« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »

2019年2月28日 (木)

指名委員会委員である取締役の善管注意義務について

大手スーパーのいなげやさん(東証1部)の自浄作用が半端ないです。内部通報に基づいて社内規則違反に及んだ3名の従業員の不正が発覚したのですが、当該3名に対する懲戒処分、そして監督責任として専務取締役さんに対する解職決議(→取締役辞任)だそうです。そしてこの不正を公表した理由は「公正な調査を実施するため、および関係者の隠蔽を防止するため」とのこと。うーん、なかなか厳しい・・・。(ここから本題)

昨日に引き続き、独立社外取締役に関する話題です。株式会社LIXILグループさんが2月25日に開示した「当社代表執行役の異動における一連の経緯・手続の調査・検証結果について」を読みました。すでに多くのメディアが取り上げているLIXILグループさんの経営権に関する話題なので、事例はご紹介するまでもないと思います(なお、この会社は指名委員会等設置会社です)。

機関投資家などのステイクホルダーから「CEO交代の経緯が不透明である」との指摘を受けて、監査委員会が主導して調査を行い、その結果を開示した姿勢は評価できます。おそらく社内では開示するにあたっては相当に葛藤があったと思いますが、一連の事実経過は、かなり詳細に記述されているようです。元CEOの退任の意思表示には(まちがった情報に基づく錯誤があるため)瑕疵が認められ、意思表示は無効ではないか・・・との疑問が呈されていました。しかし、この調査では、認定した事実をもとに「無効と言えるほどの瑕疵はない」と判断しています。

元CEOの方の意思表示の有効性、その意思表示を前提とした取締役会の決議の有効性といった論点は、先例などを参考とした法律的判断を伴うものなので、ここでは私的な意見を述べることは控えます。ただ、この調査結果が正しいとしますと、指名委員会を構成する5名の取締役さんが(当時)何をしなければならなかったのか・・・という点が次にクローズアップされることになると思います。この「一連の経緯・手続の調査」は、事実経過と機関決定の有効性に焦点を当てておりますが、指名委員会や取締役会に出席していた取締役が善管注意義務・忠実義務を尽くしていたかどうか・・・という点は調査範囲外のようです。

(審査の対象となる)CEOの方が、本当に自分から退任する意向を示しているのかどうか・・・、これをどうやって確かめようとしたのか、たとえば確かめるにあたっては指名委員会の誰が代表でヒアリングするつもりだったのか、取締役会当日、当のCEOは退任に反対の意思を表明しているにもかかわらず、「あれ?話が違うんじゃないの?」ということで、指名委員会による再協議を誰も申し出なかったのか(ちなみに指名委員会は執行役の選解任を拘束しないのが会社法のルールですが、LIXILさんでは事実上の慣行として執行役の選解任の決議も拘束していたそうです)、時間を巻き戻して考えてみると、いろいろと疑問が生じてきます。

CEO交代を決する取締役会の決議の前に、(やむをえない事情があったそうですが)指名委員会委員であるお二人の社外取締役さんが帰ってしまったという生々しい事情も記述されていますが(*´Д`)、もしこのような会社の有事に直面した場合に、指名委員である取締役に求められる善管注意義務とは果たしてどのような行動なのか・・・、とても考えさせられる事案だと感じました。このたびのコーポレートガバナンス・コードの改訂は、まさにこのような場面を想定して取締役会の監督機能の強化、経営トップの選解任手続の透明化を求めているはずです。見方によっては「やっぱり社外取締役なんてお飾りだよね」と言われてしまいそうで心配です。さて、このリリースを前提として、機関投資家の方々は今後どのような対応をされるのか、興味は尽きません。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2019年2月27日 (水)

上場子会社の独立取締役は厳しい仕事ですよ!(ホンネです)

本日(2月26日)の日経朝刊に、「上場子会社に独立取締役-政府、未来投資会議で新指針、少数株主の利益保護」なるタイトルの記事が掲載されていました。政府が株式市場に親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを新たに作る、として、経産省の企業統治実務指針の整備(予定)を紹介しています。2年ほど、上場子会社の独立社外取締役(セブン&アイグループ⇒ニッセンHD 50.6%→100%)を経験した者としてひとこと。

まず、なんといっても上記記事にあるとおり「少数株主保護」という明確な目標のもとで経営戦略に参画します。とくに「100%子会社になることよりも、51%を大株主が保有している状況で上場を維持するほうがシナジー効果が高い」ということが説明できるかどうか、常に考えておりました。100%子会社化したほうが機動性、効率性の面で高いパフォーマンスを発揮できるのであれば子会社上場している意味はないわけでして、従業員の意欲や取引先との関係、親子間の業種の差異など総合的に判断して「少数株主にも株式を保有するメリットがあります」と確信してもらえるかどうか、つねに独立社外取締役としては配慮する必要があります(なお、これは業務資本提携によって子会社化された場合の話でありまして、もともと親会社の一部だった事業を諸事情によって分社化した場合には状況がやや異なりますので念のため)。

