今年の定時株主総会に出席して感じたこと(雑感です)
6月総会もピークですね。私は26日、27日と二日続けて株主総会に出席しておりました(取締役と監査役です)。当事者としていろいろと書きたいこともございますが、(守秘義務に留意しつつ控えめに)感想を述べておきます。
昨日(6月26日)の総会では、私が筆頭社外取締役(ガバナンス委員会委員長)ということで、投資家の株主の方からふたつほどご質問を受けました。ひとつは改訂されたガバナンス・コードとの関係で「当社では役員60才定年制を厳守しているが、社長の選任・解任に関する基準はきちんと決まっているのか、もし決まっているのであれば、社長選任においてガバナンス委員会としてはどのような点に重きを置いて判断しているのか」というもの。
そしてもうひとつは、当社のマスコミ等における風評から、社外取締役としては事故・事件の発生についてはきちんと報告を受け、対策を審議しているのか、というご質問。いずれも事前の想定問答集にはまったく掲載されていなかったご質問内容でしたが、まさにガバナンス委員会として普段から議論をしているところなので(守秘義務に反しない範囲で具体的に)回答をさせていただきました。やはりガバナンスやコンプライアンスに関連するご質問は増えていますし、(もちろん議長からの指名が前提ですが)社外取締役自身が回答しなければならない場面も増えていると思います。
そして本日(6月27日)は、株主総会自体はとくに問題なく終了したものの、終了後に社長(パナソニック出身)からお聴きしたパナソニックの株主総会の運営に関する話が興味深いものでした。会場出席の株主数が7000名、大阪城ホールの3階席まで出席者がいらっしゃるというのもたいへんなもの。東京、名古屋会場と映像でつなぐ、というのもパナソニックならお手のモノといったところでしょうか。3階席の株主の方が手を挙げたときに、どのように指名するか、といったことや、発言の打ち切り方、退場命令の出し方など、いわゆる議長の議事進行権限の行使については参考になりました。
総会支援で(弁護士として)関与した株主総会も含めて感じたことは、議長(代表取締役社長)さんが、けっこう株主の皆様の質問に丁寧に回答する傾向が強まっているように感じました(ガバナンス改革の影響でしょうか・・・)。外からみていたら、「この株主さんの発言は質問というよりも意見や要望として受け取ったら良いのでは?」とか「決議事項や報告事項とは関係がないのだから、終了後の株主懇談会のほうでお聴きすればよいのでは?」と思うようなことでも、制止せずに熱心に回答しておられるケースが目立ちます。資本コストに関連する厳しいご質問には丁寧に回答すべきですが、会社側としても株主の皆様からどのようなご質問を受けたいのか、ある程度のメッセージをお伝えしてもよいのではないかと思ったりしました。
あと、まったく質問が出ないというのも気まずいのか(?)、「ヤラセ質問」を用意される会社さんもあるように聞いていますが、一般の株主さんからみると「ヤラセ質問」かどうかはバレるそうです。最近の裁判例でも、一般株主の質問権を実質的に制限してしまうような「ヤラセ質問」の適法性については疑義が呈されていますので、控えておいたほうがよろしいのではないでしょうか。
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