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2018年8月20日 (月)

相談役・顧問制度の開示と任意の指名委員会の役割

今週の日経ビジネス誌(8月20日号)特集記事は、なかなかスゴイですね。「第3の森加計問題」ですか。経済界に君臨する名誉会長への2時間インタビューはおもしろいですし、今後の展開に期待します。

さて「名誉会長」ではございませんが、8月19日の東京新聞朝刊3面「核心」におきまして、「相談役・顧問 廃止の動き鈍く」と題する特集記事が掲載されており、東証一部企業の調査結果をもとに、上場企業は(相談役制度に関する)情報公開すら後ろ向きであること、この制度が経営不透明を招き、東芝事件のような不正を生む温床にもなりかねないことが(意見として)述べられていました。

今年5月にPwCあらた有限責任監査法人さんの調査では、過去1年間の「相談役・顧問制度」に関する見直しの取組を上場会社(882社)に質問したところ、「処遇を見直した、役割を明確にした」と回答した企業は合わせて12%にすぎず、「特に実施していない」と回答した企業が62%にのぼったそうです。さらに、これは7月13日時点ではありますが、改訂されたコーポレートガバナンス報告書の記載要領にしたがって、相談役制度に関する開示を行った企業は、東証1部887社のうちの47%であり、半数以上の東証1部上場企業が相談役や顧問が存在するかどうかを明らかにしていない、とのこと(東証調べ-ただし、東証のルールでは元代表取締役の方のみ開示の対象です)。

記事でコメントをされている日本総研の有識者の方がおっしゃるように、投資家からは開示制度に後ろ向きに見えるかもしれませんので、私も(たとえ罰則規定がないとしても)相談役・顧問制度に関する開示は前向きに検討すべきと思います。私は当ブログで何度も申し上げているとおり「相談役・顧問制度」にも長所があり、けっして不正の温床になるようなものではないと思いますが、投資家の皆様との対話の前提として、社内の慣行を正しく理解していただく必要はあると考えております。

なお、今年8月1日に日本取締役協会さんがリリースした「上場企業のコーポレートガバナンス調査」によれば、東証1部上場企業の45%において3人以上(もしくは3分の1以上)の社外取締役が選任され、また約4割の企業において任意(もしくは強制)の指名・報酬委員会を設置しているそうです。もし、相談役・顧問制度の弊害を議論するのであれば、むしろこのような社外取締役が中心とされている委員会が「見直し」についてどのように考えているのか、段階的な見直しを進めるのであれば、どのように関与するのか、という点について説明をすべきだと考えます。また、最近は取締役会の実効性評価を行う上場企業が多数を占めていますので、実効性評価結果の概要を開示する際に、自社の相談役・顧問制度の評価も含めて開示する、ということも検討すべきではないでしょうか。

もし、実際に社外取締役を中心に、自社の相談役・顧問制度の見直しを進めている企業さんがいらっしゃったら、またその取り組み内容などご教示いただければ幸いです。

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2018年8月15日 (水)

経営権紛争における弁護士費用の支出と取締役の任務懈怠

大株主と現経営陣との経営権争いにより、現経営陣が委任状争奪戦に敗れて会社を去るケースをときどき見かけます。たとえば今年の6月総会では、私と一緒に某社で社外取締役をしていた女性社長さんが、業績不振を理由に45%程度しか取締役選任票が集まらず、大株主から信認を受けた新社長さんに経営トップの地位を譲り渡すことになりました。マスコミでもかなり報じられましたが、自ら上場を果たした会社だっただけに、さぞや悔しかったと思います(ただし、彼女は3分の1以上の株式を保有しているので、まだまだ争いは続くかもしれませんが)。

そして、こちらも元社長さんは存じ上げている方ですが、資料版商事法務2018年7月号に、伊豆シャボテンリゾート元代表取締役に対する損害賠償請求控訴事件の判決全文が掲載されておりましたので、精読いたしました。JASDAQ上場の伊豆シャボテンリゾート株式会社といえば・・・、そうです、「カピバラが大好きなよいこのみなさん」ではなく、「香ばしい会社が大好きなよいこのみなさん」はもうおわかりのとおり(笑)、かの有名な高橋篤史さんのご著書「兜町コンフィデンシャル」(2009年)にも(旧商号オ〇ガプロジェクトで)登場する著名な会社さんですね。私も10年ほど前、当時の伊豆シャボテンさんにとてもゆかりの深い方が実質支配をしていた別会社のトンデモ事件に関する第三者委員会で「市場を闊歩する愉快な人たち」とシノギを削っておりました(なつかしい~!)。

