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2018年8月11日 (土)

内部通報制度の認証制度への高い関心(説明会満員札どめ)

お盆休みに入りましたが、個人商店である当事務所は(社内紛争や企業不祥事には「お休み」がないためか?)13日以降も平常通りの営業でございます。

ところで「試行錯誤者」さんのコメントで知りましたが、消費者庁がこの秋から始める内部通報制度の認証制に関する説明会が大盛況のようです。東京、大阪での説明会はすべて満席、申し込み受付けを終了しております(消費者庁のHPで確認いたしました)。

これは私の甚だしい見込み違いであり、反省しなければなりません。私は平成28年の消費者庁公益通報制度実効性向上に関する検討会において、認証制度や表彰制度などは一般企業にとっては実効性向上へのインセンティブにはなりえない、そのようなものを制度化するよりもガイドラインを明確化したり、法改正を進めることのほうがよっぽど重要、と(検討会等の公の場で)明言しておりました。

しかし、現実には「当社は優れた内部通報制度を導入しています」と明示できる認証制度にこれほどの企業が関心を寄せているというのは、私の理解不足でありました。ただ、ふたつほど言い訳をさせてください(笑)。私の事務所にも問い合わせが増えたのは、今年5月にコーポレートガバナンス・コード改訂に関する「東京証券取引所の考え方」が公表されてからでした。

消費者庁をはじめ、多くの有識者の方からガバナンス・コードの補充原則2-5①を改訂せよ、との意見が東証に集まりましたが、最終的には改訂はされませんでした。ただ、パブコメへの取引所の考え方として「たとえば消費者庁の公表している民間事業者向けガイドラインに沿った仕組みを構築することが(コンプライしていることの)具体例として考えられる」との意見が付されました(東京証券取引所「パブコメの結果と考え方について」74頁以下をご参照ください)。

今回の内部通報制度の認証についても、この民間事業者向けガイドラインに沿った形での制度構築が要請されているため、上場企業を中心に、この認証制度への関心が高まっているものと推測しております。つまり、私も制度開始時における背景までは2年ほどまえは読み切れませんでした。

そしてもうひとつが今年に入ってからの公益通報者保護法改正に向けた審議の進展です。こちらも先日、内閣府消費者委員会の法改正に向けた報告書が示され、内部告発(外部への社員による情報提供)を少しでも防ぐためには内部通報制度を充実させることが法律上の要件からみても重要との考え方が示されました(これはすでに以前のエントリーで書かせていただきました)。そのような状況も重なり、認証制度への関心が高まっているものと思います。

私の予想ははずれましたが、内部通報制度の実効性向上のためには良い方向だと思いますので、関係省庁におかれましては、できれば東京や大阪では追加の説明会を開催していただき、また全国の主要都市でも同様の説明会を開催していただきたいですね。

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コメント

暑中お見舞い申し上げます。
2006年4月に開設された「日本航空/安全啓発センター」のWebサイトには、
『・・・このセンターを「安全の礎」とし、すべてのグループ社員がお客さまの尊い命と財産をお預かりしている重みを忘れることなく、社会に信頼いただける安全な運航を提供していくための原点としていきます。・・・』と記されています。
先日群馬で、防災ヘリが墜落炎上、死者が出ましたが、工業製部品の品質や管理、運用マニュアルの周知等は大丈夫だったか?と、人間社会全般的に、ものづくりと運営の信頼が揺らいでいる昨今、モビリティへの安全対策回帰を考えさせられています。
(全ての乗員乗客が、耐火スーツやフルフェイスヘルメットに身をまとい、カーボンコンポジットに囲まれた席に座る訳でもなく…)
時はお盆景気活況、けれどその背景に、整備面等への「シワ寄せ」は無いと言い切れるでしょうか?
他所には漏れ伝わらない/内部通報したくなる様な現実に多く接するも、諸制約等で行き場のない気持ちが出たり…けれど関係諸兄には、デタラメな上下関係に起因する不正等には勇気を持って、対応して頂きたいと願っております。
(W杯観戦のおかげで、未明起床に慣れた?早朝、30数年前を思い出しつつ…)

投稿: にこらうす | 2018年8月12日 (日) 08時13分

今、Factaのウェブ版見ているのですが、大東建託のコンプラ室がやばいことになっていませんか?

投稿: 元工場労働者 | 2018年8月19日 (日) 11時32分

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