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2019年12月23日 (月)

総務省元次官情報漏えい事件-日本郵政にも勇気ある役員がいたのか?

日曜日の夜10時30分、ユニゾ社から重要な適時開示がなされましたね。日本で初のEBO(同社が東証に確認した、とのこと)に踏み切り、成立した場合には経営陣はグループ会社も含めて辞任するそうです。今年7月のHISによるTOB以来、揺れに揺れた末の決断のようですが、ここまでに至る経過については真相が知りたいものです。

さて、先週末、総務省の次官が、総務省内における日本郵政グループ向けの行政処分の検討状況を漏らしたとして懲戒処分を受け、当該次官は辞任されました。現役次官による前代未聞の情報漏えいは、総務大臣による内部監察によって判明したそうですが、総務大臣の記者会見によると、内部監察の端緒は「外部からの情報提供」だそうです(21日朝日新聞ニュース「大臣室の会話 漏れた」より)。

元郵政省の先輩・後輩の間での会話を認識しうる立場の方が(証拠を添付して)情報提供したとしか考えられないので、おそらく「外部」というのは日本郵政のことでしょうし、またそれなりの地位にある方からの情報提供だったものと推測されます。なお、平成29年3月21日付け行政機関向けの内部通報ガイドライン改訂版では、通報を受理した行政機関は「通報者の秘密」だけでなく「通報の秘密」も守ることになりましたので、行政機関は情報提供ルートを明らかにすることはありません。

総務大臣は「なぜ漏えいしたのか、その動機は?」という質問に「それなりの事情があったのでしょう」ということで詳しい説明はしませんでした。以前から総務大臣は日本郵政グループ側の対応を問題視していたようですが、あまり詳しい調査を行うと「大人の事情」も出てくるので、とりあえずは「通報への対処」ということに留めておいたものと思います。

しかし日本郵政にとっては最悪の状況です。特別調査委員会報告がなされて、グループの経営陣が「本当に現場で不正な契約締結が横行していたことを知っていたのかどうか」という点に世間の関心が集まるなかで、情報漏えい問題が発覚しました。これではトップの方々が「知らなかった」と主張しても、その信用性が低いものになってしまうでしょうね。それにしても勇気ある方がおられたもので、たいへん驚きました。

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コメント

欧米におけるX’マス期間は、多くの日本人が思っている以上に壮大で海外旅行も活発に行われますが、その中心地:パリで、年金改革に猛反発しての交通機関ストライキが長期化し、大混乱だとか…。ストや不買運動を滅多にしない=不満や抵抗を露にしないのが美徳とでも思っているのが、日本人の大半?
仮に、日本郵政の様々な不祥事類の大きさの判明が、(事務次官の本件の更迭含め)夏頃だったとしても、「今年の年賀はがきは絶対買わない!」と不買運動は起こったかな?と考えたりします。
近年は、手書きの賀状は少数で、コンビニ等で既存印刷タイプの購入や、自宅やオフィスPC/プリンター駆使での賀状が大半なので、「年末限定の基幹産業」と化しています。
(日本郵政Gには不満や怒りはあるけど、自社(若しくは自社家電店で取り扱う)プリンターやインクが売れないのは困るし、減収は株価にも影響する…)というプリンター関連で商売している各社の意向等が、賀状不買にならない…事を逆手に取っての、反省/改革の色が薄い(無い?)としたら、上層部の辞任:更迭のレベルではもはやないと、思います。
速達郵便や、書留の類いも、ひょっとしたら、特別料金も徴収しておいて、実は届いていないというケースも多発しているのでは?と、危惧します。ゆうパック然り。
多くの年金生活者/高齢者が被害を受けた訳ですが、「旧郵便局=お上」感覚を逆手に取った悪行の多さに驚くと共に、マフィア顔負けの組織的犯罪:詐欺行為を、管轄官庁はじめ、国は、そして私たち国民は、日本郵政Gに対しどう対応して行くのか?むしろ海外先進国から問われるのではないでしょうか。
(かといって、フランス革命当時の様に、「ギロチン制裁」する訳にもいかず….)
人間関係の潤滑油的存在である手紙/連絡や、リスクに備える為の保険商品を違法/悪用犯罪して暴利を蓄積してきた組織に、正義のメスを入れ、膿を綺麗に取り除く「名医」の出現を願っていますが、「がん」の転移は、もはや末期症状?一度死んで新たな組織で再生を計るしかないのかも?
悪事に染まった組織の手で届くであろう賀状の現実、(差出人様の想いとは裏腹の)日本郵政Gの懐を温めるしくみでの年賀状…どんな気持ちで2020年の初日の出を感じたら良いのでしょうか・・・。

投稿: にこらうす | 2019年12月23日 (月) 08時07分

高市大臣が「外部からの情報提供」を明らかにして「内部監察の端緒」となったことまで言及されたのには感嘆、感謝したいです。更なる説明も要望したいです。
閣議や各大臣との話し合いのなかで「公益通報者保護」「通報者への不利益扱いの禁止」を真剣に語り合ってほしいと思います。
総務省と日本郵政間での今般の不適切事案が「端緒」となり、政府、行政の法改正への動きが加速することを祈ります。
令和元年、第200回国会では、衛藤晟一消費者担当大臣の委員会での説明でも「公益通報者保護」の言及がありました。
来年の第201回国会に期待し、内閣府消費者委員会にも意見提出する予定です。

投稿: 試行錯誤者 | 2019年12月23日 (月) 19時53分

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