つぎに親子間の利益相反の排除ですが、これは上場している子会社だけでなく、非上場で少数株主が存在する会社でも同様の問題が生じます。当然のことながら、親会社は子会社に対して利益相反的な注文をつけてきますので、少数株主の利益が不当に阻害されないかどうか、慎重な配慮が必要です。子会社が育てたビジネスの芽が伸びてきたときに、いきなり親会社にとられてしまうようなことは典型例です。以前であれば「うーーーん、まぁ、短期的にみたら子会社に損失が出るけど、中長期的にみればグループ全体の利益向上には資するのだから、まあしかたないか」といった思考過程で経営判断を下すこともありえたかもしれません(平成24年の日産車体株主代表訴訟あたりも参考にして、そのように考えていたように思います)。

しかし、親会社が上場しているケースでは要注意です。昨今の企業統治改革の影響で「資源の最適配分が求められるなかで、いつ売却されてしまうかわからない」というのが上場子会社の置かれている状況です。親会社にも多数の社外役員が存在するわけで、最近は「親会社の攻めのガバナンス(選択と集中の推進)」という理由で(機関投資家の後押しもあって)子会社はいつグループ外に押し出されてもおかしくないのです。たしか今回の経産省実務指針でも推奨されていたと記憶しています。そうなりますと、「短期的には損だけど、中長期的には・・・」といった悠長なことは、子会社の社外取締役も言ってられない状況であり、短期的に子会社に損失が出る利益相反行為に対しては(少なくとも独立取締役は)断固たる姿勢を貫く必要があります。そうでなければ少数株主への説明責任は尽くしづらいでしょう。合理的な説明に失敗すると、利益相反行為自体が、会社法では「特定株主への利益供与」とみなされて刑事・民事責任を追及される可能性も残ります。

そしてなんといっても企業統治改革の影響で、シナジー効果が得られない場合には、常に親会社による子会社の統合(合併や株式交換)、非上場化の可能性も考えておかねばなりません。現実化しますと上場子会社の独立取締役にとってはまちがいなく「有事」です。他の仕事を放置してでも(?)少数株主保護のための様々なプロセスを主導(「関与」ではありませんよ!「主導」ですよ!)しなければ代表訴訟のリスクにさらされることになります。統合を決議する臨時株主総会が終われば「やれやれ」などという甘いものではありません。どんなに統合比率を高めるために頑張ってみたとしても、賠償責任に関する消滅時効の期間が経過するまでは(自分が退任した後の会社がD&O保険をかけ続けてくれることを祈りつつ→私の場合は、会社との間で保険をかけ続けてくれることについて契約書を作成しました・・・)「一定の覚悟」は保持しなければなりません。いや、ホント、上場子会社の独立取締役は(まじめにやればやるほど)つらい仕事であります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月25日 (月)

会計不正の「いま」を知る-「鼎談・不正-最前線」

9784495208417_600日経ビジネス誌の最新号(2月25日号)の特集は「実録-不正会計(気づけば あなたも当事者に)」ということで、近時の会計不正事件が大きく取り上げられています。また、サンケイビジネスニュースでも「東京商工リサーチ特別レポート」として、開示されている会計不正事件が、ここ数年急増していることが報じられています。いずれも上場会社の不祥事の増加に警鐘を鳴らす内容ですが、私からみると、とくに上場会社の不正が増えているわけではなく(これまでも同様の不正事件は発生していたのですが)、発生した会計不正事件に対する会計監査人(監査法人)の審査が著しく厳しくなってきたことで、「不祥事の見える化」が進んできただけと考えております。

このようにメディアで取り上げられている会計不正の「いま」を知るのに最適なのが上の書籍です。2月15日に発売されましたが、この週末に一気に読了しました。

鼎談-不正-最前線 これまでの不正、これからの不正(八田進二、堀江正之、藤沼亜紀 同文館出版 1,900円税別)

会計監査の世界では重鎮として知られた3名の学者・実務家によって会計不正の「いま」を語り合う座談会記録です。企業不正の現況認識から始まり、会計不正と内部統制、ERM、監査との関係、国際動向、テクノロジーの発展と不正、不正に関する教育や人材育成が中心テーマです。会計専門職の方々が、いま発生している上場会社の会計不正に対してどのように向き合い、また会計監査は今後どのように向き合うべきなのか、企業実務家にとっては関心が高いところです。とくに2016年3月に公表された「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言書の内容が次々と具体化され、実施される中で、有事だけでなく、企業における平時の不正リスクの認識においても参考となる意見がいろいろと述べられています。

