増えるか?企業統治指針に基づく企業年金のESG投資
MHPSさんによる、タイの発電所事業を巡る現地の公務員への贈賄疑惑の件につきまして、一昨日のエントリーで予想していたとおりの見通しになりそうですね(たとえば朝日新聞ニュースはこちらです)。ただ、そうなりますと、今後は海外当局の動きや集団訴訟のリスクがどうなるのか・・・、そのあたりに注目しておきたいと思います。
さて、7月18日の日経夕刊一面に「社会貢献重視のESG投資 エーザイ、年金で運用」と題する記事が掲載されており、エーザイ企業年金基金は年内にもESG経営に前向きな企業の株を選んで保有する、いわゆる「ESG投資」を始めることが報じられていました(ちなみに日経電子版の同記事を読むと意味が通りますが、この日経新聞の夕刊記事は紙幅の関係からなのか中間の記事が省略されているために意味不明な記事になっていました)。
企業年金基金がスチュワードシップ・コードの受け入れを表明しているところはまだまだ少ないようですが(たとえば7月1日現在、一般事業会社関連ではNTT、パナソニック、セコム、エーザイの4社のみ)、エーザイさんは、積極的にESG投資を行う方針のようです。スチュワードシップ・コードの指針3-3あたりを意識されたものと思われます。なお、エーザイさんのガバナンス報告書の最新版を拝読しましたが、ガバナンス・ガイドラインや取締役会の実効性評価の概要など、とても参考になりますね。
ところでコーポレートガバナンス・コード改訂版の原則2-6では、「企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮」として、スチュワードシップ・コードの受け入れを含め、企業年金の運用に関する要請事項を定めています。そこでは、運用における取組み状況を開示すべき、とありますが、上記4社を調べたところ、コーポレートガバナンス報告書で「取組み状況」を開示している企業と開示されていない企業に分かれていることに気づきました。改訂版のパブコメについての東証の考え方を読みますと、ここでの開示は従業員への開示だけでなく、一般の投資家への開示も要請されているようですから、ガバナンス・コード原則2-6をコンプライする以上は、ガバナンス報告書での開示が必要ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
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コメント
京都市内:約4㎞を子ども神輿等で練り歩く「花傘巡行」が、今夏の酷暑リスクの為に中止という報道を知りました。人命重視のご英断に「拍手」です。
三重県/鈴鹿サーキットで「コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久オートバイレース」が毎年7月末の日曜:正午前に「ヨーイ・ドン」しますが、1台のバイクを、鍛えた二人のライダーが交代して走行競争するルールに、「熱中症対策で交代する」という概念は無く、炎天下に耐えてこそ勝者…という評価が優先されます。
ただ、ブーム下火からの脱却をと、最近は婦女子やベビーカー家族にもPR。USJやTDR感覚で来場を促し、エンジョイさせる展開。これも夏の風物詩との事。(甲子園/高校野球も然りですが…)
メディアや関係者側は開催場所を「聖地」と称して盛り上げますが、数万人規模のイベントでの「観戦者避暑ホスピタリティ」はどこまで配慮・進展しているのでしょうか?
仮に、通称「8耐」の冠スポンサー:コカ・コーラ社をはじめ、これまで人間が営んできたビジネス/各社の結果が、近年の気候変動を発生させてきたとしたら、ヒトを含む生物共有の「地球」という、これまでは安定してきた「資産」を人間が管理する事…ESG的機関投資家判断も大切ですが、ファミリー投資家、シングルマザー投資家の影響が小規模でも、年金納付者でもある彼等エンドユーザー/個々のオフタイム視点等々、誰もが安全な生活の為のイベント運営を期待するのでは?と。
年に一度の主要な事業を容易く変更は出来ないでしょうが、万一にも同時多発的に来場者に体調不良者が発生したら一体どうするのかな?と考えるのは、短期のビジネス利益を求める上ではナンセンスでしょうか…。
広義での受益者間の負担ルールを見直す判断力、実行タイミングの重要性、ESG投資の原点回帰を考えさせられています…。
(長文になり、恐縮です)
投稿: にこらうす | 2018年7月24日 (火) 04時26分