ヤマトHD子会社・過大請求事件-不十分な社内調査が「二次不祥事」を生む
ヤマトHDさんのグループ会社であるヤマトホームコンビニエンス社(YHC)が、法人向け引っ越し事業の約4割で料金を過大に請求していたことが判明、原因究明のために特別調査委員会を設置されるそうです。こちらの毎日新聞ニュースを読みますと、(HDの社長さんは否定されていますが)組織ぐるみと言われてもしかたがないほど、かなり重大な不祥事と思われます。
2011年に内部通報があった際、YHC社としても社内調査はしたそうですが、「たいした不正ではない」との思いで全社的な調査はされなかったようです。以前ご紹介した雪印種苗さんの品質偽装問題でも、ずさんな社内調査が後日の内部告発の誘因になっていましたが、このたびのYHC社の件も同様です。今回は報道機関に内部告発がなされて「全社的な不正」が発覚したわけですから、まさにYHC社、ひいてはヤマト運輸グループに自浄能力が欠如していたといわざるを得ません。2011年の内部通報によって適切な調査ができていれば「一次不祥事」で済んでいたものが、通報への対応が不適切だったために(過大請求の長期間放置という)「二次不祥事」を発生させてしまった典型例かと。
過大請求をしていなければYHC社は赤字決算だった可能性があるので、グループとしても原因究明と再発防止策の早期実施は喫緊の課題です。当ブログでも何度も申し上げておりますが、社内調査や第三者委員会調査では、どれだけ「件外調査」をきちんと行うかがカギになります(社内の方々は、有事になるとどうしても「たいしたことはない」と思いたいのです)。そして今回のような内部告発による「二次不祥事」(自浄作用の不全)に至らないためにも、適切な調査活動までを想定した内部通報制度を構築することが重要であると、あらためて認識するところです。
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