品質偽装や不正競争防止法違反事件などは、一見すると会計不正とは関係なさそうにみえます。しかし、重大性があれば会計的には偶発事象として財務諸表に注記が必要となり、また合理的な金額的見積もりによって引当金計上が求められるので、本書の話題は会計不正を超えた「企業不正」にも広がります。またグループ会社における不正が親会社のレピュテーションにも影響を及ぼす時代となり、会計監査の世界でも「グループ内部統制」に大きな関心が向けられていることにも言及されています。

さらに、ダボス会議でも有名になりましたが、世界がVUCA化していることから(変動性、不確実性、複雑性、曖昧化が進んでいることから)、不確実性の時代を前提としたリスクマネジメントが求められるようになり、COSO-ERMに真剣に取り組む企業が増えていることも紹介されています(おそらくリーマンショックにおける「ブラックスワン」の影響かと思います)。このあたりは、内部監査に力を入れだした企業が増えていることとも無縁ではないと思います。ホント、リスクに脆い組織と強い組織がありますので、自社が不正リスクに脆いのか強いのか、そこをまず(内部監査によって)きちんと実態把握することが大切です。

おそらく本書を読みたいと考えている方は「八田さんや藤沼さんの考え方を知りたい」という気持ちが強いかもしれませんが、私は一読して堀江先生(日本監査研究学会会長)の意見に最も共感を抱きました。内部統制報告制度の改正に向けた堀江先生の考え方には賛同するところが多かった。日本公認会計士協会への注文なども八田先生や堀江先生から出されていますが、ぜひとも実務に活かしていただきたいと思います。また、「法と会計の狭間に横たわる問題」についても議論されていますが(たとえば監査役監査の在り方等)、3名のご意見に対して、法律専門家もどのように受け止めるべきか、熟考すべきところもありました。なお、ACFE(公認不正検査士)JAPANの理事長に就任された藤沼先生が、不正調査の専門職としてのCFEの役割を逐次解説いただいており、ぜひCFE取得をお考えの方にもお読みいただきたいところです。

上記日経ビジネス誌でも取り上げられていたH社の会計不正事件などは、第三者委員会報告書が出た直後に、新たな内部通報が監査法人に届いたために、さらなる追加調査という事態になりました。これにより、H社のレピュテーションが大きく毀損されることになりましたが、ではなぜ通報が(第三者委員会報告書が開示された直後に)監査法人に届いたのか・・・。私も第三者委員会の委員を務めていて、このあたりの会計監査の厳格性を認識しましたが、こういった最新事情も、本書を読みますと「なるほど」と改めて認識するところです。

なお、本書への批判すべき点をあげるとすれば(もちろん個人的意見です)、まず誤字脱字が多い(笑)。一読しただけで、13か所の誤字脱字が見つかりましたので、関係者の皆様も最終チェックが甘かったのではないかと(まあ、私も人のことを言えたものではありませんが・・・でも「真剣に読んでやろう!」と考えている読者には気になってしまうのですよね・・・)。次刷のために、私が見つけた分は出版社に連絡しておこうと思います。そしてふたつめが「鼎談」であるにもかかわらず、「意見の相違」が少ない。みなさま「お仲間」なので、それぞれの意見の相違があらかじめわかっているから、かもしれません。しかし読者は「それは違います!」といった白熱した議論があるほうが座談会モノの場合には読んでいておもしろいと思います。そういった意味では週刊経営財務の最新号(2月18日号)の「座談会-KAMを意義あるものとするためには何が必要か」は、実務家と会計プロフェッションとの意見の相違が明確になっていて読み手を惹きつけるオモシロさがありますね。

ともかく、会計監査の最新の知識やスキルを学ぶということよりも、監査のプロフェッションが会計不正のどこに関心を持っているのかを知ることに興味を持っておられる方にはおススメの一冊といえます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月20日 (水)

事業再編時の情報統制と取締役会の監督機能

昨日の廣済堂さんの「監査役の乱」の続編ですが、本日(2月19日)、会社側から「当社監査役のMBOに対する反対の意見表明について」と題するリリースが出ており、会社側が社外監査役さんの質問に回答しなかった理由として「創業家大株主と当該社外監査役さんの代理人が同じ弁護士(もしくは同じ法律事務所の弁護士)」ということが記されています。社内の機密情報が一部の株主に優先的に提供されることを回避したいため、とのこと。

もし、リリースにあるように、大株主さんと社外監査役さんの代理人が同じ・・・ということであれば、(私個人の意見ではありますが)これは監査役さんとしても善処すべきではないかと考えます。監査役さんの監査権限は(中長期的な)株主共同利益の向上のために行使されるべきであり、一部の有力株主のためではマズイと思います(たとえご本人が総株主のため、と考えていても、外見上はやはり一部株主の利益を図るように見えてしまいます)。他の株主からの賛同を得るためには、ここは大株主とは別の代理人を立てて会社側と対応する必要があるように思いました。

