続・代表取締役の辞任を迫った百十四銀行のガバナンスと内部統制
10月30日のエントリー「代表取締役の辞任を迫った百十四銀行のガバナンスと内部統制」(以下「前回エントリー」と表記します)の続編であります。10月30日時点では、百十四銀行さんのスキャンダルがどのような経緯で表面化したのかわかりませんでした。しかし昨日(11月2日)発売のZAITEN12月号の記事を読み、ようやく納得いたしました。この百十四銀行さんの事件がZAITENで表に出る前に、同行が自社の対応を公表することにした可能性が極めて高いと思われます。
しかし地銀トップのスキャンダルを調べ上げ、(推測にすぎませんが)社内処分をリリースさせたZAITENもなかなか、ですね。本エントリーをお読みの皆様の会社で同じことが起きた場合、ZAITENさんの記事が掲載される前に動きますか?それとも様子見ですかね?
会長および執行役員とともに、取引先との宴会に同席させた「女性社員」とは、20代の入社まもない行員だったそうです。前回エントリーでは「幹部候補であれば問題ないのでは」と書きましたが、このZAITENさんの記事が真実だとすればちょっと元会長さん、執行役員さんを弁護する余地(善解の余地)はなさそうです。しかし本当に取引先の要望で新入の女性行員を同伴させたというのは・・・・・ちょっと信じられないですね(ZAITEN誌によると、現実に取引先から「セクハラの範疇を超えた不適切行為」があったということですから)。
また、前回エントリーでは、百十四銀行さんの内部統制やガバナンスには一定の評価が与えられるのでは・・・と述べましたが、ZAITENさんと百十四銀行さんの広報とのやりとりを読みますと、あまり社内処分や公表には熱心ではなかったことが窺えます。このようにZAITENさんのスキャンダル記事が掲載される予定を知って処分を公にした・・・・ということであれば、ちょっとガバナンスや内部統制を前向きに捉えることには躊躇いたします(つまり前記エントリーの一部を訂正したいと思います)。さらに、内部通報が同行に届いた事実は間違いないようですが、しかし通報事実がZAITENのもとに届いている事実も間違いないわけですから、同行の通報受理後の調査に問題があったことが推測され、この点からも内部統制が有効に機能していたかどうか疑問が残ります。
なお、前回エントリーにおきまして、
①けっして経営トップが不適切行為に及んだわけではないものの、取引先の行為を制止できなかった点を問題視して社内調査に持ち込んだ経緯や、②穏便にすまそうとした社内の空気を社外取締役が一切読まずに正論で押し切った経緯、③そして会食が行われた2月から通報があった5月までの間、社内で本件はどう扱われていたのかなど、もう少し詳しく知りたいところです
と書きましたが、ZAITENの記事を読んでも、そのあたりは明らかにはなりませんでした。とくに社外取締役が、当初の社内処分に異を唱え、外部弁護士による調査に持ち込んだ経緯については、上記記事にも何ら掲載されていません。むしろこのZAITENさんの詳細な記事と百十四銀行さんの記者説明とのギャップから推測しますと、銀行自身が自浄作用を演出したような穿った見方も成り立ちます(おそらくそんなことはない、とは思いますが・・・)。会長さんは社外取締役も辞任されたそうなので、今後は「これで収束」ということになるのかもしれませんが、ZAITEN記事によって真相はさらに闇の中に埋まっていくような気がいたしました。百十四銀行さんの内部統制、ガバナンスが果たして評価できるものであったのか、それとも私の推測が間違っていたのか、どこかで第二報が出てくることを期待しております。
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