関電金品受領問題で私が読み間違えたもの-関電改善実行報告書より
新たに調査案件に関わることになりそうで、またブログの更新が滞るかもしれませんが、元気にやっておりますので、どうかご容赦ください。ただ、私が十数年ほど東京で定宿としておりましたホテルがこの3月末で閉館(廃業)されるそうで(;゚Д゚)、また新たに定宿探しをしなければならないのはつらいところです。東京は緊急事態宣言の延長もありそうで、まだまだ厳しい状況ですね。
さて本日(3月2日)、関西電力による(業務改善命令に対する)実行状況報告書(3回目)が開示されました。そこに昨年11月に全社社員向けに行われた「CSRに関する全従業員アンケート結果」が公表されています。このたびの金品受領問題が社員の方々にどのような意識の変化をもたらしたのか、という点について様々な角度から光が当てられています。
私は金品受領問題が発覚して以来、当ブログでも、また講演等でも「これは原子力部門の組織風土に関するものであって、全社的な風土とは言えない。他の事業部門の社員の人たちも困惑しているのではないか」と書いてきました。しかし、このアンケート結果を読む限り、どうも私の推測はかなり「はずれ」だったようです。
「今回の金品受取問題は、当社グループにおける一部の役職員の問題だったと思いますか」との質問に対して、いいえと回答された方が61%、はいと回答された方が39%という結果であり、全体の6割の社員が「金品受領問題は全社的な問題だ」と捉えているそうです。このアンケート結果に「忖度」はないでしょうから、金品受領問題を発生させた組織風土は(グループを含めた)関電さん全体に存在する、ということなのでしょうね。これは私の読み間違えでした。損失補填問題は他の部門でも起きうる、と回答された方が多いことも、私にとっては意外でした。
なお、「私は関電が好きだ」と回答している社員数が減っていること、「将来、仕事のやりがいが高まる」「当社は持続的成長する」との回答が少なくなっていることは、経営陣にとっても気がかりな点と思います。脱炭素社会のためには原子力はどうしても必要、といった経営方針をとるのであれば、ステークホルダーからの信頼を得ることが「稼働における安心、安全」の大前提です。今回の事例を契機に「当社の未来は明るい」と社員の方々に確信をもっていただけるといいですね。
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コメント
10年前の東日本大震災発生後、東京を含む首都圏では、様々な交通機関が機能低下し「帰宅難民」という表現で報道されました。私は幸か不幸か、出張中に大規模災害に遭遇した事は無く、鉄道/線路を徒歩で帰路につく…という経験もありません。
現在の首都圏は、大規模な地殻変動にこそ悩まされていないまでも、地上:空気中の厄介な物質に悩まされている…そんな首都東京とは桁違いの人口構成なのに、千葉県の(一日あたり報告値)感染者が東京都を上回ったという報道…厚労省が公表している「新型コロナウイルス陽性者数(チャーター便帰国者を除く)とPCR検査 」における、半月余の推移を見て来た限り、千葉県を県境とする別の方向:茨城県の桁違いの陽性者/率に注視してきまして、ふと、約20年前の「東海村 JCO臨界事故を思い出しつつ、山口先生の本エントリーと重ねて、この国で今後も生きて行く為の(周辺の)危機管理の在り様を考えています。
ウィルス感染で時々不安視される「エアロゾル=空気感染」の懸念こそ、コロナウィルスでは心配無さそうですが、「フクシマ」当時、国や電力会社から発する放射性物質汚染を避ける為の避難誘導が、当時正しく展開されたかどうかが、今も疑問視されていると認識しています。水素爆発を起こした原発は今も修理中で、完全廃炉できるのは数年(数十年?)先と報道されています。
仮に、「脱炭素社会のためには原子力発電はどうしても必要」という主張が正しく、かつ多くの支持をされたとしても、毎日多くの地殻変動が続発しているJAPANという国土上に「修理しきれない原発」を更に増やしかねないという意味での懸念材料が(原発推進事業の根底に)あるからこそ、関西電力の社員はじめ電力会社は、(正常な感覚なら絶対避ける)金品贈収賄という綱渡り的な高いリスクを、高給安定な立場にも関わらず進めてしまう…という構図ではないでしょうか。
好きで入社したものの、その様な職務が業務命令と言う形で出されたら、私が電力会社社員だったら、そこにやりがいは感じられず(世話になった電力会社に愛着はあっても)他に職場を求める判断をするかと。若い世代なら尚更、他社などに可能性を求めて転職をするでしょうし…。
ただ現在は、トヨタ社やホンダ社でも、有能な若手社員の離職が多発し、労組の中でも最重要課題となっているという報道に触れると、「こんな組織状況では、やってられないわ!」というマンパワー減退による国力低下を防止する視点での対策が必要…と思うのは、私だけでしょうか・・・。
投稿: にこらうす | 2021年3月 3日 (水) 07時09分
「組織風土」「風通し」は、なかなか改善しないのが事実です。
「我が社はコンプライアンス重視、倫理規定の作成・見直しを不断に行い、通報窓口も設置しています」という企業でも不正は発生するし、通報への対応が遅れることもあります。
私はむしろ、通報を受けたあと迅速に対応する企業のほうが少ないのではないかと思います。
企業に対する通報ののち、行政に通報し、そのあとに受けた不利益を再度、企業に通報して行政に同報している長い期間に「風通しが良くなっている」という明るい実感を得られそうで得られていません。
投稿: 試行錯誤者 | 2021年3月 3日 (水) 17時01分
山口先生 おはようございます
3月6日神戸新聞NEXTのインターネット配信に、日本最大級の生協、創設100年の節目に不祥事 内規違反「トップは想定してなかった」との報道がありました。内規に違反して経営トップが20回以上のゴルフ接待を受けていたとのこと。
6日に会見した山口一史理事長(79)は「生協人は清廉潔白が大前提。応えられない人はふさわしくない」と断罪した。、とありました。
記事には、「総務省幹部らの受けた高額接待が問題となる中、日本最大級の生協は内規に抵触した経営トップの解職に踏み切った。」、とあります。
100年前に神戸で産声を上げたコープこうべは、171万人の組合員を擁する生協に成長した。山口氏は会見の終盤に「組合員に説明して許しを請いたい。これなしに創設100年はありえない」と言い切った。、とあります。
発覚は、内部通報によるものとのことでした。
テレビのCMで、金太郎飴を切りながら・・・「どこを切っても金太郎」というセリフが流れるものがありました。 今度はNTT社長。
かつて日本には、官官接待なるものも存在していました。
談合と官への接待は、日本国病だと断言しても良さそうです。
山口理事長のお話は、コロナ禍での一服の清涼剤となりました。
投稿: サンダース | 2021年3月 7日 (日) 04時57分