日経ビジネスの最新号(2月18日号 雑誌のほうです)の「有訓無訓」(5頁)では、元ペンタックス社長でいらっしゃる方が、2007年のHOYAとの経営統合(合併)を推進する際に、取締役会で突然動議を出されて解職された経験を語っておられます。事業再編はスピードが命・・・ということで「取締役にも大株主にも話すな」との法律事務所の意見を尊重して他の取締役には相談せずに統合作業を進めていた、とのこと。「なんらかの形で意思疎通をするやりようはあったのでは」とも述べておられます。スピード重視で情報統制を厳しくしなければならない、ということも理解できますが、一方で、重要な経営判断を取締役会を無視して決められてしまった他の取締役の気持ちもわかりますよね。

両事例をみていて、「俺は聞いてないよ」ということで役員の反発が生まれるのではなく、何かその前に伏線があるように感じます。情報統制によるボタンの掛け違いはあくまでも「引き金」にすぎないのかもしれません。スピード重視の経営のために、M&A案件などを一部の取締役だけで情報共有して進めることもありますが、それは何でも議論できる取締役会の雰囲気があるからこそ他の取締役の理解も得られるのではないでしょうか。普段から常務会や経営会議が実質審議の場となり、取締役会が「単なる承認の場」「事後報告の場」となってしまいますと、コミュニケーション不足が修正されないままにスピード経営なのか社長の独断経営なのかわからなくなります。会社ごとに取締役会の様子をよく観察しなければ、どこまでの情報統制が適切なのかは判断はつきかねるように思います。

余談になりますが、本日出た不貞行為の相手に対する(離婚時)慰謝料請求の最高裁判決について、メディアの紹介の仕方が少々心配です。それこそ事件の背景と法律論(消滅時効や慰謝料の性質)を併せて紹介しなければ、読者をミスリードしてしまう可能性大です。ビジネス法務の世界とはくらべものにならないほどの社会的影響力のある判決ですが、だいじょうぶでしょうか。。。こういった判決を社会にきちんと伝える役割を法務ブログが果たすべきでしょうね(すいません、私の力量ではちょっと無理ですが。。。)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2019年2月19日 (火)

ひさびさの「監査役の乱」?-廣済堂MBOに社外監査役が反対表明

今年1月にMBOを決議した廣済堂さんにおいて、創業家大株主と同社の社外監査役の方(元経営者)が反対を表明し、近々声明を公表されるそうですね。東洋経済さんのスクープの後、日経でも報じられるようになり、18日の夜には廣済堂さんが釈明のリリースを出しています。これは久しぶりの「監査役の乱」かもしれません。

ただ、以前の「監査役の乱」の頃とは時代が違いまして、企業統治改革が進み、取締役会の多様性が推奨される時代です。かつては「こら!監査役!お前があばれたら株価が下がるやないか!ひっこんどけ!」と(短期的利益の追求を重視した)株主の皆様から罵声を浴びせられることもありましたっけ(なつかしい・・・)。

しかしながら時代は変わり、市場では「これは企業価値を毀損するから反対だ」「きちんと事前の説明もないのだから反対だ」といった意見が出てくることを(コーポレートガバナンス・コードによって)歓迎する時代になったのですから、他社でも同様の事態は普通に想定されるはずです。「経営陣が株主の利益を第一に考えていない」と判断すれば、会社のレピュテーションの毀損に配慮しながら(少なくとも社外役員は)個人的な反対意見を述べることが期待されています。

全会一致ではなく、こういった意見が議事録に掲載されている中で、もしMBOが失敗した場合、全会一致の場合と比較して取締役の法的責任が認められやすくなるのでしょうか?裁判官としては、代表訴訟における原告株主側の主張に引っ張られてしまう可能性も否めません(まあ、この点はいろいろと意見は分かれると思いますが)。ちなみに会社側の釈明のリリースには「取締役会終了直後は『がんばってね』と言っていたではないか。とくに反対の意思は示していなかったではないか」との会社意見が述べられていますが、そもそも直前に説明を受けた監査役さんが「俺は聞いてないぞ」と言って暴れだすほうがおかしいわけで(笑)、経営者までされていた方は、とりあえずその場では紳士的に振る舞うのが当然ではないかと。後日、社外役員が十分な情報を入手しえた時点で反対意見を表明するということも、普通に起きると考えます。

かりにMBOがとん挫してしまいますと、MBOを決議したプロセスが問題とされる可能性も出てきます。そうなりますとシャルレMBOとん挫株主代表訴訟の2014年10月16日神戸地裁判決が示すような法的リスクにも留意しなければならず、会社側としても今後の対応には慎重を期す必要がありそうです(とりあえず、本日は第一印象程度のみ)。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

成長戦略法制-イノベーションを促進する企業法制設計

411ggsk6xl_sx350_bo1204203200_ 今朝(2月18日)の日経朝刊法務面では、AI開発における法制面での制約が技術開発の萎縮を招き、海外との競争力の差につながりかねないとして、各企業による自主ルールの活用が紹介されていました。AIに対応した法的インフラの整備は喫緊の課題として、経済界から法律の世界に様々な提言が出されています。

