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2021年4月 8日 (木)

CVC、東芝へ買収提案-なぜ初期提案の情報が洩れる( *´艸`)?

Img_20210407_212957_512 英国ファンドのCVCが東芝に2兆円買収提案、という記事は、胸のすくようなひさしぶりの日経新聞トップスクープでしたね。東芝が本日午前8時半に開示した内容は、「今朝の買収提案に関する日経報道は当社が発表したものではありません。昨日CVCから初期提案を受けたばかりであり、詳細情報を集めて取締役会でこれから検討いたします」というものでした。

しかし日経のトップ記事を読むと「CVCは今後、自らの提案に賛同するファンドを募って共同で買収する」とか「現在の株価にプレミアムを3割ほど乗せることができる程度のレンジを想定する」とか、本来は東芝側が判断すべき理由である「非公開化によって経営判断を早める」といった非公開化の目的まで書かれてあります。いくらなんでも昨日の初期提案の内容から、朝刊記事の締め切り時間(4月7日未明)までに書ける内容ではないような・・・( ̄▽ ̄;)

どうして初期提案の情報が日経記者さんに漏れるのかな・・・そういえば日経さんのスクープ記事といえば、2007年のJTと日清食品が加ト吉社買収の検討を行ったときのこと(こちらのブログ記事)を思い出しました。(;^ω^)どう考えても日経さんにタイミング良く「書いてもらった」としか言いようがない(笑)

「いやいや、まだ初期提案を受領したばかりであります。もちろん、今後正式な提案があれば取締役会で真摯に検討してまいります」って、ホンマかいな(笑)と素直に思ってしまいますよね。東芝の現会長さんがCVC会長から転身されたときの記事(2018年2月のこちらの記事)でも、「将来、CVCが東芝の支援をする可能性は否定できない」って書かれてありますし、今後TOBが開始される予定であるにもかかわらず(国益とも関わる東芝の情報技術やエネルギー技術の保護について)経産省や財務省の審査(外為法規制)のための事前相談もまったくなされていないとも考えられないですし、なんといっても日経スクープの早さからしてすでに関係者間でのストーリーが出来上がっているのでは、と思うのは私だけでしょうか(笑)。過去に英国ファンドがJパワーの買い増しに動いたときに、財務省が外為法で中止命令を出した状況とはずいぶんと異なるように思います。

しかしそうなると、東芝の現株主であるファンドの皆様は、3割のプレミアムが上乗せされる、といわれる現在の株式価格が本当に東芝の企業価値を反映したものかどうか、疑いを持つのではないでしょうか。本来ならばもっと株価が上がるような有利な情報を開示していない、といったことはないのでしょうか。子会社における架空循環取引や定時株主総会における議決権集計問題等、株主に対して十分な説明責任を果たしてきたと言えるのかどうか。もちろんCVCの正式な提案があれば、これに対抗する提案も飛び出すかもしれませんが、仮にストーリーがあるとしても、今後シナリオ通りにはなかなかいかないような気もいたします。

もちろん、上記は野次馬的な立場にある私の推測にすぎません(株式取引は自己責任でお願いいたします)。ただ、長期保有を前提とするPEによる(企業統治の在り方が問われる)TOBというのは極めて異例だと思いますし、今後どのような展開となるのか注目しておきます。

 

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コメント

(規模や内容はともかく)令和の現代社会では、「買収」の二文字を報道機関/媒体で見る事は珍しくありませんが、自社内に「買って、収める」形で事業継承するケースとは、今回は異なるかと思われます。

かつてコンビニ業界で再編された「サークルK」が「ファミリーマート」の一部に変容したケース等とは異なり、本件の展開は、買うというより、利益の原資である一種の「原材料仕入れ」かと。「転売」という表現を用いる事には抵抗感があるかも知れません。
(昨年の今頃は、マスクが品薄/争奪戦となり、にわか法規制がありました…)

CVC社が展開する買収劇が合法的に進んだとして、その先:売り先がどこなのか?という視点も重要かと思っています。かつて不正経理等で世間を騒がせた東芝社ですので、再発防止の観点からも、(CVC社の保所有期間含め)正しいガバナンスが機能する会社に売って欲しいと思います。

CVC社の手がけた買収展開で記憶に残るのは、自動車レースの「F1」の統括団体が、欧州の会社から米国の会社に移ったケースです。
ヨーロッパの貴族文化傾向だった五輪規模の世界選手権が、メディア放映はじめ興業自体が米国好みに変容し、ファン層も変わり、盛り上がりに陰りが出た事を知る者として、CVC社の動向に関心が高まります。
(報道では英国ファンドとなっていますが、(おそらく今回も)総本山的拠点/GDP優等生の「ルクセンブルク・マネー」が存在しているかも)

山口先生の本エントリーにも記されている様に、国益を左右する面も東芝社の業務には存在しますから、「霞ヶ関」や、工場等が存在する自治体/省庁諸氏には、コロナ感染リスクおかまいなく歓送迎会をして国内世論の不信不安を煽っている場合ではなく、JAPAN一丸的な「公務ガバナンス」でも本領発揮をしていただきたいと願っています・・・。

(ミネルヴァ書房刊「新時代のグローバル・ガバナンス論」8章:ガバナンス・モード、14章:腐敗防止や17章:企業の社会的責任…などの章を読み始めつつ…のコメントで恐縮です)

投稿: にこらうす | 2021年4月 8日 (木) 08時27分

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