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2020年4月28日 (火)

(閲覧注意)日本郵政「内部通報つぶし」の録音データ公開-あなたはこの局長トップの命令に耐えられるか?

さきほど(4月28日午前10時30分)、朝日新聞のHPに、昨年1月に録取されたと思われる録音データが公開されました(ただし有料会員のみ 有料会員ではない方もデータ音声は聴けるようです、失礼いたしました)。(心臓に悪いのであまり体調の悪い方にはお勧めできませんが)ぜひお聴きいただきたいと思います(「絶対潰す」に震える局長 録音示す日本郵便の風土)。

統括局長曰く、「おまえ、まさかコンプライアンス室に通報してないよな?いまなら許すから正直に言え!俺は辞めた後でも顧問で残るから、きっと誰が通報したのかは、そのときわかる。そのとき局長が関与していることがわかったら、絶対に潰す。普通の社員ならしかたないが、局長(幹部)が通報することは絶対に許されない。みんなで仲良くやってきたではないか、そうやろ?」

問い質された局長の憔悴しきった対応、疲労困憊の様子は聴くに堪えないです。家族がいらっしゃるとしても、この様子では心配です(録音作業を行っていること自体が、安心材料かもしれませんが)。この録音データはぜひとも多くの中間管理職の方々に聴いてほしいです。どんな感想でも結構です。これが会社にとって「あたりまえの風景」ということであれば、20代、30代の若い従業員の方々にとっても気構えが必要ですし、我々、内部通報制度を支援する専門家にとっても、これが当たり前であることを前提に対応しなければなりません。

昨日、日立金属は検査不正が発生していたことを公表し、社内の情報提供が調査の端緒であったことを明らかにしています。今年1月下旬に届けられた1通の内部通報が、10年以上も現場で続いていた検査不正を明らかにしたのです。会社の自浄作用が発揮された一例だと(少なくとも現時点では)理解しました。

公益通報者保護法の改正法案の早期成立が望まれますが、どんな改正をしたとしても、これを運用する企業自身の風土が「旧態依然」ということであれば、通報制度は機能しません。経営トップのコミットメントも大切ですが、それよりも大事なのは「健全なレポートラインも根詰まりを起こす」ということへの中間管理職の意識だと常々考えております。

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コメント

私は有料会員ではありませんが、紹介頂いている朝日新聞のHPのLink先のページで動画が再生できました。

もしかして、有料会員が再生できる動画は別かも知れませんが、日本郵便の企業体質というべきか組織体質の断面を見事に捕らえていると思いました。

でも、それって、旧日本軍の組織管理そのものではないかと思います。日本軍の内部統制制度とは、こうだったんだろうなと思わせてくれる。内部通報制度以前の人権や自由までが制限されて息が詰まるような組織だと思いました。

投稿: ある経営コンサルタント | 2020年4月28日 (火) 12時57分

(開いた口が塞がらず…の心境)

日本郵政って、かつては公共機関/職員は公務員…。
民営化のはるか以前からの悪しき習慣が公務の下でも恫喝を?
そして民営化後の現在:筆頭株主はどこのどなた?
こんな組織に、貴重なマスク送付や、給付金手続き書類を託す事に、
個人情報漏洩等の不安を抱える人は多数存在すると思います。
(私の手元に届けて下さる郵便マンは、善い人に見えますが…。)

投稿: にこらうす | 2020年4月28日 (火) 14時08分

有料会員でなくても動画は再生できるが、記事については、全文:2371文字のうち、有料会員でないと残り:1658文字が読めないということではないかと。まあ、有料会員でなくても読める部分でも内容としては十分ですが。

投稿: unknown1 | 2020年4月28日 (火) 14時20分

かんぽ生命の不適切勧誘問題もそうですが、根底には
何をやってもおれたちは(お上に)守られているんだ
という意識でもあるのでしょうか?
不適切勧誘問題では、規模の大小を問わず、普通の
民間企業なら、金融庁から一発レッドカードです。
契約書の偽造・変造は日常的で、不利益説明は一切
ぜずの詐欺的勧誘…しかも、実行犯は相当数です。
いまだに逮捕者がでず、かつ法人が生きながらえている
のが不思議です。
(問題が大きすぎて、現段階ではイエローカードし
 か切れない事情があるかもしれませんが)

最近は、新型ウイルスの問題がお茶の間を席巻して
いますが、日本経済を支える身としては、
大いに騒ぎ立てたい話題です。

本来、コンプライアンスを率先垂範して部下に示す立場
の幹部がこの意識ですから、残念ながら現場の意識の
醸成と言われても推して知るべしでしょう
(もちろん全員が全員と思っていません。
 ただ、子供に人のもの盗んじゃだめだよ、と叱り
 つけながら、自分(親)は欲しいもの万引きしている
 ような印象です)。