成長戦略法制-イノベーションを促進する企業法制設計(成長戦略法制研究会 編 2019年2月 商事法務) 3,400円税別)

さて、西村あさひ法律事務所の武井一浩弁護士からご恵贈いただきました本書は(どうもありがとうございます!)、いま日経法務面で特集されている各記事を理解するには最も参考となる一冊です。日本企業の知財戦略、オープンイノベーション、働き方改革と成長戦略、ベンチャー投資法制、国際紛争解決に向けた効率的な対応等、最近の日経法務面で、頻繁に取り上げられている話題について、経済学者や行政官の立場から法律学に対して(日本企業の成長に向けた)提言が示されています。本日の日経法務面の話題も「デジタルイノベーションと成長戦略」として取り上げられています。

本書は、2016年4月ころから開始された成長戦略法制研究会の発言録や同会会員の方々によるご論稿をとりまとめたものです(武井一浩弁護士も上記研究会委員のおひとりですね)。会社法改正の目玉である株式交付制度(M&A法制における)なども、本書をお読みになりますと興味が湧いてくると思います。

P_20190216_222538_400上記の新刊書とは異なりますが、2016年3月に出版されたこちらの本を、私は拙ブログのネタ本として活用しております。経済成長のために、金商法や独禁法のルール(創造や解釈を含めて)はいかにあるべきか・・・という点を考えるにあたって、豊富なヒントが語られていてとても参考になります。

「成長戦略論-イノベーションのための法と経済学」(ロバート・E・ライタン編著 木下信行・中原裕彦・鈴木淳久監訳 NTT出版 2016年)

本書は米国の経済学者が中心になって、米国の経済的な成長を後押しするための法創造や法運用の在り方に関する論稿を集めたものであり、(今回初めて知ったのですが)上記「成長戦略法制」の著者の多くは、本書の監訳にあたっておられた方々です。経産省では平成22年ころから「成長戦略と法制度のあり方」については研究が重ねられておりましたので、その流れの中で監修作業が続けられたものと推測します。

昨日(2月17日)のNHKスペシャルで「田中耕一、ノーベル賞受賞からの苦闘の16年」を視聴しましたが、まさに上記「成長戦略法制」で語られていた「日本企業におけるイノベーションの阻害要因」を認識しました。また、グローバル企業との競争に負けないためには法務部門の強化が不可欠であることや、企業法務に携わる者が(ソフトロー等を通じて)法創造機能を発揮する必要性も、本書から認識したところです。なお、「成長戦略論」の全体像は、上記「成長戦略法制」の第1章にて概要が示されていますので、もしご興味がありましたら、このほど出版された上記「成長戦略法制」をまずご一読されることをお勧めいたします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月18日 (月)

企業実務に大きな影響を及ぼすパワハラ防止体制の法制化

2月15日(金)の日経朝刊記事にもありましたが、厚労相が提出した女性活躍推進法等の一部改正に関する法律要綱案が労政審議会で承認され、3月の通常国会に法案が提出されるようです。注目のパワハラ防止義務の法制化ですが、「労働施策推進法(以前の雇用対策法)の一部改正」として導入されることになりました。パワーハラスメントの定義としては「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と、要綱案では示されています。

かなり小さな事業主(たとえば小売業であれば資本金5000万円、継続雇用の従業員50名以下等)については、パワハラ体制整備義務は(公布日から3年間)努力義務とされていますが、全事業主に対してパワハラ通報をした従業員、パワハラ調査に協力した従業員への不利益処分の禁止を定めています。日経の見出しにあるように、大企業は違反に対する行政処分付きでパワハラ防止体制の整備が義務化されるようです。では「どこまで体制を整備すればいいのか」という点は、今後政省令にて指針を策定するとのこと。

今年はいろいろな働き方改革関連法が施行されますが、もっとも企業実務に影響を及ぼすのは来年施行予定のパワハラ防止法でしょうね。そもそもセクハラの「グレーゾーン」はグレーゾーンごと禁止してしまえばよいのでしょうが、パワハラの「グレーゾーン」は(適切な指揮監督関係を委縮させてしまいかねないので)事業主が白黒をはっきりとさせなければなりません。その「はっきりとさせる」ことに失敗すれば「ブラック企業」との烙印を押されたり、判断者が「セカンドパワハラ」として被告にされてしまうリスクは極めて大きいはずです。

審議の中で論点とされていた「労働者に対するパワハラ禁止規定」は盛り込まれませんでしたが、事業主や労働者のパワハラ配慮義務(努力義務)は盛り込まれています。したがいまして、今後、各事業主において自主的に策定されるパワハラ防止に向けた自主ルールにおいて、従業員へのパワハラ禁止規定が盛り込まれることが予想されます。いずれにしても、きわめて忙しい厚労省管轄の対策となりますので、パワハラ対策には事業主による自主解決を期待するものとして、自主解決が期待できない状況に至って、厚労省が厳しい事後規制に臨む・・・という建付けにて運用されることになりそうです。

会社法上の(役員の)内部統制構築義務や内部通報制度の在り方にも関連する大きな法改正なので、今後の労働施策推進法の改正作業に注目しておきたいと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2019年2月14日 (木)

監査法人のビジネスは監査からコンサルタント業務へシフト?

