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2018年9月 5日 (水)

会社法改正に向けた審議進む-社外取締役選任義務化の予感!?

関西地方の皆様はおわかりかと存じますが、台風21号、恐ろしかったですね。自宅の納屋が吹っ飛んでしまいまして(笑)、日ごろ「リスク管理」などと偉そうに語っていながら、自分の財産のリスク管理の杜撰さに情けなくなっております。皆様はいかがでしたでしょうか。

すでにいろいろなところで議論になっていますが、会社法改正に向けた審議が法制審議会で続いておりますが、直近の8月29日の審議では改正案(要綱案)のたたき台が示されたようです(法制審議会会社法制部会第16回会議の開催について)。

社外取締役の義務化(ただし会社法上の公開大会社であり、かつ監査役会設置会社に限る)については、いまのところ賛否両論が併記されている状況ですが、どうも法務省の作成した「たたき台」を読みますと法制化の流れが出来つつあるように読めますね。もちろん会社法改正を審議する場合には、経済団体経営者団体の意向がかなり重視されますので、いまだ確定というわけではありませんが、これだけ(立法事実として)大きな上場企業で社外取締役が複数選任されている状況の中で、「原則として企業の自主性に任せるべきだ」として反対する理由もないようにも思えます。前回の法改正の際に「附帯決議」もされていますし・・・

しかし平成26年改正の「社外取締役を選任しない会社は『(社外取締役を)置くことが相当でない理由』を開示せよ。ただし社外監査役が2名いる、というだけでは理由にはならない」というルールはちょっとイケてないですよね。

社外取締役の義務化を会社法で規律するとなりますと、1名以上とするのか、2名以上とするのかはわかりません。ただ、いずれにしましても「補欠取締役」を選任する必要がありますので(そうでないと社外取締役が欠員した状況で取締役会で決議ができないことになってしまいます)、各企業で「補欠社外取締役」候補者を探すことになりそうですね。

現在も補欠監査役さんは多くの企業で選任されていますが、補欠取締役さんはそれほど多くはないのではないかと。また、「補欠」とはいえ、社外取締役に就任することのほうが会社にとっても候補者にとっても(いろいろな意味で)リスクが大きいような気もいたします。中小の上場会社さんにとっても影響はありそうですが、それなりに大きな上場会社さんも、今後の会社法改正に向けた審議会の議論に注目しておいたほうがよろしいかもしれません。

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コメント

社外取締役の選任義務化、どうなるでしょうね。1部上場企業で99.7%の選任、選任していない会社も、プロキシファイト会社1社除いて3社、それも適切な人員がいれば選任する、あるいはコストの問題として、社外取締役に否定的な事業報告上の開示は今年の6月末の時点ではなかったですし。おそらく、2部、JQ、マザーズでも、過去の状況から、適任者がいない、という開示だけかと。
 また、経済団体といっても、スチュワードシップ責任を負う大手金融機関系機関投資家と意見を異にすることを考えると、呼び方を
「経済団体」→「経営者団体」
と変えた方がいいかもしれません。

投稿: Kazu | 2018年9月 6日 (木) 14時46分

kazuさん、ご指摘ありがとうございます。たしかにおっしゃるとおりですね。該当箇所を訂正いたしました。

投稿: toshi | 2018年9月 7日 (金) 11時09分

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