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2018年7月19日 (木)

速報版-公益通報者保護専門調査会中間整理案の公表

7月19日、内閣府消費者委員会HPにて、昨日付けの「公益通報者保護専門調査会 中間整理案」が公表されています。今年1月に、内閣総理大臣からの諮問を受けて急ピッチで審議が続いておりましたが、このたび(中間整理案というものではありますが)公益通報者保護法の改正に関する方向性が取りまとめられました(第17回公益通報者保護専門調査会)。

これから週末にかけて内容をじっくりと検討したいと思いますが、企業において内部通報制度の整備・構築義務が明記される方向性がはっきりとしました。また大企業では、内部通報制度の整備・構築義務の懈怠が、内部告発(第三者への情報提供)の保護要件を緩和する(内部告発者が広く保護される)という「画期的な」改正の方向性も明記されるようです。

私が消費者庁の検討会で強く主張しておりました「通報者に対する不利益処分に関する立証責任の転換」の論点については(解雇の場合のみ認める・・・ということで)やや後退しておりますが、その他はほぼ主張が通っている論点もたくさんありますので、この中間整理案をたたき台として、更なる法改正の審議を尽くしていただきたいと切に願うものです。

なお、2010年に始まった米国の内部告発法ですが、この8年間で1500億円ほどの財務問題解決の効果を上げ、不当な利益のはく奪も800億円に上るそうです。内部告発者への報奨金も290億円に上るとのこと(経営財務2018年7月9日号記事より)。その米国でも、更なる内部告発の実効性向上を図るために規則改正が公表されています。日本でも、不祥事予防、発見のための通報制度の実効性を高めるため、早急な法改正が必要と考えています。

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コメント

18日(水)の「第17回公益通報者保護専門調査会」はH弁護士が所用により欠席で「意見書」提出での参加だったためか、16時までの予定より早く終わりました(因果関係ないかもしれませんし、イニシャルにこだわる必要性もないかもしれません)。
ただし山本座長が「H委員が強く主張していた」と認識している部分は、この日の会議でも座長の代弁により活かされていたと思います。

「解雇以外の不利益取り扱いの立証責任の転換もしくは緩和」については「難しいから【今後の検討課題】からも外そう」という意見も一部から出ましたが、結果的には「引き続き検討」として【今後の検討課題】に残ったようです。

この日の会議の中間整理案は(概要)と(本文)に分冊されていて、各委員も双方を見ながらの「ていねいな議論」でしたが、議論の結果を踏まえて、文言や書きぶりは山本座長に一任されることで閉会しました。

6月28日(木)に内閣府消費者委員会に提出した「公益通報者保護専門調査会」への意見を、この日の午前は丸の内の企業、調査会閉会後に赤坂の企業に提出してきました。
日本で報奨金議論が高まる可能性は(米国との文化の違いで)低いというのが通説ですが、せめて通報者・告発者に不利益を加えないよう制度の実効性を高めていただきたく、これは大規模企業にこそ必須であると思います。

昨日19日(木)17時48分発の消費者委員会メールマガジンにて資料掲載を知りましたが、山口先生の【速報版】も電光石火の早業でした。

投稿: 試行錯誤者 | 2018年7月20日 (金) 07時56分

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