内部通報制度の自己適合宣言登録申請の受付が、2月12日に開始されましたね(関心のある方は、商事法務研究会さんの関連ページをご覧ください)。果たしてどれくらいの企業さんが申請し、また認証されるのか、そして認証マークはどのように活用されるのか、今後の運用が楽しみです。

さて(ここからが本論ですが)、毎年恒例の週刊エコノミスト「弁護士・会計士・弁理士」特集記事(2月19日号)をさっそく読みました(結構楽しみにしております)。今年は「進化する弁護士・会計士」ということで、起業する弁護士・会計士や組織内弁護士・会計士に光があたり、私の知らない世界も垣間見えて面白い内容です。

そのような中、「弁護士が日本版司法取引の施行でコンプラ特需!」などという記事もありますが(ホンマかいな?(*´Д`)?)、一番興味を惹いたのは「監査報酬が上昇、目立つ『新日本離れ』」なる特集記事。伊藤歩記者お得意の(?)詳細な調査・分析に基づく記事でして、読み応えがあります。最近、新日本監査法人さんから別の大手監査法人・準大手監査法人に会計監査人が代わった上場企業が多いことが読み取れます。

「新日本離れ」の原因としては、記者の指摘する「東芝の会計不正事件の影響」ということもたしかにあるかもしれませんが、最近の会計不正事件への会計監査人の厳しい対応、頻繁な監査人交代をみておりまして、他の大手監査法人も含めて「できればリスクの高い企業の監査は避けたい、もしくは続けるとしても、厳しい監査基準に見合う監査報酬に増額したい」といった気持ちの表れ、ともいえそうです。

つまり、新日本さんは、どこよりも早く決断し、ビジネスモデルの転換に舵を切ったのでは、というのが私の見立てです。1月22日に東証さんが適時開示ガイドブックを改訂され、監査人交代時における理由開示の詳細化を要請していますので、今後はこのあたりも明らかになってくるかもしれません。そこにもし東芝事件の影響があるとすれば、「監査意見にもセカンドオピニオンはありうる」という認識が、監査業界において共有されてきた、という現実ではないかと(だからこそ会計監査における情報提供の充実が求められるわけですが・・・)。

監査報酬を上昇させることも経営面では大切ですが、もっと効率的なのがアドバイザー、コンサルタント事業にシフトすることです。これだけ監査業務のリスクが高まり、監査自体も厳格になっているわけですから、企業としては監査に耐えうるガバナンス、内部統制に力を入れるのが当然であり、そこに監査法人のアドバイザリー業務の需要が高まります。最近は不正発見、予兆発見のためのAIソフトも稼働しており、監査スキルを持った人的資源の不足を補う道筋も見えてきました。そこで、たとえ会計不正が発生したとしても、決算修正に至る前の重要性に乏しい不正で見つかれば、企業にとっても費用対効果という面でも合理的です。

なんといっても、独占業務である監査実務を経験されてきた方々がアドバイザーとして会社を支援するわけですから、これは監査法人さんの強みだと思います。上記週刊エコノミストの特集記事「組織内弁護士のトレンド」では、企業内弁護士も実務経験のある法律家への需要が高まっているそうで、このあたりは弁護士も会計士も同様かもしれません。おそらく大手監査法人は監査収益よりもアドバイザーとしての収益のほうが(現状でも)上回っているものと推測いたしますが、その傾向は(監査の厳格化が増すにしたがって)さらに強まるものと思います。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2019年2月12日 (火)

デサント株式に対する敵対的TOBと取締役の経営責任

すでに報じられているように、スポーツ用品大手のデサントさんの経営陣と伊藤忠商事(筆頭株主)さんの対立は、敵対的TOB(株式公開買い付け)に発展しています。伊藤忠さんの買付期限は3月14日だそうで、市場外買付により、出資比率を30.4%から40%に引き上げ、経営体制を刷新する予定だそうです。これに対してデサントさんの取締役会ではTOBに反対を表明しています。

「敵対的TOB」は(大規模企業によるものとしては)2006年の王子製紙、北越製紙の事例以来ほとんど行われておらず、しかも成功例がない、日本の企業文化にはなじまないのではないか・・・、といったことが報じられているものの、マスコミネタとしては興味深いところです。私のブログでも2006年当時、王子・北越紛争は何度もエントリーで書かせていただきました。ただ、12年前と現在とでは「敵対的TOB」を取り巻く経営環境が変わってしまって、私のような「場末の弁護士」が面白おかしく(?)語るネタではなくなったような気もします。

