お世話になりました-『Business Law Journal』休刊へ
少し前に編集部の方からお聞きしていたのですが、本日(12月23日)、レクシスネクシス社の「Business Law Journal(ビジネスロージャーナル」誌が今月発売の2021年2月号をもって休刊となることを発表しました(リリースはこちらです)。ちなみにリリースでは触れられていませんが、「ローヤーズガイド」等の冊子の発行・各種セミナーの開催といった、Business Law Journalに関連するビジネスもすべて停止するように聞いております。
多くの企業法務のご担当者と同様、私も毎月20日過ぎに発行される中央経済社「ビジネス法務」とレクシスネクシス社「Business Law Journal」を読むのを楽しみにしており、また論稿も何度か同誌に掲載していただいておりましたので、たいへん驚くと同時に本当に残念でなりません(そういえばレクシスネクシス社からは単著「会社法改正のグレーゾーン」も出版していただき、編集者の皆様に赤坂で記念講演までセッティングしていただきましたっけ・・・( ;∀;))。
上記「休刊のお知らせ」によりますと、
本誌は、これまで「リーガルマインドでビジネスを読み解き、最適解を導く」とのコンセプトのもと、読者の皆様のご支援をいただいてまいりました。一方この 10 年という歳月を通して、企業法務をめぐる状況は、グローバル化・ESG・コンプライアンスの深化などその領域は大きく広げられつつあります。また、デジタルトランスフォーメーションなどの新たな情報化の波や COVID19 によってもたらされた新たな日常という社会変革に晒されています。こうした状況から、本誌に求められるニーズは大きく変化いたしました。読者の皆様のご期待に沿うためには、ここで一度立ち止まり、新たな視点から『Business Law Journal』を見つめなおす必要があるとの結論から、今回の判断にいたりました。
とのこと。たしかに法務をとりまく経営環境には大きな変化が生じていることは間違いありませんが、素朴な疑問として、法務担当者だけを購読層としているだけでは採算が合わなくなっている、ということなのでしょうか(他誌に比べてやや値段がお高い、ということも影響しているのかも・・・🐱)。それとも「弁護士ドットコム」に代表されるようなネット主流の情報サービスの時代に、紙ベースによる情報サービスの限界が来ている、ということなのでしょうか(※)。今回の件は企業法務に携わる者として、自身のビジネスの在り方を真摯に考えなければならない課題を含んでいるように思いました。
※・・・ただし、法律論文を執筆する立場としては、ネット上の情報よりも紙ベースの情報のほうが脚注で引用(参照)しやすいのですよね。
「廃刊」ではなく「休刊」ということなので、またいつの日か新たなメディアとして復活していただくことを期待しておりますが、本誌により、これまで様々な勉強をさせていただいたことについて厚く御礼申し上げます。編集に関わってこられた方がまた次のフィールドにおいて法務の企画担当者としてご活躍されることを祈念しております。
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コメント
先ほど、Business Law Journal誌のウェブサイトより、「バックナンバー一覧」を回顧させて頂いていまして…。
ジュリスト誌の良さとは別の、好感/ハイレベルの表紙デザインと、毎号タイムリーな特集や実務解説は、さすが!です。
一覧して…ですが、今年5月号では[実務解説]: 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う法務対応を展開=該当号は「3月24日発売」…と言う事は、企画/編集会議〜原稿作成/編集〜印刷/校正/製本〜取次店等経由で読者の手もと…を逆算すると、2〜3月初めには解説内容は固まっていたかと。(当時のタイミングで、国内:どれだけの企業や行政の組織上層部が「本気で」読まれていたかは…)
クリスマスイブの日に、時間は戻せない歯痒さ(?)。(先日から、地方の市議会/村議会の「コンパニオン会食」報道が続発中ですが、一冊2,530円を惜しまず購読していれば、(事前の法務対応含め)「軽卒だった」と国民や地元住民の前で頭を下げずに済んだかも知れません。)
ジュリスト誌同様に、書店/書棚の配置を考えて、誌の上部に誌のタイトルと号数をレイアウトする定石、さらにカラフル&読み易い書体等は、A4変形判(「ノンノanan判」)からも、多様な購読層に向けたご努力の賜物と、僭越ながら…。
また一つ、JAPANの良き習慣/良書発行の灯火が消えるのは断腸の思いです。
願わくば…ですが、コロナ関連の法改正がスタート地点に立てたからこそ、(規模の大小に関わらず)国内の図書館等で、蔵書保管をしていただきたい貴重書と思います。2020年に限っては、(児童書や郷土文学等とは別枠の)文科省/図書館蔵書の予算に関しても、広義のSDGsの観点からも、「これからの読者」との接点/門戸としても、良書:印刷物の根は絶やして欲しくない…と、
既存概念では、雑誌類は、休刊になると、図書館購読から対象外になるかと…しかし、コロナ騒動拡大中でかつ、関連法の整備半ばの昨今だからこそ、「行動変容」として、国内各所に展開する図書館機能を含めた「一億総、法務の学びの場」展開等の教材的印刷物の一誌と感じています。
(出版社勤務OBの末席者としても)行政予算関係者に懇願したい心境です・・・。
投稿: にこらうす | 2020年12月24日 (木) 10時33分
これは驚きました。残念ですね。
コンテンツもさることながら、デザインやレイアウトなど、同誌の世界観は真似のできない貴重なものでした。再刊されることを期待いたします。
投稿: JFK | 2020年12月24日 (木) 23時28分