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2018年6月15日 (金)

決算「不適正」で説明責任を尽くすべきは上場会社も同様

本日、ある会合で、最近のコーポレートガバナンスに関連する話題として最も印象的なものは社外取締役によるインサイダー規制違反(疑惑)とのことでした。ご承知のとおり、ふたり続けて上場会社の社外取締役の方がインサイダー規制違反によって証券取引等監視委員会の調査対象となりました。「会社の情報管理体制の問題というよりも、一個人の行動に関する問題なので静観している」といったところかもしれません。しかし、証券市場の「酸いも甘いも」熟知した経営者OBの方々が、どうしてインサイダー取引に及んだのかは理解不能です。このあたりは会社側がきちんと調査のうえ説明責任を果たすべきと考えます。

さて、「説明責任」ということでは、6月13日の日経朝刊に「決算不適正、株主説明を」との見出しが躍っていました。金融庁や日本公認会計士協会を中心に、監査法人が適正意見を出さない場合に、その理由を株主に詳細に説明するルールの策定が検討されているそうです。昨年の東芝、PwC間の「限定付き適正意見」の開示を巡る問題が契機となっていることは間違いありません。東芝さんの株主総会でも、PwCさんに説明を求める株主動議が出されましたが、結局は却下されてしまい、日本取引所自主規制法人理事長も問題視されていました。

会計監査人(監査法人)が、一定の場合に守秘義務を解除して、詳細な説明を求められることには異存ありません。ただ、監査法人側に詳細な理由説明を求めるのであれば、会社側にもその理由に対する意見について説明を求めるべきです。なぜなら決算書については第一次的には会社側に作成責任があり、経営者は会計検査人に対して「確認書」を提出する立場にあるからです。会社側が会計ルールに従って真正に作成したと宣言している財務諸表について、無限定適正意見は書けないと会計監査人が主張しているわけですから、当然に会社側は反論すべき立場にあると思います。

いくら会社側と会計監査人との対立があるといっても、この対立は「どっちが勝つか」という(利益獲得を目指した)問題ではなく、投資者・株主保護を目指す双方の意見の擦り合わせ、つまり双方の勝利を目指す対立です。この対立の構図は、一般の投資者・株主に開示して情報の非対称性を解消すべきです。この点はしっかりと抑えておく必要があると思います。また、このように双方に詳細な意見を開示させる、ということで、本来の会計監査人の役割を投資者・株主が理解するきっかけとなり、いわゆる監査の重要性を投資者・株主が理解する道筋になると考えます。

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