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2018年8月 6日 (月)

大塚家具の社外取締役の苦悩は察するに余り有る・・・

先週末ころから「大塚家具、身売りへ」とのタイトルで、業績悪化が顕著となった大塚家具さんについて、資本業務提携先のTKPさんや(銀行から勧められている)ヨドバシカメラさんとの事業提携の話が報じられています(たとえば産経新聞ニュースはこちら)。昨年8月に「大塚家具事例から取締役会の頑張りドコロを考える」といったエントリーを書きましたが、そちらで書いたとおり、あの時点でなんとか同社取締役会が対応できなかっただろうか・・・との思いを強くしております。

(カッコ悪い話を正直に書きますが)私もいまの大塚家具さんとほぼ同じ状況にあった上場会社の社外取締役でしたが、世間の注目度が違いますので、大塚家具さんの社外取締役の方々の苦悩の日々は察するに余りあります。私の場合、2期連続の最終赤字となり、既存のビジネスモデルでは業績向上が見込めない、まだ余力はあるが、余力のあるうちに体制を変えないと座して死を待つことになってしまうと考えたときに、社外取締役はいったい何をすれば株主からの負託に応えたことになるのか悶々と考える日々でした。

詳細は書けませんが、ファクトとしては当時の会長・社長が退任され、大株主出身の副社長が中心になって立て直しを図りましたが業績回復には至りませんでした。「小さなところで成功事例を作って、社員を鼓舞しよう」ということで、実際に成功事例は作りましたが、業績の回復にはつながりませんでした。最後は100%子会社化(上場廃止)のための株式交換に合意し、予想以上に出席者が少ない臨時株主総会では「針のむしろ」でした。あのときのことを思い返しますと、大塚家具さんの社外取締役の皆様にはどうしてもシンパシーを感じてしまいます。

大塚家具さんは、たしか3年前の委任状争奪戦の後、監査等委員会設置会社に移行し、最大で10名の取締役中5名が社外取締役だったと思います(現在は取締役6名中3名が独立社外取締役)。そもそも久美子社長が選任されたのも6名の社外取締役、社外監査役(当時)連名による経営改善要望書の提出がきっかけでしたし(たとえばこちらのエントリーご参照)、委任状争奪戦に勝利した後も、コーポレートガバナンスの健全性が大切と述べておられました。まさにガバナンス改革の実践例といえます。この3年間、大塚家具さんは、現在のような状況にならないために社外役員が活動しなければならなかったのか、それとも、現時点でこそ「身売り」を含めた企業の危機対応を先導しなければならないのか。

しかし、これまでのところ、久美子社長の退任を社外取締役が求めた、という話や事業提携や統合に関する社外役員の活躍の話は聞こえてきません。いったい、この3年間、大塚家具さんの社外役員が取締役の選任・解任についてどのような意見を形成されてきたのか、とりわけ監査等委員でいらっしゃる社外取締役の方々にはぜひともお聞きしたいところです。朝日新聞ニュースによると、昨年10月の時点では同社幹部の方が勝久元社長さんに「助けてほしい」と打診していたそうですから、あまり社外役員の方々が積極的な打開策には動いていなかったようにも思います。また、委任状争奪戦では、大株主だった保険会社2社が「スチュワードシップ・コードを尊重した議決権行使」として久美子社長(つまり会社側)の提案に賛成したわけですが、そういったことは検証する必要はないのでしょうか。

先日、ルディー和子氏のご著書「経済の不都合な話」(日経プレミア社)を読みましたが、機関投資家から「選択と集中」の要望を受けたコダック社は衰退し、内部留保をため込んで、これを元手に多角化を進めた富士フイルム社はビジネスモデルを変える機会に恵まれた、といった話が掲載されていました。機関投資家の意見を社外取締役がどう受け止めるべきか・・・という点もむずかしい。業績に陰りが見え始めた時期に、企業がどのような経営方針をとるべきなのか、その企業判断に社外役員がどのように関与すべきなのか、ガバナンスコードが改定された今こそ、このたびの大塚家具さんの事例を通して検討する必要があると思います。

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