取締役会における多様性とLGBTQ社内ガイドライン
本日(7月30日)の日経朝刊で、イギリスでは取締役の4割を女性取締役とする旨のガバナンス指針の改訂が検討されている、と報じられています(2022年1月以降に開始する会計年度より適用)。
本当に悩ましく、まじめな疑問です。日本でも(4割はないとしても)同様の指針改訂が今後予想されますが、たとえば社内のLGBTQガイドラインに沿って男性役員(戸籍上の男性)がトランスジェンダーであることをカミングアウトした場合、多様性の要件は満たされるのでしょうか?現時点での世の中の風潮からすると、私個人としては要件を満たすように思うのですが。
これが満たされる場合、真にトランスジェンダーなのか、そうでない偽装(ESGウォッシング)なのかはどうやって調べるのでしょうか?いくら金融庁でも「あなたがトランスジェンダーであることを証明せよ」というのは(守秘義務とか議論する以前に)個人の尊厳を侵すものとして明らかな国際法上の不正行為ですよね。いや「この10人の取締役のうち、誰がトランスジェンダーなのか報告せよ」といったこともできないかもしれません。取締役の選任議案に記載する、もしくは個別の株主からの問合せに回答する、ということも人権保護の見地から困難ではないでしょうか。
「これまで当社は10名の男性取締役ばかりとされていたが、今後は(当社LGBTQガイドラインに従い)3名の女性によって構成されているため、多様性の要件を満たしている」と開示する会社は、まさにESGの先頭に立つ優良企業ということになるのでしょうか。どなたかSDGsに詳しい方がいらっしゃったら(メールでも結構ですので)ご教示いただければ幸いです。
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コメント
多様性って言葉にまとめていいものなんだろうか、という感じがするところです。
女性取締役要件を企業の男性社会性に対する改善策として考えたときには(特定の、長きにわたり男性として企業内で扱われていた)トランス女性が加わることでその要件を満たしたことにすることには違和感があります。
それはそれとしてトランスジェンダー当事者が加わること自体には意義があろうとは思いますが。
投稿: 紡 | 2021年7月30日 (金) 12時49分