大阪ガス・悲願の初優勝の直後に2年連続の独禁法違反疑惑
都市対抗野球で念願の初優勝を果たした大阪ガスさん(おめでとうございます)。日曜朝の番組で張本さんが「初優勝、あっぱれだ!」と称賛されていましたが、本日(8月2日)、大阪ガスさんは2年連続で公正取引委員会の立ち入り調査(独禁法違反疑惑)を受ける事態となったそうです。これはどうみても「喝!」ですね。
昨年は優越的地位の濫用ということで、ガス器具販売委託業者へのノルマ(自社製品の優先的販売)が問題とされていましたが、今年はモロに「法人顧客の囲い込みによる競争制限行為」の疑いだそうです。朝日新聞ニュースが伝えるところによりますと、
工場などを持つ大口顧客に対し、(関電などの)他社に契約を切り替えた場合は、高額な違約金を要求すると伝えた疑いがある。複数箇所での使用をまとめて契約し、割引を受けていた顧客に対しては、一部の契約を切り替えた場合に過去の値引き分を返すよう求めることを伝えた疑いもある。公取委は、これらの行為が、独禁法が禁じる「私的独占」や「拘束条件付き取引」にあたる恐れがあると判断した模様だ。また、他社に移ろうとした顧客に破格の安値を提示してつなぎ留めようとしたこともあったという。従来の料金と異なる極端な安値の場合は他社の事業活動を妨害することになり、独禁法が禁じる「差別対価」につながる可能性があるとみられる。
とのこと。本日現在、同社は「内容については調査中につき、詳細なコメントは控えさせていただきます」とのリリース(昨年8月3日のリリース内容と全く同じです)。大阪ガスの関係者の方々とはよくお仕事でご一緒しますが、「いや~、ちゃんと〇〇法律事務所(大阪の大手法律事務所さん)から指導を受けて、独禁法違反にならないようにシミュレーションもしているんですよ、これでも・・・」と何度も聞かされています。経済法違反行為への「気づき」を高めるため、日頃からコンプライアンスにまじめに取り組んでおられる様子はよく拝見しております。
しかしながら、関西電力さんとの競争激化のなかで、これほどの企業でも不祥事は起きる、ということでしょうか。みなさん、平時の判断力からすれば「これはまずいのでは?」と気づき、それなりの対処をされるわけですが、忙しかったり、ノルマがきつかったり、顧客側からいろんな要求が出てきたりしますと、ついつい「わかっちゃいるけどやめられない」ということでグレーゾーン(レッドゾーン?)に突っ込んでいってしまうのかもしれません。
この「これはまずいのでは?」と気づきながらも「どうにも止まらない」ことになってしまう要因こそ、深堀して解明しなければならないところです。ただ、これを深堀しようとしますと、組織としてあまり触れられたくないタブーに光を当てなければならないことがあったり、不正の要因でありながら、一方においてはその会社の組織としての長所(ビジネスの原動力)だったりすることがあるのでむずかしいところです。
大ガスさんといえば、関西の多くの企業が「コンプライアンス経営」の模範としているわけですから、たとえ「疑惑」であったとしても、あまり不名誉な法令違反行為は極力謹んでいただくよう切に願うところであります(しかし公正取引委員会は、これだけ多くの競争制限行為に関する情報をどこから入手したのでしょうか?上記新聞報道では「関係者によれば」とありますので内部告発ということでしょうか。そこもまた興味を覚えるところです)。
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