さて、その伊豆シャボテンリゾートさんでは、平成25年から26年当時、元社長さんと大株主の皆様とで壮絶な経営権争いを演じ、経済紙や法律雑誌等では粛々と株主総会決議無効確認訴訟の様子や第三者割当の新株発行の差止仮処分、議決権行使禁止の仮処分の様子が報じられておりました。結局は、同26年11月開催の臨時株主総会にて、当該社長さんは解任(登記簿上は退任)されてしまったわけですが、このたび資料版商事法務に掲載された判決は、現在の伊豆シャボテンリゾートさんの経営陣が、元社長さんに「不必要な弁護士費用を会社から捻出させたのは任務懈怠だ」と主張して損害賠償を求めていたものです。つまり、元社長さんが経営権争いに負ける可能性が高まっていたにもかかわらず、元社長さんは「会社のため」として3つの法律事務所から当時の経営陣の支配権を確保するための助言を得ていたのですが、その弁護士報酬をすべて会社から支出していました。その支出は元社長個人の利益のために使われたものであるから、会社から支出した行為は任務懈怠(善管注意義務違反)だと会社側(現経営陣)が訴えました。

原審(東京地裁第8民事部)は、会社側の主張を認めて、元社長さんは敗訴したわけですが、控訴審(東京高裁第11民事部)は、逆転で会社側敗訴、元社長さんの全面勝訴と相成りました。つまり大株主との経営権争いのために現経営陣(当時)が経営支配権維持のために要した弁護士費用については、これを会社負担で捻出したとしても任務懈怠にはあたらない、との判決内容です。ただし、ミスリーディングを防ぐために申し上げますが、経営権維持を目的とした弁護士費用が常に会社負担でも大丈夫、というわけではなく、本事例に特有の「ある事情」があるために元社長さんが勝訴した、という点には注意が必要です。その「ある事情」というのはどういうことかは、資料版商事法務をお読みいただければわかると思います。たとえば富士通元社長さんへの辞任要求に関する損害賠償請求訴訟事件などを、このブログでも何度か取り上げましたが、富士通元社長さんが敗訴した判決理由につながるような事情です。会社の経営権争いなどに関与される法律家の皆様にはぜひお読みいただきたい判決です(ちなみに、上記資料版商事法務には原審判決も掲載されています)。

ところでこの判決の解説を読んでいて初めて知ったのですが、第三者委員会の調査が進むことにより、自身が関与した不正が明るみに出ることをおそれ、コンサルタント会社に相談をした元社長さんに関して、コンサルタント報酬を会社から支出した行為が任務懈怠とされた裁判例(会社から損害賠償請求訴訟を提起されて元社長さんが敗訴した裁判例)があったのですね。しかもよく読むと、こちらも私が現社長さんを存じ上げている会社(東証1部)であり、当ブログでも何度もこの経営権争いを取り上げた会社さんです。(名古屋地裁平成27年6月30日 金融商事判例1474号32頁。なお、名古屋高裁判決も出ていますが、そちらまでは調べておりません)。

取締役の不正とまではいえなくても、たとえば不正の発覚によって善管注意義務違反による民事賠償責任を問われる可能性が高まることをおそれて、取締役が不正の発覚を免れるための弁護士費用などを会社が支払った場合、これもやはり任務懈怠になるのでしょうかね?企業の自浄能力の発揮が社会的に求められる時代になりますと、そういった有事の対応自体が取締役にとってヤバイことになるのであれば、うーーーん、今ドキ、かなりドキドキされていらっしゃる会社の役員さん方もいらっしゃるような気がいたします(笑)。まあ、どことは申しませんが・・・・・・(*´Д`)

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2018年8月11日 (土)

内部通報制度の認証制度への高い関心(説明会満員札どめ)

お盆休みに入りましたが、個人商店である当事務所は(社内紛争や企業不祥事には「お休み」がないためか?)13日以降も平常通りの営業でございます。

ところで「試行錯誤者」さんのコメントで知りましたが、消費者庁がこの秋から始める内部通報制度の認証制に関する説明会が大盛況のようです。東京、大阪での説明会はすべて満席、申し込み受付けを終了しております(消費者庁のHPで確認いたしました)。

