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2018年11月 9日 (金)

会社と意見相違した会計監査人の判断理由開示について(2)

さて、昨日のエントリーその(1)の続きでございます。改めて申し上げますが、私の意見はどこからか引用した考えではなく、あくまでも私の個人的な妄想(?)によるものでありますので、誤解なきようお願いいたします。

昨日は「なぜ(会社と意見相違した会計監査人の判断理由を開示する)制度が、市場の健全性の有効性・効率性の確保、会計監査の有効性・効率性の向上に資するものとなるのか」といった疑問を呈しました。企業側からも監査法人側からも、いろいろとご異論が予想されるにもかかわらず、このような制度を策定するにあたっては、その「社会資本」としての価値が必要ではないかと考える次第です。

まず、市場の有効性・効率性を向上させる・・・という点は、費用対効果を厳密に精査する行政規制手法の在り方との関係です。会計監査の有用性を高めるにあたり、できるだけ行政の資源を投下しないで高い効果をあげる方法を考えます。他の省庁でも同様の手法が採用されますが、競争原理の導入と利用者のリテラシーの向上の「合わせ技」に求められます。つまり利用者(ここでは投資者)のリテラシーを向上させつつ、会計監査の主体に競争原理を持ち込み、「信頼できる監査法人」と「そうでない監査法人」について投資者の目利き力による選別に期待をします。

「監査法人の適正意見ならどこも一緒」ではなく、「あの監査法人の適正意見なら信用できる(高い報酬も当然だ)」といった投資家の感覚が、ひいては企業による監査法人の選別につながるというもの。いわば「利用者志向の財務報告」を実現するプロセスであり、これに近い考え方は旬刊商事法務の最新号(2181号)スクランブル「KAM導入は利用者志向の財務報告をもたらすか」でも披露されています。ただ、このような考え方が成り立つためには「監査意見も間違えることがある」「監査意見は神聖不可侵ではない」ということが所与の前提であり、「監査意見にもセカンドオピニオンがある」ということを認めなければ出てこない考え方だと思います。

そして、会計監査の有効性・効率性を向上させる・・・という点ですが、これは「会計監査の信頼向上は会計監査人の努力だけではなしえず、市場の番人としての共助の精神が必要」というものです。たとえば自動車のリコールの要否については、日本では専門性の高い技術が必要なのでメーカーと国交省との協議で判断されますが、米国では一般市民の意見や情報も取り入れながら「みんなで決める」(だから不具合に関する情報提供義務違反には厳しい制裁が課されます)もの。これと同じように、会計監査の質を高めるためには利用者、被監査企業、他の監査人らを巻き込んで、よりよい「解」を求めるという考え方です。したがって、ここでは会計監査人の説明義務がクローズアップされますし、当然のことながら被監査企業に対する守秘義務解除のための「正当理由」との関係が問題となります。また「よりよい解を求める」というためには監査意見にはセカンドオピニオンもある・・ということを認めなければ前に進まないと思います。

おそらく「会計監査制度のあり方」の根本に関わる問題と思いますが、ではなぜ今「会計監査制度の社会資本としての価値」を語る実益があるのか・・・そのあたりは(その3)で述べたいと思います。

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