花王「美白・ホワイトニング」表現撤廃に他社は追随するか?
ようやく調査案件が終了しましたので、今週からまたブログを更新できそうです。ここ3週間ほど情報をインプットする時間がなかったのですが、できるだけ頑張ってエントリーしますので、またよろしくお願いいたします。
ところで、上のPPTシートは、現在研修講師を務めておりますリスクマネジメント研修(日本監査役協会)の資料からの抜粋でございます。昨年から私がずっと気になっておりました実例を「設問」として取り上げ、現役の監査役、監査等委員の皆様に考えていただくために作成しております。
ちょうど3月27日の日経朝刊の記事では、「花王、美白表現を撤廃-人種の多様性議論に配慮」なる見出しで、花王さんが今後3年ほどの間に、全商品における「美白」「ホワイトニング」なる表現を漸次廃止していくことを決定した、と報じられていました。花王の執行役員の方によると「多様性の観点から議論して決めた。美白という表現によって白い肌がベストと伝わるのは良くないと考えた」とのこと。
日本には化粧品大手がいくつか存在しますが、ユニリーバやロレアル等の世界的企業が「ホワイトニング」表現撤廃に動く中で、どこがどのように対応するのだろうか、と関心を持っておりましたが、花王さんが遂に動き出した、ということと理解しました。ポストコロナの時代を見据えて、企業のコンプライアンスやESG経営への動きがどうなるのか・・・ということについて、改めて私見を述べたいと思いますが、上記記事にもあるように、日本の他の化粧品メーカーさんは花王さんに追随するのか、それとも別の視点で意見を述べられるのか、今後も注目しておきたいと思います。
| 固定リンク
コメント
花王社の方向変換…。
肌の色を含め、外観から起こしてしまう偏見類「やってはいけない言動」に対するリスクマネジメントを、個人/法人レベルで求められる時代:傾向が高まっている…本人の意志に関係無く、生まれ持った特性に対する蔑視を増長しかねないプロモーション戦略の変更…という感じを受けています。
山口先生の本エントリーと同じ3月29日付の国内新聞各紙において、(本人が化粧をしているかどうかは存じませんが)白人ではないアスリートが、また一つ優勝記録を更新した事を、どれだけ紙面を割いて報道しているでしょう。化粧品とは異なる世界ながら、メルセデスベンツ、エプソン等の、世界の冠たる企業郡の広告戦略の場でもあり、コンマ以下のタイムを争う競技でも、肌の色に関係無く、優れたイギリス国籍の選手が活躍中の事も併せて思い出しています。
ポストコロナ下での、化粧品販売戦略の一つとして、例えば国内における「ナオミ・オオサカ」女史の価値に、資生堂社は日焼け止め商品戦略で起用されましたが、日本国籍を持ちながらも、日本人の多くが苦手とされる英語力に堪能と思わせる会見等から出る、高い人間性評価こそ、世界的企業に肩を揃える国内企業のとして、エンドユーザーに発信/貫く方針ではないでしょうか。「美白」からの脱却は、各種多様性展開:その第一歩の様に思います。
商品価値の一つであった「美白」=色という視点に加え、企業のコンプライアンス/ESG視点で方向転換するのであれば、製造過程における原材料調達や、加工〜消費、物流及び容器廃棄にも配慮した化粧品の登場を願うのは私だけでしょうか。
スターバックス社が、オーガニックコットン使用のギフト袋を販売したり、大手製パンメーカーが、全粒粉小麦粉使用の食パン販売を拡大…など、実質本意に原点回帰する商品購入が拡大する様なプロモーション展開をする事も、化粧品業界と一蓮托生的な展開をして来た広告業界の動きとしても、併せて期待したいと思っています・・・。
投稿: にこらうす | 2021年3月29日 (月) 06時31分
この件は、薬機法以下の効能効果表現のしばりがあるため、個々の会社のアクションに他社が追随するかという切り口ではなく、大手が中心になって代替表現の創出など大きな流れを作り、全社一斉に代替表現にシフトする性質の案件かと思います。言い換えれば、代替表現の見通しなしに個社ごとに動くと非常に効率の悪い案件です。わたしが大手化粧品ブランドの経営者であれば、猶予期間を自ら設定できる先行者特権をとるべく、まずは自社のポリシーを打ち出したうえで、全社一斉に動けるような動きを並行して行いますね。
投稿: JFK | 2021年4月 1日 (木) 22時25分