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2020年2月21日 (金)

タッチの差で遅かった!?-ハイブリッド型バーチャル株主総会の実務指針

前のエントリーにて、私の3月の講演が中止になったことをお話しましたが、そんなことよりも深刻なのは3月の定時株主総会(12月決算会社)ですよね。ご承知のとおり、6月総会に次いで3月総会の上場会社は多いわけでして、今年3月に定時株主総会の開催を予定している上場会社は447社に上ります。

約450社の上場会社は、新型コロナウイルスの感染の恐れによる自粛ムードが高まる中で、本当に定時株主総会を開催できるのでしょうか?もちろん「不要不急」の会合ではありませんので、今後、法務省から「総会延期には正当理由あり」といった措置が公表されないかぎりは、開催を前提として準備するのが当然かとは思います。でも、このご時世、株主の方々にご参集いただくことって、少し躊躇しませんかね?

実際、総会指導をされている同業者の方がSNSでおっしゃっていましたが、株主と対面する会社役員の皆様は全員マスク姿で登場すべき、議長をはじめ、マイクで発言する役員は、発言の前にはかならずマイクの消毒を行うこと、また、株主の皆様が発言する場合にも、かならず各株主の発言前にマイクの消毒を怠らないこと等、おそらく「危機対応型株主総会」の開催となりそうです。

ところで、名古屋ウィメンズマラソンが「代替オンライン」による開催に変更された、という記事に触れて、「もう少し早く、バーチャル株主総会の運用指針が出ていたら」と、ふと思いました。2月7日に意見公募が締め切られた「ハイブリッド型バーチャル株主総会の運用指針」のことです。ある会場でリアルに株主総会を開催しているのですが、そこに株主はネットで出席して、質問をしたり、議決権が行使できます(正確にはハイブリッド出席型バーチャル株主総会)。これなら不特定多数の集まる会合はできるだけ控えて・・・といった風潮のときでも安心して株主総会が開けそうです。

ちなみに、このハイブリッド出席型バーチャル株主総会は、現行会社法上でも運用可能とされています。ただ、昨年のアドバネクス事件判決からの教訓かもしれませんが、「なりすまし株主をどうやって見分けるのか」とか「先に委任状や書面投票を済ませた株主の参加をどうするのか」とか、ネット出席株主の権利行使に対する解釈上の問題点がありますので、もめそうな株主総会には向かないかもしれません。ネット環境が脆弱で、途中でネット回線が中断した場合なども、決議の取消事由に該当する可能性があり、ちょっとこわい気がします。

株主との対話促進が要請されている時代を想定した株主総会の在り方が模索されているわけですが、このような社会状況にも活用できるとなりますと、ぜひ先進的に指針を活用する企業が出てきてほしいと思います。

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コメント

2月20日現在、都道県別人口で上位中、山口先生の拠点大阪府は、新型肺炎:陽性反応者ゼロです。
大阪を抜いて2位となった、神奈川/横浜で停留の客船での騒動がここまで影響を及ぼす事を、どれだけの人が想像できたでしょうか。
下船出来ない人達の中には、該当447社の株主も存在すると想像します。

(来月の総会が、新たな契機になりそうです?)

NEC社が、社員6万人にテレワーク等…在宅勤務させる企業は、今後も増加するでしょうし、1カ所集中する事の、環境負荷軽減の視点からも、SDGsの目標事例として定着…という考え方もあっても良いかと思います。行き来する上で発生するクルマ使用=CO2削減など。
そして、本題:総会の中身/権利行使等…ネット回線の中断リスクも、山口先生のおっしゃる通りです。
けれど遠方の株主からはむしろ歓迎されるかも知れません。足の衰えた高齢者視点でも。
日頃足を運ぶ、地元の証券会社や、該当企業の支店:営業所活用等、自宅以外でも参加できる場が出きるとしたら、これまでとは別の公平性が向上する可能性もあるかと思います。

(「全国株懇連合会:一考察」を拝見しますと…)

株主総会プロセスの未来像/36ページでは、
「株主総会の運営面において、いわゆるバーチャル総会を取り入れることが考えられる。バーチャル総会の最大のメリットは、株主の総会参加を容易にすることである。特に遠隔地に居住する株主は、会場への移動時間や費用を気にすることなく、手元のパソコン等を介して自宅や職場から株主総会に 参加することができる。
会社にとっても、バーチャル総会のための関連システムの費用は、会場費や人件費を 削減することで賄うことができると考えられる(株主にお土産を配布している場合や 株主懇親会を開催している場合にはこうした費用も削減できる)。特に大規模総会では、 費用削減効果が大きいであろう。 …」と記述されています。

IT:デジタル面を最大限活用しつつ、アナログ面での良さも残すことも、株主との良好な関係維持の視点から、あっても良いかと考えます。選択肢として。

(お土産といえば…皇族や首相参拝が定例の神宮:お膝元の、あの和菓子企業がまたもや不祥事)

詳細は省きますが、かつての不祥事とは別の、むしろ今回の「反社会的組織との癒着」の方が大問題かと。
実質上の絶対的権力者が先導しての横暴は、時代を逆行する行為ながら、社員は内部告発すら出来なかったのでは?と想像します。
デパ地下や、駅ナカ、ドライブイン等を経営する取引先をも欺いて来た行為を、又その各社の大切なお客様をも裏切った長年の行為が新聞等で報道されました。
別会社での行為とは言え、今の取引先は、今後も赤福餅(悪質餅)を販売し続けるのでしょうか…?マネーロンダリングの如く。
仮に赤福社が上場企業だとしたら、それこそ、バーチャル株主総会でどんな議論になるか?と。
見せかけの法令遵守や、社会的責任等をウェブ上で美辞麗句を並べているだけの企業には、デジタル活用での「制裁」を与える議論の場としても、株主総会プロセスの電子化が推進される事は良い事だと思います・・・。

投稿: にこらうす | 2020年2月21日 (金) 05時26分

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