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2018年7月24日 (火)

コード対応の指名・報酬委員会と監査等委員会との関係について

数は少ないのですが、本則市場に上場している監査等委員会設置会社の方々から、このたびのコーポレートガバナンス・コード改訂への対応に関するご相談を受けております。ご相談の中で、よくわからないのが監査等委員会設置会社と任意の指名・報酬委員会との関係(補充原則4-10①)ですね。

具体的には、①監査等委員会は(コードが要望する)任意の指名・報酬委員会に代替しうるか、②監査等委員会とは別に任意の指名・報酬委員会を設置する場合、人事・報酬決定プロセスに監査等委員会をどう関与させるか、という点です。

私は、上記①について、監査等委員会設置会社が任意の指名・報酬委員会を設置しない場合には、補充原則4-10①は実施しない、としたうえで、当社の監査等委員会は指名・報酬といった重要事項を審議するに十分な体制があることをエクスプレインすべし、と回答しておりました。

しかし、最近の旬刊商事法務(2171号)に掲載されている(コード改訂に関わった方々の)解説を読みますと、代替させる気があるのなら「コンプライしている」と回答してもよいみたいですね。つまり理由の開示は不要となり、ただし監査等委員会が社長人事や個別取締役の報酬決定を可能とするだけの体制を充足しないと「コンプライ」にはならないそうです。私の回答のほうを訂正しといたほうがよさそうですね(^^;

しかし、そもそも監査等委員会は監査権限とは別に経営評価権限を行使しなければならず、人事や報酬に関する意見決定義務を(善管注意義務の一環として)尽くす必要があるので、そもそも監査等委員会設置会社の機関形態を選択した時点で(コードが求める任意の指名・報酬委員会の機能を具備することは)当然に要求されているのではないかと思います。

②については、任意の指名・報酬委員会による素案が決まった後に、監査等委員会に委員会案が提示され、同意が得られれば取締役会で委員会案が審議・決議されるといった流れが一般的のようです。ただ、このたびのガバナンス・コード改訂により、後継者計画や具体的な社長さんの選解任手続については具体的なルールを作って開示することが要請されており、また個別取締役の報酬決定プロセスについても(開示までは要求されていないものの)客観的な社内ルールが策定・運用される必要があります。監査等委員には人事・報酬に関する意見決定義務があるので、この社内ルールの策定関与も含めて、監査等委員がどのように重要な経営判断に関与するのか、明確にする必要があると考えます。

なお、監査等委員は、重要な人事、報酬決定過程のプロセスを事後チェックすることで意見決定義務を尽くしたものと解する、という考え方もありますが、そもそも人事・決定過程のプロセスチェックは、監査等委員の「監査権限」に基づくものであり「経営評価権限」に基づく職務ではないと思われます。コードの改訂により、ファイナンス思考(資本コストを意識した経営)に基づく経営戦略、経営方針が取締役会で議論され、P4Pによる報酬制度の更なる改革が求められるなかで、取締役会の在り方は「重要事項の決定への積極的関与によるモニタリング」という方向性が強くなりつつあります。株主に対して人事・報酬決定に関する法的な説明責任を負う監査等委員の役割は極めて重要になるはずです。

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