件外調査の合理性確保の決め手となります。実際に調査活動に携わりますと、フォレンジックの巧拙が調査の成否を決める、ということも実感します。将来的にはAIによって作業の一部は代替できそうですが、やはり人間の勘や会社、委員の我儘への忍耐(?)なども必要なのですべて代替できるような仕事ではありません。

フォレンジック担当者は、会社と委員会がどのような姿勢で対峙しているのか、一番近くで見ています。「なんちゃって委員会」なのか「真にステイクホルダーに説明責任を尽くすための委員会」なのか、一番わかる立ち位置にいらっしゃいます。今後、どんな方々に調査委員会を構成してもらうか、悩んだときはフォレンジック業者の方に聞いてみるのも良い方法かもしれませんね。

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コメント

山口先生へ どうもありがとうございます。周辺情報も頂けました。4月13日のNHK NEWS WEBの「久保利弁護士インタビュー」や「“不合格”続出 第三者委員会って名ばかり?」のニュースも思い出しました。雪印グループの息の長い不正も、通報者の複数にわたっての通報で解決されたことも、とても切ないと感じました(個人的な意見を表明して申し訳ございません)。親会社のあの社外役員の方にも、近い将来講演の受講生としてお尋ねしてみたいと思っております。私のご質問にお答え頂けないのかもしれませんが?経団連会館でもご挨拶されていましたので、とても複雑な気持ちでいっぱいです。

投稿: サンダース | 2018年5月 7日 (月) 02時12分

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