これは私の甚だしい見込み違いであり、反省しなければなりません。私は平成28年の消費者庁公益通報制度実効性向上に関する検討会において、認証制度や表彰制度などは一般企業にとっては実効性向上へのインセンティブにはなりえない、そのようなものを制度化するよりもガイドラインを明確化したり、法改正を進めることのほうがよっぽど重要、と(検討会等の公の場で)明言しておりました。

しかし、現実には「当社は優れた内部通報制度を導入しています」と明示できる認証制度にこれほどの企業が関心を寄せているというのは、私の理解不足でありました。ただ、ふたつほど言い訳をさせてください(笑)。私の事務所にも問い合わせが増えたのは、今年5月にコーポレートガバナンス・コード改訂に関する「東京証券取引所の考え方」が公表されてからでした。

消費者庁をはじめ、多くの有識者の方からガバナンス・コードの補充原則2-5①を改訂せよ、との意見が東証に集まりましたが、最終的には改訂はされませんでした。ただ、パブコメへの取引所の考え方として「たとえば消費者庁の公表している民間事業者向けガイドラインに沿った仕組みを構築することが(コンプライしていることの)具体例として考えられる」との意見が付されました(東京証券取引所「パブコメの結果と考え方について」74頁以下をご参照ください)。

今回の内部通報制度の認証についても、この民間事業者向けガイドラインに沿った形での制度構築が要請されているため、上場企業を中心に、この認証制度への関心が高まっているものと推測しております。つまり、私も制度開始時における背景までは2年ほどまえは読み切れませんでした。

そしてもうひとつが今年に入ってからの公益通報者保護法改正に向けた審議の進展です。こちらも先日、内閣府消費者委員会の法改正に向けた報告書が示され、内部告発(外部への社員による情報提供)を少しでも防ぐためには内部通報制度を充実させることが法律上の要件からみても重要との考え方が示されました(これはすでに以前のエントリーで書かせていただきました)。そのような状況も重なり、認証制度への関心が高まっているものと思います。

私の予想ははずれましたが、内部通報制度の実効性向上のためには良い方向だと思いますので、関係省庁におかれましては、できれば東京や大阪では追加の説明会を開催していただき、また全国の主要都市でも同様の説明会を開催していただきたいですね。

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2018年8月 8日 (水)

金融庁の地銀立入検査-監査役監査は「対象外」?

8月7日付け東京新聞(夕刊)第2面に「金融庁、地銀立ち入り-スルガ銀問題受け『内部監査』を検査」との記事が掲載されており、金融庁が全国の地銀に対して、行内の不正行為をチェックする内部監査機能に焦点をあてた立ち入り検査を開始したことが報じられています。スルガ銀行さんや東日本銀行さんの不適切営業が発覚したことを受け、金融庁では専門チームを設置したそうで、内部監査部門と併せて社外取締役の実態も詳しく調べるそうです(ちなみに日経ニュースによると、東日本銀行さんの不正発覚は内部告発によるものだったそうですね。存じ上げませんでした・・・)。

金融庁では、たしか数年前から不正予防を目的として、内部監査担当役員や実効性を高めるための監査役面談などを実施しておられたように記憶しています。過去の不正を暴くことよりも、将来の不正を防止できる体制作りを金融機関に要望しておられたのですが、結局のところ金融庁の思惑通りにはいかなかった、ということでしょうか。いくら内部監査部門のスキルが充実しているとしても、そもそも不正を経営陣に指摘できるかどうかは全く別です。不正の疑惑を見つけることよりも、見つけた「疑惑」を経営陣に指摘するほうが10倍以上むずかしい、というのがホンネのところではないでしょうか。最近、内部監査部門を「キャリアパス」の一環として捉え、社内に重要ポストとの認識を浸透させようと尽力している企業さんも見受けられますが、「経営トップにモノを言う」ことが出世につながるかどうかはホンネベースで言えば微妙です。

ところで、金融庁の立ち入り検査では、「内部監査部門と社外取締役との情報共有」についても調べる、とありますが、一般の企業において社外取締役さんが内部監査部門と情報共有の機会を設けているところはどのくらいあるのでしょうか?私の予想ではかなり少ないのではないかと推測いたしますが、これを調べてみるのもおもしろいかもしれません。攻めのガバナンスが語られる時代となり、リスクマネジメントの専門家よりも、経営者OBやコンサルタントの方々のようにビジネスに精通した社外取締役さんとの情報共有のほうが効果的ではないでしょうか。内部監査部門が「モノが言えない」という状況を補完するためにも、社外取締役さんとの情報共有というのは不正の早期発見や不正の芽を摘むためにも有効のような気がいたします。

