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2021年9月29日 (水)

機関投資家からみた「不祥事懸念企業」と「監査役等に期待する働き」

昨日(9月27日)はANAホテル(大阪)にて、監査役全国会議のシンポジウム 個別テーマⅢ「中堅・中小規模会社における監査役・監査等委員の職分」の収録が行われました(ご登壇者の皆様はこちらのHPからご覧になれます)。私が進行役を務めたのですが、ご登壇者は中堅上場会社の監査役、取締役(監査等委員)の方々と機関投資家の方ということで、たいへんおもしろい内容のシンポが開催できたのではないかと(ひそかに)思っております。

中堅・中小会社監査役向けの分科会行事とはいえ、いずれの会社も任意の指名・報酬委員会を設置していて、社外取締役・社内取締役の構成比が1:1と2:1ということで、大規模会社と全く引けを取らないガバナンス構成です。そのようなガバナンス構成の企業において、監査役員がどのようにアイデンティティを維持しながら「発見力」と「発信力」を高めているのか、その具体的な行動内容をご披露いただいているので、プライム市場に上場する企業の監査役員の皆様にも十分参考になる内容だと思います。

「これって、大規模上場会社でもなかなかできない行動ですよね?」「なのに、なぜ中堅規模の上場会社でこんな監査活動ができるのだろう」という(進行役の)素直な疑問(素朴な疑問)をおふたりの監査役、取締役監査等委員の方々にぶつけてみました。おそらく答えにくい質問も多々あったかたとは思いますが、個々の企業の歴史なども踏まえて語っていただきました。

そして「あくまでも個人の意見ですが」という前提付きではありますが、三井住友DSアセットマネジメントの上席参与の方が「一投資家として、不祥事を懸念する企業のパターン」として、懸念される企業の部類、なぜ懸念されるのか(その理由)、さらに特に懸念が大きいのはこういった企業」として、ご自身の見解をご披露いただきました。パッシブ投資が主流となる中で、こういった考え方が対話(エンゲージメント)及び議決権行使基準の判断のモノサシになるのかも・・・と思いますと、とても興味深い。

さらに「監査役等に期待する働き」として、平時と有事に分けて「機関投資家からみた監査役等のこのような行動こそ大切ではないか」といった行動パターンも整理していただきました。おそらく責任投資分野でのこれまでのご経験を踏まえた整理と思われますので、監査役全国会議に参加される方はぜひとも個別テーマⅢの収録動画をご覧いただければと思います(なお、全国会議へのご参加申し込みはすでに終了しております)

機関投資家からみて、まだまだ監査役等の活動状況の開示は不足しているそうです(監査役等の活動方針の開示内容から、どのような事実を推論するのか、その過程についてもご披露いただきました)。それぞれの監査役会、監査等委員会自身の言葉で活動状況を開示することが大切ですね。ちなみに、私自身は今回は調整役に徹しましたので!(^^)!、ご登壇者のおもしろいお話、監査役員に有益なお話をどこまで引き出すことができたか、ご視聴される皆様の評価にお任せしたいと存じます。私自身もたいへん勉強になりました。ご登壇いただいた方々、運営していただいた日本監査役協会関西支部の方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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コメント

未だコロナウィルスで混迷する昨今、かつては芸能人の話題ばかりだった朝昼のワイドショーでさえ、本日の与党総裁選で一色に染まる様なTVの世界です。
与党内に根深い金権、不祥事等は一体誰が「監査」を正しく出来て来たのでしょう。又、新総裁の下で、はたして、不祥事懸念国家のレッテルは払拭出きるのでしょうか?

偶然?海の向こうのアメリカでは、歴史上初めてのデフォルト懸念が浮上。個人的には、こっちの方が心配:大。
像とアリほどの差のある国土面積なれど、屋台骨が揺らいでいては、ビジネスも法整備も暗礁に乗りかねません。
新総裁決定=万歳三唱?一時的な明るい門出に水をさすつもりではありませんが、タイタニック号の如く、経済の大型船の一つでもある、この国の将来やどんな船出になるのでしょう・・・です。

投稿: にこらうす | 2021年9月29日 (水) 14時57分

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