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2020年10月30日 (金)

令和2年改正公益通報者保護法が義務付ける事業者の体制整備等措置義務の内容とは?

10月21日、消費者庁HPに「第1回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会(2020年10月19日)」の資料がアップされました。ずっと気にはなっていましたが、ようやく中身を拝見しました。

令和2年改正公益通報者保護法の第11条4項では、事業者の公益通報対応業務に関する体制整備義務とは、具体的にどこまでの体制を整備すれば果たしたことになるのか、その内容は指針によって定めることになっています。なお、指針の策定は令和3年が予定されており、法施行日(令和4年6月までの日)までに十分な準備期間を確保するそうです。

その「指針」の中身が、資料「ご議論いただきた事項等」でかなり明確になってきましたね。すでに旬刊商事法務2238号「公益通報者保護法改正の概要」(消費者庁立案担当者が執筆)で解説されている事項もありますが、「なるほど、たしかにこんな問題は起こりうるよなぁ」と感心する事項もありますので、とても参考になります。

なお、同法11条では「公益通報への対応体制の整備義務」と規定されていますが、あくまでも「内部通報(事業者内部への公益通報)」への対応体制の整備等措置義務を指すのであり、たとえば内部告発(監督官庁やマスコミへの情報提供)を知って、当該告発事実を調査する、といった体制の整備については指針には含まれないそうです。一般には「公益通報」と「内部通報」の区別があまり認識されていないので、このあたりもわかりにくいところですね。

部下が上司に社内の不正(の疑い)を相談することも「公益通報」に該当するケースがありますが、ではその際「上司」は改正法に基づく「公益通報対応業務従事者」に該当するのでしょうか?つまり「上司」はその情報を正当な理由なく漏洩すると刑事罰の対象になるのか?このあたりも「内部通報」と「公益通報」の区別があいまいだと職務行為を委縮させてしまうことになります。今回の法改正を契機として、事業者の皆様にもぜひ内部通報と公益通報との区別を理解していただきたいところです。

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2020年10月27日 (火)

ハイアス・アンド・カンパニー社の第三者委員会報告書が公表されました。

10月26日、ハイアス・アンド・カンパニー社は当職が委員長を務めます第三者委員会の報告書(公表版)を開示いたしました。一時会計監査人による意見は「限定付結論」ですが、これにより、同社は関東財務局へ遅延していた四半期報告書を提出しました。

委員会が設置された8月31日から約2カ月、弁護士&会計士&フォレンジックチーム(最も多いときは)総勢50名ほどのチームで頑張ってまいりました。激務でしたが、なんとか健康を害することもなく、無事ここまでこれてホッとしております。チームの皆様だけでなく、調査にご協力いただいた皆様にも感謝いたします。報告書に関する感想を述べることは控えますが、第三者委員会の「公共財」としての役割は果たせたのではないか、と思っております。

ということで、永く更新が滞っておりましたが、またブログを再開いたします。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

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2020年10月10日 (土)

金融財政事情に拙稿を掲載いただきました。

Img_20201010_122348_400関西電力の金品受領問題への会社法違反罪の適用、令和元年改正会社法による電子提供制度の安定的な運用、コロナ禍を契機としたバーチャル株主総会への関心の高まり、といった話題に触れますと、会社法改正(刑事罰規定に関する改正)は喫緊の課題であり、今すぐにでも改正作業を開始すべきと考えますが、いかがなものでしょうか。

さて、本日は拙稿のご紹介です。週刊金融財政事情(2020年10月12日号)におきまして「高まる議決権行使助言会社の圧力にどう対処すべきか」と題する論稿を掲載していただきました(原稿執筆が大幅に遅れまして、きんざいさんには大変ご迷惑をおかけいたしました)。

株主総会における機関投資家の発言力が増すにしたがって議決権行使助言会社の影響力も高まりつつあります。その影響力の行使に関する実例を紹介しながら、企業側の対処について語ったものです。もしお時間がございましたら、お読みいただければ幸いです。

第三者委員会の業務が継続しておりまして、ブログが更新できない日々が続いておりますが、業務終了後には、本稿のようなテーマについても私的な意見をここで述べてみたいと思います。

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2020年10月 4日 (日)

日本CSR普及協会セミナー-社外取締役の各種委員会における活動

毎回タイムリーなテーマで内部統制やガバナンスに関連したセミナーを開催しておられる日本CSR普及協会さんですが(私も何度か関西支部の企画には参加しております)、11月6日(金)にWEB形式にて無料セミナーを開催されるそうです。

日本CSR普及協会 2020年度第1回研修セミナー 社外取締役の各種委員会における活動

令和元年改正会社法で(公開会社の監査役設置会社において)社外取締役の設置が義務付けられ、また経産省から社外取締役実務指針も公表されておりまして、社外取締役の活動にも関心が寄せられています。なかでも、平時における指名・報酬委員会や有事における不祥事発生時の調査委員会、事業再編時の公正価値算定委員会での社外取締役の役割(活動)は、会社の長期的な方向性を検討するにあたっては極めて重要です。

たとえば(私的には)このたびの日本ペイントHDさんの「攻めの身売り」と言われる大胆な第三者割当増資などは、昨年の同社における指名諮問委員会でのCEO(田中正明氏)選任、執行のスピードを上げるための指名委員会等設置会社への移行決定が布石となっていますが、このような布石を打つにあたって同社の5名の社外取締役がどう動いたのか、とても興味があります。

社外取締役さんも「取締役会に出席していれば良い」、といった意識を持っておられる方が多いかもしれませんが、①社外取締役の数が増えてきて各社の取締役会における影響力が高まってきたこと、②ネオエコノミー(環境、社会問題に配慮しつつ株主利益の長期的な利益最大化を図る)の考え方が浸透して、取締役会の多様性が必須のものとなってきたこと等から、今後はさらに各種委員会における社外取締役の活動の在り方を論じる必要性が高まってくるのではないでしょうか。各種委員としての役割が社外取締役さんに期待される時代になった、と言えます。

毎回、CSR普及協会のセミナー会場(東京開催分)には100名を超える聴講者の方がお見えになるようですが、今回はWEBでの講演・パネルディスカッションということで、どなたでも事前のお申込みで聴講できるそうです(事前申し込みをされた方に視聴URLが送信されるそうです)。おそらく、社外役員経験の豊富な経営者の方や企業法務の分野で著名な弁護士の皆様によるセミナーですから、具体的な事例などに基づくわかりやすいセミナーが展開されるのではないでしょうか。ご興味のある方はぜひご参加ください(しかし社外取締役も勉強しなければいけない時代になりましたね💦)。

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2020年10月 1日 (木)

第三者委員会は折り返し地点です

ブログの更新が止まっておりますが、9月29日に中間調査報告書が公表されまして、ようやく折り返し地点です。もうしばらくブログはお休みさせていただきますが、なんとか生きておりますので(笑)、引き続きよろしくお願いいたします。

※ ちなみに本日も大阪地裁で興味深い判決が出ておりますね(エディオン・上新電機 損害賠償請求事件)。ぜひ判決全文を読んでみたいのですが、あと1か月くらいは辛抱。

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