三菱電機の性能偽装(不正検査)事件はかなり罪深い(と思う)
6月30日の深夜に各メディアが報じた三菱電機の性能偽装(不正検査)事件。毎日新聞ニュースによりますと、「三菱電機が鉄道車両向け空調機器の製造過程で、長年にわたって出荷前に必要な検査を怠ったり架空のデータを記入したりしていたことが関係者への取材で判明。不正な検査は35年以上前から繰り返されていたとみられる。同社は『安全性に問題はない』としているが、詳しい社内調査や顧客への説明に着手した。」とのこと。
6月17日の日経朝刊に沢井製薬の社長さんのインタビュー記事が掲載されており、「小林化工の品質偽装によってジェネリックの信頼が大きく毀損された。時間を要することになるが、これから業界挙げて後発薬の信頼の回復に努めていきたい」と述べておられました。
三菱電機では、今年2月の自動車業界への性能偽装事件に続いて、今度は鉄道業界への性能偽装事件の発覚ということで、おそらく大きな不祥事に発展するものと思われます。ただ、三菱電機の偽装事件でもっとも罪深いのは(上記インタビュー記事と同様)「おそらく他の電機メーカーでも似たようなことをやっている」という業界全体の信用問題に発展することです。名門企業であるがゆえに、おそらく今回の性能偽装は「日本企業はどこでも性能偽装をやっている」という印象を世界に広げてしまうことになると思います。業界挙げて信用回復に努める必要があるという事態はとてもマズい。
こちらの記事が三菱電機の過去の不祥事をまとめていますが、それにしても同じ会社でなぜこんなに不祥事が次から次へと発覚するのでしょうか。おそらく組織としての根本原因があると私は確信します。普通の第三者委員会のようなものではなく、2年間程度の時間をかけて外部有識者で構成する「ガバナンス改善委員会」による調査と改善策の実践・検証(最終的には活動報告書の開示)は不可欠ではないでしょうか。会社法上の「社外取締役」ではなく、業務執行にまで手を突っ込める「非常勤社外取締役」(たとえば法律参与)を導入することも検討すべきです。今回の性能偽装事件の詳細が明らかになった時点でまたコメントをしたいと思います。
| 固定リンク
コメント
防止/抑止力という視点で…ですが、
巷で導入が検討されている「炭素税」の如く、税を課す。
不正の場合はペナルティなので「重大不正加算税(仮称)」という計上科目で有価証券報告書に明記義務を与える。
→という風になったとしたら、株主/投資家から総スカンを受けるので、そう易々と不正を続ける事は出来ない…かも知れません。
(子どもへの罰じゃあるまいし、そう甘くはないか?)
不正をしてでも好決算と見せて株価を高めたり、結果的に法人税類を納付してくれれば良いよいう安易な経済発展をしてきた一種の「戦後発展」の呪縛ある限り、その甘い蜜を吸って来た重鎮が現役を退かない限り、雑草の地中深い毛根の如く、根絶は容易ではないのかも知れません・・・。
投稿: にこらうす | 2021年6月30日 (水) 07時21分
現代ビジネスの本日05:01発信のインターネット記事に、『東芝だけか? バフェットが見抜いていた、先が見えない企業に共通する「兆候」』があります。
駆け足で紹介された企業は、本当に訳アリなんですネ。記事で印象に残ったのは、「プロ経営者たちは、もともといたゴキブリを繁殖させただけなのかもしれない……」でした。さて、性能偽装の報道で、金曜会での序列も変わるのでしょうね。子供の頃、組織の三菱、貴族の住友そして人の三井と聞いたことがあります。そういえば、昨年の週間ダイヤモンド10月3日号に、『三菱グループに「落ちこぼれ企業」続出、最強エリート集団の大ピンチ』の記事がありました。
投稿: Candy Candy | 2021年6月30日 (水) 21時28分