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2020年3月30日 (月)

関電金品受領問題-責任調査委員会における調査の限界

3月29日の日経朝刊(社会面)に「関電の監査役会 専門委員会を設置-金品受領問題巡り」との見出しで、小さな記事が掲載されていました。関電の金品受領問題で、関電の監査役会が経営陣に対して法的責任の有無を問う委員会を設けるそうです。1か月ほどまでにも共同通信のニュースでも出ていましたが、やはり昨年10月にこちらのエントリーで予想していたとおり、関電現旧役員の法的責任については、先日報告書を提出した第三者委員会とは別個に判断をするようです。

「経営から独立して専門家で作る委員会を創設」とありますので、おそらく独立第三者で構成される責任判定委員会が構成されると思います。ただ、関電の株主からの提訴請求を受けて、関電監査役会が動いた形になっていますので、取締役の職務執行の違法性について判定することは当然ですが、現旧の監査役の方々の職務執行の違法性についてはどうなんでしょうか?監査役会が委嘱する専門調査会ということだと、そもそも監査役の皆様に甘い判断になってしまうのではないか、との懸念が残ります。

もうひとつの問題は、創設される専門調査会には事実認定の権限があるかどうか、という点です。先日まで活動していた第三者委員会が認定していた事実をもとに責任判定を行うのか、それとも第三者委員会の認定した事実とは別に、あらためて責任判定に必要な範囲での事実調査・事実認定ができるのか、ということです。もし新たな事実調査ができるとなりますと、「この委員会にぜひ協力せよ」といった役職員への告知は、監査役会が行うだけではやや迫力不足ではないかと。やはり新社長が「関電が変わるためにも、ぜひ専門調査会に協力せよ」との宣言を強く告知しなければ、新たな事実は見つからないと思います。

上記日経新聞記事だけでは明らかではありませんが、このような問題をきちんと整理しなければ、この専門調査会による責任判定には限界があるように思います。

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コメント

よどみの無い、健全な企業経営には、良好な安定株価が定着する…という構図を願う者の一人としましては、SDGs/ESG視点:原発の可否及び脱石炭火力発電の重責を抱える経営層等に及ぶ、私腹を肥やす誘惑に負けて欲しくないのですが、来月からの送電関連対策も含め、電力の安定供給を管理する役割も忘れないで頂きたいと思っています。
ただ、新型コロナ対応で、電気代が減免云々と議論中の昨今、経営面でどのような舵取りが求められるのかも不透明…かと。
テレワーク/在宅勤務を支える意味でも、電力の安定供給=ブラックアウト回避と併せて、関西の面目躍如を更に推進を…と願っています・・・。

投稿: にこらうす | 2020年3月30日 (月) 06時31分

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