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2019年12月26日 (木)

会社法務A2Z(2020年1月号)にて「攻めと守りの両面から考えるコンプライアンス経営」なる論稿を掲載いただきました。

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東証一部企業において、28%の株式を保有する機関投資家が、当社社長さんを会社法854条に基づく取締役解任の訴えにて提訴したことが明らかになりましたね。いわゆる「有価証券報告書の虚偽記載」を根拠としているようですが、先日もガバナンスに関する記述が課徴金の対象となった事例などもあり、開示規制が厳格になればなるほど、こういった民々での紛争事案が、上場会社においても増えてくるかもしれません。

さて、毎年恒例となりましたが、会社法務A2Z(2020年1月号)「新春企画・企業法務2020年の展望」にて、危機管理・不祥事対策部門で論稿を書かせていただきました。今年のテーマは「攻めと守りの両面から考えるコンプライアンス経営-中堅中小企業を中心に」というものです。

編集者の方から「今年は中小企業向けにコンプライアンス経営に関する論稿をお願いします」とのご依頼を受けまして、たいへん悩みました。

「うーーん、中小企業からみたコンプライアンス経営か・・・。どれだけ経営者の人たちに関心をもってもらえるだろうか・・・」

ということで、例年の構成を180度変えまして、大企業を攻める中小企業の武器としての「コンプライアンス経営」に焦点を当てました。労働法、経済法、情報法いずれの分野でも「優越的な地位の濫用」が問題となるケースが増えており、そうであるならば、行政当局による規制権限の発動を待つよりも、事業者自身が法を活用して競争力を高めるべきではないか、と考えました。

こういった大企業の法令違反(もしくはグレーな行為)について、行政機関に情報提供できる道も確保されつつあります(先日お話した行政機関向け通報処理ガイドラインの浸透など)。最近、「攻めの法務」というフレーズもときどき聞こえてきますが、中小の事業者も(事業を伸ばすために)企業法務を武器にできる時代が来たのではないか・・・とひそかに予想しております。

正直申しまして、新たな視点での論稿なので、自身の狙いどおりの論稿に仕上がっているかどうかは不安であります。ただ、私がズッコケたとしても、専門領域において著名な先生方による論稿が続々登場しますので、そちらでカバーしていただけるはずです(笑 しかし存じ上げている先生が増えたなぁ・・・トシをとった証拠でしょうね)。

「近時の大企業における不祥事例から、2020年、他の企業が教訓とすべきこと」といった例年のテーマでの論稿は、1月に発売されます別の法律雑誌のほうで執筆しておりますので、そちらをお読みいただければ幸いでございます。

 

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コメント

「妻に給料を全額渡し、財布の紐を握られ、毎月の小遣いが決められていて、昼食はワンコイン中心の外食…」という類いの大人が、どのくらい存在するかはわかりませんが、紙媒体又は電子書籍、ネット配信での有料情報等で関心在る情報を全て読みたくても、必要経費で落ちないのでポケットマネーで購入購読…が出来ればまだマシ?、会社に書籍購入を希望しても経理は認めてくれなかったり…。
(広告収入の有無にもよりますが)専門書の類いは価格もそれなりの値段…情報を得る為にお金をかけられる背景は人それぞれ…。若い世代が本を読まなくなったと決めつけるメディアが多いけれど、それでは図書館等で全ての本が読めるのか?と言えば、その地の行政予算で左右されるのが各施設の蔵書購入の実態。
(「武器の調達」次第で勝敗が左右されるのは昔も今も変わらない…)面もあるとは思いますが、現実における賞与の額/格差の如く、中小と大企業との情報格差は、法務/武装の面でも、また法務を武器にして躍動する「兵隊」育成費用の面でも、ハンディが在りそうかと思います。
(勿論、各社/個人のモチベーション次第ですが)

山口先生の唱える、「中小企業の武器としてのコンプライアンス経営」論は大賛成です。

ただ、それにしても、大企業や監督省庁レベルの不祥事の多発に、何故、歯止めが効かないのでしょう?(それとも、組織には昔から不祥事はつきもので、それが「見える化」してきただけ?)不祥事が繁殖する「土壌の悪化/汚染」→悪事や保身に染まる組織の上層部の人の、自制心の弱体/欠落に尽きると思うのは、私だけでしょうか…?

近代経済で、雨後の筍の如く設立されているHD(ホールディング)体制の功罪?→「悪い情報が上がって来なかったので知らなかった」と言う、聞き飽きた言葉を発する御仁の末路は大体決まっていますが、国家が本気でESGを正しく整備する事を考えているのなら、熱意の有る中小/弱者に「法務武装強化」の為の財政支援/補助金の類を提供する仕組み作り:税制改革等を構築/推進しても良いのでは?と思ったりしています・・・。

投稿: にこらうす | 2019年12月26日 (木) 06時18分

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