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2019年10月16日 (水)

株主総会実務への影響はどうなる?-アドバネクス株主総会不存在確認等請求控訴事件判決

昨日は危機管理やコンプライアンスに関心のある方にとって重要な裁判を紹介しましたが、本日は株主総会関連の重要判決の話題です。企業法務に関心の高い法律家の方々が「今年の注目判決」としているアドバネクス社の株主総会不存在確認等請求事件の控訴審(東京高裁)の判決日がいよいよ10月17日と迫ってきました(週刊東洋経済有料版記事より)。

昨年、日経法務面でも裁判の様子が報じられたことがありましたが、事案の概要と地裁判決の概要は、こちらの専修大学澤山助教の解説記事が詳しいです。今年3月の一審判決(東京地裁-資料版商事法務4月号31頁)については大阪大学の松尾教授が論稿を書いておられますし、弥永教授も金融・商事判例の巻頭でコメントを出しておられます。東大の田中亘教授は地裁に意見書を提出していますね。

あまりマスコミの話題になっていませんが、会社側、創業者側双方に著名な法律事務所の先生方が代理人に就いていますし、さらには9月にたいへん興味深い決議を求める臨時株主総会も開催されていて目が離せません。とくに書面による議決権行使に関する代理権の制限について、今後の株主総会の実務に多大な影響を及ぼしうる論点がふたつほどあります。どのような判決が出るにしても、法律学者の方々から、たくさん判例評釈が出そうです。会社法改正や企業統治改革による株主総会機能の変容問題、株主総会へのインターネット質問や投票の実務指針制定など、近時の制度面での流れとの関係なども研究課題になるのではないかと。

株主総会関連の重要判例となると、最近ではこのアドバネクス事件とヨロズ事件、そして(少し前になりますが)ユーシン(役員報酬)事件あたりでしょうか。同業者の方で「これも重要ですよ」という最近の裁判例がありましたら、またご教示ください。

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コメント

私たちが時々用いる概念/手法の基礎として、いわゆる「5W1H」がありますが、ビジネス法務の面でも、老若男女に、先ずは「伝達」が必要かと感じる者の一人です。ただ、いきなり専門用語の多用された文面では、大人でさえ、自分の興味以外の物は優先順位は後回し…メディアの発する媒体然り。けれど私の知るドクターは80歳近くの高齢ながら全国系新聞6紙と地方紙に毎日、目を通す…そんな人も存在します。
新聞・テレビ等は、他の事故・事件とのタイミングで掲載の優先が判断される世界ですが、(僭越ながら)ビジネス法務の視点で重要度があればあるほど、パート/非正規/下部社員レベルにも解り易い情報伝達手段として、新聞における「社説」や、朝日新聞なら「天声人語」蘭での掲載がポイントかと思われます。
図書館に行けば新聞は「縮刷版」として半永久的に残りますので、これから法曹界に進もうとする若者視点でも、一般紙の社説などに掲載される事を望む…そんな心境です。

投稿: にこらうす | 2019年10月16日 (水) 07時03分

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