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2018年5月 8日 (火)

ESG投資のE(環境)は商売のタネと考えるべきでは?

41xbaqer7hl_sx353_bo1204203200_ニッセイアセット・マネジメント社の井口譲二さんから、財務・非財務情報の実効的な開示なる新刊書を献本いただきました(どうもありがとうございます)。副題にもあるように、ESG投資に対応した企業報告の例なども紹介されていて、非財務情報報告、ESG投資への企業対応の現状を知るにはたいへん参考になる一冊です。

別冊商事法務さんは、有益な資料を専門家が整理をしてコメントを加える、といったスタイルが多いように感じます。しかしこの本は、井口さんの個人的な知見・経験に基づく解説が多くて良いですね。欧米企業や団体、機関投資家の考え方なども、井口さんのわかりやすい解説を拝読して初めて理解したところもあります。

ところで、これは私の(素人考えによる)独断にすぎませんが、ESG投資がさかんになる中で、どうもE(環境)への企業の取組みが、CSR(社会的責任)と結び付けて紹介されている例が多いように思いますが、もっと商売と結びついているのではないか・・・と感じております。むしろESGの中で一番ビジネスと関連性が深いのがE(環境)ではないでしょうか。

最近のVWの排ガス規制違反への刑事、民事の厳しい制裁をみれば明らかですが、環境対応は企業のリスク管理(コンプライアンス)の重要な要素です。また環境規制を「排出権取引」の発想からみていきますと、環境対策のアドバンテージは、企業の収益とも密接な関係に立つはずです。2040年までに英国ではガソリン車は走行できなくなる、HVもダメ・・・といったニュースが出ていましたが、環境問題とはあまり縁がないような企業が持っている多様な技術について、有益な取引の材料になる可能性が高まるのではないかと。つまり、E(環境)というのは事業戦略の攻めにも守りにも大きな影響を及ぼすものであり、そこを説明できるKPIを企業が上手にプレゼン(開示)しなければならないのではないかと思うのです。

ESG投資という視点において、「環境に優しい製品を作っています」とか「廃棄物ゼロ(リサイクル)を目指しています」といった事業戦略を売りにすることも大切ではありますが、この会社は10年後も生き残ることができるような(環境を売りにする会社が欲しがるような)技術を持っています、環境規制に違反して叩かれるような要素は当社のビジネスにはありません、といった「現実の商売のアピール」こそ、E(環境)によって評価されるべきではないのかなぁと考えております。従業員の方々にも「へえ、そうなんだ。ウチの会社の商品って、社会の役に立ってるんだぁ」と、承認欲求を満たしてもらえそうな工夫が求められているのではないかと。

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コメント

先週のご記事へのコメントで恐縮です。
昭和生まれの私は、かつてクルマ雑誌社に勤務:編集者の多くはカタログスペックを信用/正しい前提で記事を書いていました。クルマに疎い若者から「今、どんなクルマがおススメですか?」と問われる度に、彼ら彼女らの関心要素を聞いてから応えています。
ただ…業界を離れて十年以上。まさか、カタログ数値の根源の鉄、アルミ、プラスチック、ゴム等の原材料出荷段階での数値偽装が…。関係者の感覚が麻痺?偽装が蔓延?の昨今(過去から?)では、燃費はおろか、エコ評価をどこまで信じられるのか…?と疑心暗鬼になるのは私だけでしょうか。
「若者のクルマ離れ」は、個人的見解ながら、単にスマホ等のITツール類に比べ魅力が無い…だけでは無い様な気がする日々です。

投稿: にこらうす | 2018年5月17日 (木) 10時15分

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