財務省幹部の皆様に向けたコンプライアンス研修講師を務めました
7月末に引き続き、8月28日も、財務省幹部(入省30年前後の課長クラスの方々)を対象としたコンプライアンス研修の講師を務めました。今回は、私の失敗談を交えた簡単な講演の後、4名で3グループに分かれてもらい、設例を(各班に分かれて)ディスカッション、最後に各班の答えや疑問点を全員で検討する、というケーススタディ形式を採用しました。司法試験にも合格された方が多いようで、設問の理解はとても速いのですが、では不正リスクの認識や再発防止のための組織としての対策検討となると話は別です。
私なりに、このたびの財務省文書改ざん(および応接記録の破棄)事件は、どこに問題があったのか、おおよその分析をしましたが、ぜひとも国民の信頼を取り戻すためにも、財務省幹部の方々が「自分のこと」としてこのたびの事件の要因を理解する必要があると思っています。財務省に求められるガバナンス、内部統制とはどのようなものなのか、私なりの思いをお伝えしました。外部の人間の思いをまずは認識していただきたい。
財務省文書改ざん事件だけでなく、文科省の接待収賄事件、そして全省をまたぐ「障がい者雇用率偽装」事件など、国家公務員の不祥事は深刻です。秋には(昨年に引き続き)国家公務員倫理審査会主催の研修講師を務めさせていただきますが、全省の幹部のみなさんに向けて、精神論ではなく、実践論としての公務員倫理についてお話したいと考えています。
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コメント
予てから疑問に思っているのですが、中央省庁の業務監査を行う役目は誰が担っているのでしょうか? 内部監査組織はあるのでしょうか? 会計検査院は会計に限って監査を行っていると理解しているのですが、大臣(あるいは事務次官かも知れませんが……)をも監査対象とする「監事」は存在するのでしょうか? 国会での空疎な質疑ではなく、中央省庁自らが内部統制システムをどのように構築し、運用するのか が問われているように思われてなりません。
内部通報制度もかなり限定的なもののようですし、民間の目から見ても課題が山積しているように感じます。
投稿: unknown1 | 2018年8月29日 (水) 13時23分
今朝、山口先生のブログを読んで財務省に連絡したところ、7月末の担当部署の方から昨日の研修担当部署の方を教えて頂き、
「財務省としてHPで報告はしませんが、山口先生に問い合わせすることは問題無し」と丁寧な対応を受けました。
個人的にお聴きすることはありませんが、新聞・雑誌の取材への御対応等で開示されることがあれば勉強させていただきたいと思います。
9月5日(水)の財務省隣り、内閣府消費者委員会「公益通報者保護専門調査会」では関係団体等のヒアリングが予定されており、「何かが起こる」ことを期待しています。
投稿: 試行錯誤者 | 2018年8月29日 (水) 19時18分
みなさま、ご意見ありがとうございます。いまのところ、財務省における研修について取材対応は控えております。ただ、前回も情報公開請求がなされている可能性がありますので、メディアで報じられるかもしれません。
中央省庁の内部統制は、まず「内部統制」の意味が明確に共有されていないので、システムとして構築するところからまじめに取り組む必要があると考えます。「運用面」の重要性については明確に理解をしていただきたいですね。
投稿: toshi | 2018年8月29日 (水) 23時45分