相談役・顧問の「失敗体験」こそ立派な知的財産では?
10月25日の日経朝刊に「相談役・顧問制度」に関する記事が掲載されていました。活動状況について、まだまだ開示されていない会社も多いようですが、アンケートに回答された会社の過半数は「相談役・顧問がいる」とのこと。ただ、相談役等がいらっしゃる場合でも、大半は「経営には関与していない」と回答されています。
元経営者の方から、よく「成功体験」をお聞きする機会があります。ただ、私がお聞きしたいのは「失敗体験」なのです(「経営は1勝9敗」と言われるわけですから)。「成功体験」をお聞きしても「それって、運がよかったんじゃないですかね?」と思ってしまうのですが、さすがに「失敗体験」は、なるほど説得力があります。あまり良い話ではないので他人に話をする際には脚色もあるでしょうが、「失敗体験」は聞いていてとてもおもしろい。また、失敗を「そこそこ」でおさめるための知恵(たとえば後腐れなく、合法的に他社に責任を転嫁させる)みたいなものは、お聞きしてとても参考になります。
相談役・顧問の方々が、本当に「経営に関与していない」のであれば、せめて現役の皆様に迷惑がかからない範囲で「失敗体験」を語り継いでいただきたいですね。なぜ成功したのか、ということよりも、なぜ失敗したのか、という理由のほうがよほど企業にとって貴重な財産になるように思います。まあ、現役のころから取締役会で「なぜ、あの意思決定は失敗したのか」と分析するような会社であれば申し上げるまでもないのですが(あんまり、そんな会社ってないですよね)。
「持続的成長」という言葉を金科玉条のごとく唱える時代であれば、私は成功体験よりも失敗体験を上手に糧にする会社のほうが強いのではないかと考えます。
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