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2019年12月24日 (火)

企業のESGへの取り組みは「リスク管理」→「社会的課題解決」の順序が美しい

最近、経済産業省はいろいろな調査を行っています。私も最近、経産省のアンケート調査に協力しましたが(どんな調査かは、また公表されてからお話いたします)、このたびの機関投資家向け調査では、98%の投資家がESG(環境・社会・企業統治)情報を「投資判断の際に活用している」との集計結果が出たそうで、経産省が24日に公表するそうです(12月23日の日経ニュースより)。ESG投資はもはや時代の流れと言っても過言ではありません。

ただ、今年10月に書きましたエントリー監査役等の職務環境は「見える化」しなければ向上しない) でも述べましたように、世間でESG経営と言われているところと、機関投資家が期待しているところではギャップがあるように思います。

上記日経ニュースでは、

経産省は、「ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査」として24日に公表する。ESG情報を活用する理由として、投資先企業の気候変動リスクへの対応力などをみることで投資リスクを低減させるとの回答が多かった。

と報じられています。つまり、これからの気候変動に企業はどう対応するのか、といった「企業のリスク管理能力」に関心を持っています。機関投資家としては、(有事における)株価のボラティリティが低ければ資本コストを下げてもよい、ということで、まずは中長期的な投資対象にふさわしい投資対象企業のリスク管理面でESG評価を検討している、ということが言えそうです。

一般に、ESGといえば「気候変動の要因を減少させる」といった「社会的課題の解決」(もしくはその解決が業績向上にどう関連するのか、といったストーリー)に思いを寄せる企業が多いのですが、それは順序からすれば「リスク管理」の次に来るのではないでしょうか。まずは中長期的な企業価値の向上というストーリーを描くにふさわしい土壌が存在することを投資家に説明し、そのうえで自社のビジネスモデルが社会の課題を解決できることを(同業他社との比較で)説明する、というのがESG経営の本道と考えます。

 

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コメント

ESG投資と、SDGsが密接な関係がある事は、今さら申すまでもありませんが、農水省のウェブサイトの一つに「17の目標と食品産業とのつながり」という項目が存在しますが、それを眺めつつ…。

(そもそも論で恐縮ですが、「投資」の目的とは一体何なのでしょう。)

手もとの原資金を元手に、儲ける/増やすという狙いの「偏りの大きさ」が、結果的に地球環境を悪化させ、人類はじめ動植物の生命を、長寿/維持どころか、早死/消滅に助長している事に、例え間接的でも加担してきた事の過去の反省と、改善が求められていると思います。

違法伐採や、児童虐待の下で生産された原材料を輸入し、石炭発電で稼働する工場で化学合成して製品化。
(途上国の多くに政府開発援助を悪用する国に血税を投入しかねないチェックの甘さも存在?)
それらを身近:例えば、食べ放題バイキングで提供される食材は、見た目は綺麗で、たらふく食べても摂取出来る栄養素が減少の一途なのは、戦後の栄養成分表の、改訂回数を重ねる度に減少して行く数値が示している様です。
その減少した栄養と味を補う為に、科学合成された添加物過多の調味料・香料で調整加工、水増しソーセージ類や、抗生物質餌飼育の鶏卵を多用、NY等で禁止されている油脂も国内では合法なので、パンやスイーツ類に使い放題で原価低減、その結果での財務上の利益確保に貢献…。そんな「財務諸表上だけの優等生」に投資:それが果たして、機関投資家の良質な責務と言えるのでしょうか…?
出荷/物流を効率化する為に、不揃いの農産物は取引価格が下がるのでと、エンドユーザーの栄養や健康を軽視しての硝酸態窒素を多用による、発がん性物質の多い野菜類を出荷。その成分を含んだ肥料過多が地中に浸透/土壌汚染をしてまでの野菜栽培の横行は国土の耐性の弱体化の一つ。
そんな土壌が、ひとたび大雨や河川氾濫したら海洋に流れ込んで海産物の生育に影響…。
予備校や受験とは無縁の魚場地区で生育した成人の多くは未成年のうちから覚えた煙草をくわえながら漁を行い、その吸い殻は海にポイ捨て、おそらく日本近海に蓄積蔓延しているであろう、マイクロプラスチック同様の間接的に魚介類の不漁を誘発。
男尊女卑が当然と思って生活している多くの一次産業関係者に、国内の食生活は左右され、(何故か緩い)食品関連の法律条例が、結果的に、人口の集中する都市部での成人病や糖尿病患者の増加の一途を助長させている?病院も人手不足なのに、入通院患者は増加し、医療費負担に歯止めがかけられなくなっている?…。

各方面の専門家が指摘されている書籍より、項目の抜粋的な羅列の文面となり恐縮ですが、出産〜育児〜生育を経ての人間の一生を左右する「食」に関する法律・基準の現状が、過去にすり抜けさせて来た罪(と表現すると言い過ぎでしょうか?)は重いのでは?と、僭越ながら感じています。

(早急に法制度類の見直しのスピードを上げないと、SDGsの目標達成どころではないと、危惧します。)

ESG投資に携わる、機関投資家の方々の、更なる高レベルの洞察力と、先見力、そしてリスクマネジメント能力/実動にあらためて期待します。

(数年前に「日経ESG」と誌名変更された、日経エコロジー誌の創刊号の類いを整理しつつ、御用納めを控えたこの時期の、一人のコメント/願望です)

投稿: にこらうす | 2019年12月24日 (火) 12時24分

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