伊藤忠さんが「突然のTOB表明」に至ったというのは、たしかに王子・北越紛争の法的規範から学んだところが大きいと考えます(たしか、当時の王子製紙の社長さんが、北越さんに仁義を切ったのが失敗だった-あらかじめ礼を尽くして「やります!」と宣言して準備期間を与えてしまい、法的に苦しい立場になった-と反省されていた会見を記憶しています)。しかし株式時価の5割増しの買付価格を提示したのは2017年のソレキア・富士通の例を参考にしたものと思います(ホワイトナイトになりたくても、取締役会の合理的な判断が優先)。さすがに5割増しとなりますと、よほどのシナジー効果が認められないかぎりは支援したくても取締役会がナットクしない可能性が高いです。支援企業の役員が経営責任を問われかねません。

効率的な支配権取得(協議継続が前提であれば40%で十分)を目指す、ということで、40%を買付上限としたことも含めて、伊藤忠さんとしては、TOBに関わる会社役員のリーガルリスクへの配慮よりも、経営責任を尽くすことへの配慮を優先した戦略を採用したと考えます。なんといいますか、語弊があるかもしれませんが「真綿で首を絞める」ようなプレッシャーをかけて交渉するような感覚でしょうか。そもそも敵対的買収防衛の場面において、日本の取締役は善管注意義務違反に(司法の場で)問われる可能性は極めて低い・・・敗訴リスクだけでなく、提訴リスクも乏しい・・・というのが王子・北越紛争から得た教訓ではないかと。。。

これに対してデサントさんも、きたるべき株主総会の委任状争奪戦も念頭に置きながら伊藤忠さんと協議を継続すると表明しています(たとえば産経新聞ニュースはこちらです)。TOBへの反対表明を補強する意味での広報戦略の意図もありますが、伊藤忠さんのTOBが成功することも想定したうえでの発言と思料いたします。なお、敵対的TOBとは異なり、委任状争奪戦による実質的な支配権取得は2008年のスティールP・アデランス事件以来、何度か成功例がありますので、伊藤忠さんも当然のことながら(TOB終了後の)委任状争奪戦は念頭に置いておられるはずです。

ただ委任状争奪戦の場面でも、スチュワードシップ・コードの影響により、たとえば大株主さんの議決権行使結果の開示や政策保有株式の株式行使基準の設定、議決権行使助言会社の影響力など、支配権争いを取り巻く経営環境が大きく変わりました。オリンパス社に取締役選任を成功させた機関投資家(5%保有)のように、集団的エンゲージメントの手法で投資先のガバナンスに介入する手法もあたりまえの時代になりました。おまけに、ガバナンス・コードの影響により、たとえ争奪戦に負けたとしても、会社側上程議案への企業側の対応表明など、敗者側がさらに作戦を検討する余地もあります。委任状争奪戦の法的な枠組みは変わらずとも、その中身を動かす要素に大きな変動が生じています。

「敵対的買収」というと、かつては米国の先例を参考にして「A社の取締役はこんな善管注意義務違反になるから」「B社の取締役は利益相反のうえで忠実義務を負うから」といったリーガルリスクを前面に出して行為規範を求めることが多かったように思います。しかしながら、パッシブ運用による対話主流の時代となり、企業統治改革が進み、ESG経営の重みが増してきますと、取締役のリーガルリスクを語るだけでは勝敗は決しないように思います。「市場での株主の判断」と「従業員の総意」「海外を含めた消費者の考え方」といったステイクホルダーの賛同をどちらが得られるか、といった要素のほうが勝敗に影響を及ぼすようになったのかもしれません。また、勝敗は裁判や総会で決するのではなく、その後のパフォーマンスによって決まるようになった(経営責任で決まる)と考えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月 6日 (水)

日産前会長会社法違反事件-会社法違反の「過料」を刑事罰に格上げせよ

丸々1カ月、新聞ウォッチングを怠けておりましたので、日産前会長さんの事件の流れを把握できておらず、すっかり情報に疎くなってしまいました。ということで、各紙バックナンバーをチェックしておりますが、近時の新聞記事において目に留まったのが1月30日の毎日新聞朝刊「論点-ゴーン事件の教訓」です。なかでも上村達男先生の「制裁金を含めた法整備を」なる論稿は何度も精読いたしました。

特別背任罪での立件は検察側にとってもハードルが高いのですが、世間の関心は(次から次へと報じられる不正事実によって)刑事立件の可能性に集まっています。一方、長期間にわたり、検察や会社側が指摘しているような不正が経営者によって続けられていたのであれば、なぜこれをもっと早く会社内部で止められなかったのか、という素朴な疑問が前よりも増して強く生じてきます。経営者不正を止められるのは事後の厳罰(刑事立件)か、事前のソフトロー(ガバナンス)か、という選択は、どうも極端に思えます。

