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2018年8月20日 (月)

相談役・顧問制度の開示と任意の指名委員会の役割

今週の日経ビジネス誌(8月20日号)特集記事は、なかなかスゴイですね。「第3の森加計問題」ですか。経済界に君臨する名誉会長への2時間インタビューはおもしろいですし、今後の展開に期待します。

さて「名誉会長」ではございませんが、8月19日の東京新聞朝刊3面「核心」におきまして、「相談役・顧問 廃止の動き鈍く」と題する特集記事が掲載されており、東証一部企業の調査結果をもとに、上場企業は(相談役制度に関する)情報公開すら後ろ向きであること、この制度が経営不透明を招き、東芝事件のような不正を生む温床にもなりかねないことが(意見として)述べられていました。

今年5月にPwCあらた有限責任監査法人さんの調査では、過去1年間の「相談役・顧問制度」に関する見直しの取組を上場会社(882社)に質問したところ、「処遇を見直した、役割を明確にした」と回答した企業は合わせて12%にすぎず、「特に実施していない」と回答した企業が62%にのぼったそうです。さらに、これは7月13日時点ではありますが、改訂されたコーポレートガバナンス報告書の記載要領にしたがって、相談役制度に関する開示を行った企業は、東証1部887社のうちの47%であり、半数以上の東証1部上場企業が相談役や顧問が存在するかどうかを明らかにしていない、とのこと(東証調べ-ただし、東証のルールでは元代表取締役の方のみ開示の対象です)。

記事でコメントをされている日本総研の有識者の方がおっしゃるように、投資家からは開示制度に後ろ向きに見えるかもしれませんので、私も(たとえ罰則規定がないとしても)相談役・顧問制度に関する開示は前向きに検討すべきと思います。私は当ブログで何度も申し上げているとおり「相談役・顧問制度」にも長所があり、けっして不正の温床になるようなものではないと思いますが、投資家の皆様との対話の前提として、社内の慣行を正しく理解していただく必要はあると考えております。

なお、今年8月1日に日本取締役協会さんがリリースした「上場企業のコーポレートガバナンス調査」によれば、東証1部上場企業の45%において3人以上(もしくは3分の1以上)の社外取締役が選任され、また約4割の企業において任意(もしくは強制)の指名・報酬委員会を設置しているそうです。もし、相談役・顧問制度の弊害を議論するのであれば、むしろこのような社外取締役が中心とされている委員会が「見直し」についてどのように考えているのか、段階的な見直しを進めるのであれば、どのように関与するのか、という点について説明をすべきだと考えます。また、最近は取締役会の実効性評価を行う上場企業が多数を占めていますので、実効性評価結果の概要を開示する際に、自社の相談役・顧問制度の評価も含めて開示する、ということも検討すべきではないでしょうか。

もし、実際に社外取締役を中心に、自社の相談役・顧問制度の見直しを進めている企業さんがいらっしゃったら、またその取り組み内容などご教示いただければ幸いです。

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