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2018年11月15日 (木)

企業統治改革が進む中でのソフトバンクGの親子上場

各紙で報じられているとおり、ソフトバンクグループさんの通信子会社が12月に上場するとのことで、超大型親子上場(の関係)が誕生することになります。ビッグな調達額や有利子負債額の話題が満載ですが、唯一、読売新聞(11月13日朝刊)だけが親子上場を審査した東証さんの苦悩について報じておりました。

7月の予備申請から4カ月、東証さんは通信子会社(ソフトバンク社)の独立性確保に関する判断に相当慎重だったそうです。最後は、親会社の会長兼社長の方が通信子会社の代表権を返上したことで「経営の独立性が高まった」との判断に至り、承認されたようです。親子上場は(いろいろと利点もあるものの)日本特有のもので、海外投資家からの批判なども考慮してうえでの慎重対応だったと思われます。

ただ、企業統治改革が進む中で、親子上場を選択するにあたっては、情報開示や行動規範の実践という面で気苦労は増えるのではないかと思います。たとえばコーポレートガバナンス・コードの原則1では、株主の権利・平等性が強く要請されており、構造的には親子上場はこの原則に違反するおそれを常に抱えています。通信子会社の経営判断において、他社以上に少数株主の利益に配慮している旨の情報開示を心掛けねばなりません。

また、当然のことながら機関投資家の議決権行使の姿勢も厳しくなるわけでして、たとえば三井住友信託銀行さんは、昨年12月、上場子会社の取締役会については3分の1以上を独立社外取締役とすることを求める旨、自社ガイドラインで明らかにしています。現に、新日鉄住金さんの上場子会社である日新製鋼さんの今年の総会では、同行は上記の条件を満たしていないとして取締役10名全員の再任議案に反対票を投じています。

さらに、現在経産省で審議されているグループ経営管理指針への対応です。来年春ごろに正式版がリリースされる予定だそうですが、攻めと守りの両面から、親子関係の適正化を図るためのガイドラインが示されるので、とりわけ親子上場のケースではどこまで指針に沿った経営管理ができるのか、注目される点かと思います(独立性が十分に確保されている上場子会社の経営とグループ・ガバナンスの発想は両立するのでしょうか)。いずれにしましても、上記読売新聞でも解説されているとおり、(企業統治改革が推進される中で)親子上場の数自体は今後も減少傾向にあるのかな・・・と推測いたします。

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