先日ご紹介した「企業法務革命」を拝読しておりまして、著者ベン・W・ハイネマン氏(GEのジェネラルカウンセル-法務担当役員)の提言を、GEのCEOがなぜ受け入れるのか・・・と考えましたところ、ハイネマン氏がビジネスリスクをギリギリまで受容したうえで、代替案を提示したり、リスクテイク後の経営環境にまで配慮していたことにより、CEOの絶大なる信頼を得ていたからではないかと考えました。日本企業にもジェネラルカウンセルのような役割を担う人たちが増えることを期待しておりますが、現実論としては、まず経営トップとビジネスを語ることができる社外取締役さんこそ、経営トップの暴走を止めたり、苦言を呈して異なる意見を通すためには役に立つのではないかと。

なお、上記記事を拝見していて、「金融庁は監査役監査には期待していないのだろうか」との疑問を抱きました。金融庁は、これまで監査役(取締役監査等委員)との面談などにも力を入れておられたようですが、金融庁としては「監査役監査の実効性はあまり感じられなかった」というのであれば、それはやや残念です。また調査報告書などが公表された時点で注視したいと思いますが、スルガ銀行さんや東日本銀行さんの不適切営業について、監査役が指摘をしていた、という事実は報じられていません。ここのところ「モノ言う監査役」さんを報じる事例などがあまり報じられませんが、ぜひとも地銀にも「野崎修平」が出現することを期待したいと思います。

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2018年8月 6日 (月)

大塚家具の社外取締役の苦悩は察するに余り有る・・・

先週末ころから「大塚家具、身売りへ」とのタイトルで、業績悪化が顕著となった大塚家具さんについて、資本業務提携先のTKPさんや(銀行から勧められている)ヨドバシカメラさんとの事業提携の話が報じられています(たとえば産経新聞ニュースはこちら)。昨年8月に「大塚家具事例から取締役会の頑張りドコロを考える」といったエントリーを書きましたが、そちらで書いたとおり、あの時点でなんとか同社取締役会が対応できなかっただろうか・・・との思いを強くしております。

(カッコ悪い話を正直に書きますが)私もいまの大塚家具さんとほぼ同じ状況にあった上場会社の社外取締役でしたが、世間の注目度が違いますので、大塚家具さんの社外取締役の方々の苦悩の日々は察するに余りあります。私の場合、2期連続の最終赤字となり、既存のビジネスモデルでは業績向上が見込めない、まだ余力はあるが、余力のあるうちに体制を変えないと座して死を待つことになってしまうと考えたときに、社外取締役はいったい何をすれば株主からの負託に応えたことになるのか悶々と考える日々でした。

詳細は書けませんが、ファクトとしては当時の会長・社長が退任され、大株主出身の副社長が中心になって立て直しを図りましたが業績回復には至りませんでした。「小さなところで成功事例を作って、社員を鼓舞しよう」ということで、実際に成功事例は作りましたが、業績の回復にはつながりませんでした。最後は100%子会社化(上場廃止)のための株式交換に合意し、予想以上に出席者が少ない臨時株主総会では「針のむしろ」でした。あのときのことを思い返しますと、大塚家具さんの社外取締役の皆様にはどうしてもシンパシーを感じてしまいます。

大塚家具さんは、たしか3年前の委任状争奪戦の後、監査等委員会設置会社に移行し、最大で10名の取締役中5名が社外取締役だったと思います(現在は取締役6名中3名が独立社外取締役)。そもそも久美子社長が選任されたのも6名の社外取締役、社外監査役(当時)連名による経営改善要望書の提出がきっかけでしたし(たとえばこちらのエントリーご参照)、委任状争奪戦に勝利した後も、コーポレートガバナンスの健全性が大切と述べておられました。まさにガバナンス改革の実践例といえます。この3年間、大塚家具さんは、現在のような状況にならないために社外役員が活動しなければならなかったのか、それとも、現時点でこそ「身売り」を含めた企業の危機対応を先導しなければならないのか。