そこで上村先生のように(会社法の世界ではありますが)金融庁が登場して行政制裁的な処分をもって対処せよ、という考え方が登場します。経済刑法に詳しい学者の方々にも、検察の人的資源の関係からみて、会社法の過料制裁を刑事罰にいきなり引き上げるとなると、その運用がもたない、というところから行政制裁をもって対処すべし、という意見も有力に出されているようです。でも(たぶん「大人の事情」によるものと思いますが)、法務省と金融庁の所轄の壁は、思いのほか高いので、そう簡単には会社法違反に(金融庁主導による)行政制裁が組み込まれるようには思えないのです。

私は公開大会社で有価証券報告書を提出している株式会社に限り、会社法違反に過料が課されているディスクロージャー規制違反および競業避止、利益相反報告義務違反の行為に対しては刑事罰をもって対処するように改正することを提案したいところです。やや複雑ではありますが、過失ではなく故意の違反行為のみを刑事罰対象として、過失によるものはこれまで通り過料、という運用です。

このたびの日産事件をみておりまして、役員報酬の開示違反を「形式犯」ではなく「実質犯」と捉える風潮になったのであれば、会社を取り巻く利害関係者への報告義務違反も含めて、罰金の対象とすべきではないかと。また、競業避止、利益相反取引の事後報告を懈怠することが刑事罰に該当するとなれば、ソフトローの運用次第ではハードローの厳しいペナルティが待ち構えているとの緊張感が取締役会出席者にも生じて、いまよりもガバナンス改革が進むのではないかと思います。

当ブログでは、これまで3回ほど会社法違反行為を過料から刑事罰対象に引き上げよ・・・と提案してきましたが、今回はそれなりの風が吹いてきたような気もしますが。。。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2019年2月 4日 (月)

今年、企業に必要なのは知財戦略に強い弁護士(だと思う)

昨年4月、企業の国際競争力強化に向けて法務部門を強化すべし、との報告書が経産省から出されて以来、日経新聞でも「国際紛争に強い弁護士待望論」の特集記事が掲載されています。大企業を中心に、国際紛争に強い日本人弁護士が求められていることはわかりますが、今もっとも企業にとって必要とされているのは知財戦略の面で企業を支援できる弁護士だと私は確信しています(ちなみに私はそちらの専門家でもありませんが)。最近、弁護士と弁理士の資格を持った同業者の方々とお話をしていて痛感します。

著作権法や不正競争防止法の平成30年改正が施行され、新らしいビジネスモデルが違法か適法か境界線がますますファジーになっています。新たに保護対象となる「限定提供データ」など、専門家に意見を聞いてみても明確にならない分野がたくさんありますね。つまり「やったもん勝ち」の世界の中で、知財コンプライアンスを正直に(保守的に)遵守するのか、とりあえずやってみて後でクレームがついたらそのときに考えよう、といった態度でビジネスを進めるのか。知財戦略における経営判断は、当該企業の行動規範とも密接に関係すると思います。

システム特許にしても、先日の「いきなりステーキ事件」のように特許の有効性判断が裁判で二転三転していますし、日本企業が不得意とされるオープン&クローズ戦略も知財の活用といった面では良質な経営判断が模索されているところです。「知財」といいますと、いままでは専門性の高い弁護士の方々の専門領域という認識が強かったと思いますが、そういった専門性の強い法律家と(担当部署だけでなく)経営陣がどのようにアクセスしていくか・・・、というところが企業競争力の向上に大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。知財、とりわけ著作権法や不正競争防止法に強いとされる弁護士の方々に、最近すこしばかり「うらやましい」と感じております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月 1日 (金)

当職が委員長を務める第三者委員会報告書が開示されました

昨年末から調査を続けておりました日住サービス社(東証2部)の会計不正事件につきまして、当職が委員長を務めております第三者委員会は本日、報告書を会社に提出し、31日午後4時に全文が開示されました(東証適時開示はこちらです)。調査にご協力いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。とりわけハードなスケジュールの中、精力的にフォレンジックス調査に尽力いただいたデロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリーの皆様には、この場を借りて感謝申し上げます。

「件外調査」の重要性をあらためて認識したものであり、また組織の構造的欠陥について「根本原因」まで遡って解明することの難しさも痛感いたしました。会計監査人と監査役との連携と協調に光をあてて、監査役監査や取締役会の監督機能の発揮場面を詳述する報告書というのも珍しいかもしれません。ぜひコーポレートガバナンスにご興味のある方はご一読いただければ幸いです。ちなみに厚労省の不適切統計で話題となっているような「忖度」は一切ございません。

委員会活動も本日でとりあえず終了しましたので、また「普通の忙しさ」に戻れそうです。ブログも来週から再開しようと思っております。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »