事実は「報告書」よりも奇なり
(土日もなく)第三者委員会の仕事で相変わらず忙しくしております。体調はすこぶる元気ですが、新聞もネットニュースもあまり読む時間がないため、ブログネタに乏しく、更新ができないままでしてたいへん申し訳ございません<(_ _)>。
ただ、半沢直樹「帝国航空編」でモデル(?)として登場する(JAL再生)タスクフォースのリーダー富山和彦さんのこちらの毎日新聞インタビュー記事だけはおもしろく読みました。「事実は小説よりも奇なり」という富山さんの言葉のとおり、非常にリアルで参考になりますが、リアルをそのままドラマに仕立てることはむずかしいでしょうね。
そういえば企業不祥事発生時の第三者委員会報告書を(興味本位で)よく読みますが、実際に調査をやる立場だと、ひとつの報告書としてまとめ上げる過程で判明する事実が本当に大切だと感じます。委員の努力の結晶によって判明した事実のように読めることでも、実際にはいろいろな偶然が重なった結果だったりすることもあります。これまでの不正調査の経験をもとに「報告のためのストーリー(仮説)」を立てますが、調査過程で判明した事実によって脆くも仮説が崩れてショックを受けることもありますね。
リモートによるヒアリングでは証拠の価値判断が困難と思われることでも、実際にリアルの現場で五感で感じることによって「心証形成の自信を深めること」もあります。よく「リモート監査」による代替、と言われますが、調査を一生懸命やればやるほど、その心証形成においては大きな差があることを実感します。今後の課題だと思います。
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コメント
第三者ではなく「コンプライアンス部門」に「公益通報者」の立場としてヒアリングされた際、「不正は存在しない」という仮説・バイアスをかけられ、不正を発覚させるまで苦労しました。
そのそも不正を上司に通報した際のパワハラについても、「コンプライアンス部門」に通報しました。
発覚後の「コンプライアンス部門」の反省があれば私も納得するのですが、待っていたのは威嚇・恫喝・脅迫です。
不正が監督官庁から発表された後から、私に対する威嚇・恫喝・脅迫が始まり、日本国政府、関係閣僚に通報して国による不正調査に参加しました。
当該企業の処分が決定し、監督官庁から面談にて「謝意」を受けた直後にも、当該企業から威嚇・恫喝・脅迫を受け、「「不正」を「組織上層部」に通報するのはおかしい」「あなたの常識は一般とは違う」と侮辱され、「社長に通報しないという【念書】」まで書かされそうになりました。
「悔しい」気持ちでいっぱいです。
通報経緯、通報者の不利益経緯、消費者庁の不利益実態調査ほか、内閣府に指示されての「さまざまな行政機関(内閣府消費者委員会公益通報者保護専門調査会の中では【脅迫】は警察に相談すればいいと発言ありました)との面談」経緯を、首相官邸や安倍総理大臣、菅官房長官ほか閣僚に提出し「公益通報者保護法改正」にも役立てていただきました。
新内閣にも引継ぎ、行政機関との面談調整、要請します。
投稿: 試行錯誤者 | 2020年9月14日 (月) 11時03分
山口先生がご紹介されていた次のブログを思い出します。
2020年5月 8日 (金)「第三者委員会の欺瞞」-不祥事の呆れた後始末
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2020/05/post-606c36.html
事実とは複雑であり、企業不祥事発生時の第三者委員会報告書に書かれているのは、その時の、その委員会委員による調査結果であるとの見方で、報告書を私は読んでおります。
複雑な事実は、時が経過して判明する部分もあり、一方でその時が経過して判明したことの事実は常に別の角度からの検討も必要と考えますが、第三者委員会当時では浮かび出ることがなかったことや出来なかったことがあると考えます。
投稿: ある経営コンサルタント | 2020年9月14日 (月) 13時21分