しかし、これまでのところ、久美子社長の退任を社外取締役が求めた、という話や事業提携や統合に関する社外役員の活躍の話は聞こえてきません。いったい、この3年間、大塚家具さんの社外役員が取締役の選任・解任についてどのような意見を形成されてきたのか、とりわけ監査等委員でいらっしゃる社外取締役の方々にはぜひともお聞きしたいところです。朝日新聞ニュースによると、昨年10月の時点では同社幹部の方が勝久元社長さんに「助けてほしい」と打診していたそうですから、あまり社外役員の方々が積極的な打開策には動いていなかったようにも思います。また、委任状争奪戦では、大株主だった保険会社2社が「スチュワードシップ・コードを尊重した議決権行使」として久美子社長(つまり会社側)の提案に賛成したわけですが、そういったことは検証する必要はないのでしょうか。

先日、ルディー和子氏のご著書「経済の不都合な話」(日経プレミア社)を読みましたが、機関投資家から「選択と集中」の要望を受けたコダック社は衰退し、内部留保をため込んで、これを元手に多角化を進めた富士フイルム社はビジネスモデルを変える機会に恵まれた、といった話が掲載されていました。機関投資家の意見を社外取締役がどう受け止めるべきか・・・という点もむずかしい。業績に陰りが見え始めた時期に、企業がどのような経営方針をとるべきなのか、その企業判断に社外役員がどのように関与すべきなのか、ガバナンスコードが改定された今こそ、このたびの大塚家具さんの事例を通して検討する必要があると思います。

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2018年8月 4日 (土)

ACFE JAPAN 2018カンファレンスのお知らせ

8月4日の日経朝刊によりますと、4月に統一されました仮想通貨の業界団体である日本仮想通貨交換業協会さんが金融庁に対し、改正資金決済法に基づく自主規制団体の認定を(ようやく?)申請されたそうですね。審査にはどれほどの時間を要するのはは不明ですが、金融庁は同協会がとりまとめた自主規制ルールの内容などを精査した上で、認定の可否を審査することになるそうです。仮想通貨もいよいよ第2ステージですね。

さて、今年も私が理事を務めておりますACFE(公認不正検査士協会)JAPAN主催のカンファレンスを告知する時期となりました。CFEの資格をお持ちの会員の皆様はすでにご承知かとは思いますが、毎年午前中は「プレカンファレンス」ということで開催しておりましたが、今年は午前も午後も正式行事として開催いたします(したがいまして、継続研修ポイントも10単位取得できることになります)。

カンファレンスの内容ですが、午前はブロックチェーン技術の進展が実務に及ぼす影響について、麗澤大学の中島教授、日銀の山岡局長による講演が予定されております。詳しくは、こちらのHPをご覧ください。仮想通貨「ビットコイン」「イーサリアム」などの基幹技術として注目されているブロックチェーンは、仮想通貨だけに留まらず、金融取引や、サプライチェーン、トレーサビリティなど幅広い用途への活用が期待されています。基調講演および特別講演では、ブロックチェーンについてわかりやすく解説するとともに、ブロックチェーン技術の活用範囲、企業の活動や一般市民の生活に与える影響についてお話いただく予定です。不正調査の実務にも十分に参考になるものと思います。

そして午後の部におきましては、大王製紙元会長である井川意高氏、大王事件を追い続けてきた「政経電論」編集長の佐藤尊徳氏をお迎えして、「大王製紙の巨額借入事件はなぜ起こったか?~経営者の間違いと会社の間違い」と題するスペシャル鼎談を開催いたします。モデレーターは(もちろん?)八田進二先生にお願いしております。私も、2013年11月のこちらのエントリーにて、井川氏のご著書についてコメントを書いておりますので、この鼎談はとても楽しみにしております。午前も午後も、会員以外の皆様にも関心の高いテーマだと思いますので、どうか10月5日 御茶ノ水ソラシティホールで(午前9時30分から)開催されますACFEのカンファレンスにご参集くださいますようお願いいたします。

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2018年8月 3日 (金)

大阪ガス・悲願の初優勝の直後に2年連続の独禁法違反疑惑

都市対抗野球で念願の初優勝を果たした大阪ガスさん(おめでとうございます)。日曜朝の番組で張本さんが「初優勝、あっぱれだ!」と称賛されていましたが、本日(8月2日)、大阪ガスさんは2年連続で公正取引委員会の立ち入り調査(独禁法違反疑惑)を受ける事態となったそうです。これはどうみても「喝!」ですね。