少し前に「あおり運転」の男が傷害や強要等の容疑で
逮捕されましたが、この時はもはや道路交通法の問題
を超えていました。これをきっかけに「あおり運転」
への法整備も進みました。

公益通報法制が出来上がってもう
10年くらいたちますか?
事案は異なりますが、今回の内部通報事案も適用法条を
しっかりと見極めて行為者に対して厳正に社会的非難を
浴びせたうえで、関係法令の改正・厳罰化への見直しを
図るきっかけになることを強く願います。

投稿: かつての法学徒 | 2020年4月28日 (火) 15時06分

悪意に満ちた「企業トップ」の命令に耐えられるはずがありません。
本日、総務省より日本郵政関係の新たな不正、処分の発表もありましたが、監督官庁、所管大臣の「コンプライアンス意識」にすべてが掛かっています。情けないことです。
高市早苗大臣は「意識高く」、公益通報者保護法改正に関する高市大臣本人への要望、行政相談も続けています。

当然、企業は日本国に通報させないよう凄まじい威嚇、恫喝、脅迫をします。
コンプライアンス部門もグルというか、経営陣の命令・威嚇に耐えられず、通報者を「口封じ」します。
中間管理職が倫理観を持ってもトップが威嚇、恫喝、脅迫をしたら潰されてしまいます。
表向きのトップマネジメントがウソなのだから、配下の幹部は通報「損」です。どうしようもない、解決できません。地獄です。
社外役員への通報も強制的に絶たれそうになりましたが、社外役員の皆さんは真摯に対応してくれています。
大企業トップが悪意に満ち満ちていると、通報者は監督官庁にすがるしかありません。

朝日新聞、奥山俊宏様の「現場へ!」連載もタイムリーで、最終回は日本郵政に関する衝撃的な内容でした。
長年の不正を是正させ、国庫に多大な貢献したものとして政府、閣僚、行政にも命を心配されています。
メディアが頑張って不正是正するしかない社会だと、通報者はどうすればいいか悩んでしまいます。

投稿: 試行錯誤者 | 2020年4月28日 (火) 15時09分

記事も全部読める、というわけではないのですね。失礼しました。本文を修正いたしました。ご連絡ありがとうございました。

投稿: toshi | 2020年4月28日 (火) 15時56分

「内部通報制度を支援する専門家にとっても、これが当たり前であることを前提に対応しなければなりません」。
山口先生の本音ですが、大企業経営トップの意識が変わらなければ企業サイトではいくらでも綺麗ごとが並べられ、専門家もなすすべないと思います。
私、首相官邸、安倍総理大臣ほか閣僚に通報したうえで監督省に呼び出されて不正調査協力しました。
それ以前は経営陣に通報し、コンプライアンス部門、人事部との面談通報もし、当該不正部門長や役員にも連絡されて多勢に無勢の怖い思いをしました。
そもそも私が通報したことが当該部門長に知らされたことが今考えると大問題ですが、当時は不正の是正に懸命となり、自己犠牲を払いすぎてしまいました。
国益は回復されても、私は不幸になっていきます。
またコンプライアンス部門を信じてしまったことも大後悔です。
結局、国益に貢献したことを日本国には認められながら、その後も当該企業には不適切な対応を受け、二次被害を政府、行政、当該企業に通報継続しています。

「公益通報者保護法改正」に向け希望を持って、消費者庁、内閣府にも協力してきました。
法改正されても法の網の目をかいくぐって実態が変わらない、政府、行政も勧告権限がないと負のスパイラルに陥り、「通報しなければよかった」と虚しく眠れない日々です。
官邸、関係閣僚には法改正のみでなく、国益に貢献した通報者、行政からの調査協力に貢献した者への報奨制度も検討願いたいです(正直な想い)。

投稿: 試行錯誤者 | 2020年4月28日 (火) 19時12分

「特定郵便局」ということを考えれば、いまだ「昭和」の世界で、コンプライアンス、内部通報なんていうものとは無縁(知識もなく、学ぶこともしないという意味で)な方々がたくさんいらっしゃるということではないでしょうか。
それが放置されたままであるとすれば、まさにトップの責任であり、特定局地主による世襲制がどの程度維持されたままなのかの方が気になりました。

投稿: 元会計監査従事者 | 2020年4月29日 (水) 18時22分

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