昨年は優越的地位の濫用ということで、ガス器具販売委託業者へのノルマ(自社製品の優先的販売)が問題とされていましたが、今年はモロに「法人顧客の囲い込みによる競争制限行為」の疑いだそうです。朝日新聞ニュースが伝えるところによりますと、

工場などを持つ大口顧客に対し、(関電などの)他社に契約を切り替えた場合は、高額な違約金を要求すると伝えた疑いがある。複数箇所での使用をまとめて契約し、割引を受けていた顧客に対しては、一部の契約を切り替えた場合に過去の値引き分を返すよう求めることを伝えた疑いもある。公取委は、これらの行為が、独禁法が禁じる「私的独占」や「拘束条件付き取引」にあたる恐れがあると判断した模様だ。また、他社に移ろうとした顧客に破格の安値を提示してつなぎ留めようとしたこともあったという。従来の料金と異なる極端な安値の場合は他社の事業活動を妨害することになり、独禁法が禁じる「差別対価」につながる可能性があるとみられる。

とのこと。本日現在、同社は「内容については調査中につき、詳細なコメントは控えさせていただきます」とのリリース(昨年8月3日のリリース内容と全く同じです)。大阪ガスの関係者の方々とはよくお仕事でご一緒しますが、「いや~、ちゃんと〇〇法律事務所(大阪の大手法律事務所さん)から指導を受けて、独禁法違反にならないようにシミュレーションもしているんですよ、これでも・・・」と何度も聞かされています。経済法違反行為への「気づき」を高めるため、日頃からコンプライアンスにまじめに取り組んでおられる様子はよく拝見しております。

しかしながら、関西電力さんとの競争激化のなかで、これほどの企業でも不祥事は起きる、ということでしょうか。みなさん、平時の判断力からすれば「これはまずいのでは?」と気づき、それなりの対処をされるわけですが、忙しかったり、ノルマがきつかったり、顧客側からいろんな要求が出てきたりしますと、ついつい「わかっちゃいるけどやめられない」ということでグレーゾーン(レッドゾーン?)に突っ込んでいってしまうのかもしれません。

この「これはまずいのでは?」と気づきながらも「どうにも止まらない」ことになってしまう要因こそ、深堀して解明しなければならないところです。ただ、これを深堀しようとしますと、組織としてあまり触れられたくないタブーに光を当てなければならないことがあったり、不正の要因でありながら、一方においてはその会社の組織としての長所(ビジネスの原動力)だったりすることがあるのでむずかしいところです。

大ガスさんといえば、関西の多くの企業が「コンプライアンス経営」の模範としているわけですから、たとえ「疑惑」であったとしても、あまり不名誉な法令違反行為は極力謹んでいただくよう切に願うところであります(しかし公正取引委員会は、これだけ多くの競争制限行為に関する情報をどこから入手したのでしょうか?上記新聞報道では「関係者によれば」とありますので内部告発ということでしょうか。そこもまた興味を覚えるところです)。

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2018年8月 1日 (水)

財務省コンプライアンス推進会議で講話をさせていただきました。

テレビニュースや毎日新聞、時事通信等で報じられておりますように、本日(7月31日)、財務省のコンプライアンス推進会議(第1回)に「有識者」として招かれまして、麻生大臣の挨拶の後、1時間ほど、このたびの森友問題に関連する不祥事への感想、および財務省立て直しに向けた提言を含めて講話をさせていただきました。事務次官の岡本さん、官房長の矢野さんはじめ、活発なご質問もございましたので、きちんと私なりの意見を申し上げました。

大島衆議院議長も、政府の度重なる不祥事に対して苦言を呈しておられましたが、私も「財務省の信用は著しく低下している」とはっきりと申し上げました。また、国民目線で信用回復を図らなければならない理由も、いくつか申し述べました(具体的な講話の内容は控えさせていただきます)。本日は基本的な心得のようなお話でしたが、8月には総務課長の皆様を中心に、いくつかの問題を提起してディスカッションをしていきたいと思っております。

本気で財務省を立て直すのであれば、民間企業との違いを意識しながら機構改革、意識改革をしていく必要があるのではないか、と考えております。財務省参与に就任されたボストンコンサルティングの秋池さんが中心になって改革が進められるようですが、微力ながらお力になれればと思っております。

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