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2021年10月18日 (月)

内部告発(2号通報、3号通報)がなされた場合の社内体制も重要(改正公益通報者保護法11条4項に基づく指針の解説より)

岸田内閣となり「新しい資本主義実現会議」が新たに設置されることになりましたが、今年1月21日のエントリー「会社法制見直しと公益資本主義vs株主資本主義」でも書いた「危機管理会社法制会議」は復活するのでしょうかね?四半期開示制度の見直しが本気で進むのであれば、会社法制度の見直しにも光があたるような気がしますが・・・・以下本題。

さて、先週木曜日に改正公益通報者保護法に基づく「指針の解説」が公表されたことを速報版として書きましたが、内容を精読すると「指針の解説」にも実務上の重要なポイントがいくつか示されていることに気づきました。

本日は、いくつかの重要ポイントの中でも、これまであまり議論されてこなかった点についてひとつだけご紹介いたします。たとえば社内の不正について監督官庁やマスコミからの問い合わせで経営陣が初めて知ることも多いと思います。「誰がマスコミに流したのか?」「いったい誰が〇〇省の担当者にタレこんだのか?」と詮索したくなります。しかしこれは要注意です。

改正公益通報者保護法の建付けでは「内部公益通報への対応業務従事者の指定」「内部公益通報への対応体制の整備等の措置」がメインテーマとされています。しかし、解説の指針14頁では、外部公益通報がなされた場合の外部通報者への不利益取り扱いの防止、外部公益通報がなされた場合の「範囲外共有」の禁止、通報者の探索行為の禁止も「公益通報者を保護する体制の整備(その他の必要な措置)」に含まれることが明記されています。以前から、この点は疑問に思っておりましたが、ようやく政府の考え方がはっきりした、といった感想です。

したがいまして、内部告発(いわゆる2号通報、3号通報である外部公益通報)がなされた場合に、当該告発者に精神的苦痛を与えるような行動(パワハラ)や正当な理由なく告発者を探索する行為、告発の事実を認識している者が社内で事実を流布する行為は、役員や労働者自身が懲戒処分の対象となり、また法人自体が行政処分の対象となる可能性が高いということです。「内部通報制度」というと、どうしても社内に通報が届いたときの社内対応を想起してしまいますが、外部へ告発がなされた場合にも、犯人捜しをしたり、告発者が判明した時点で(告発者に対して)不利益処分(ハラスメントを含む)を行った場合には、当該行為者だけでなく法人自身にも処分が下される可能性があることにご留意ください。

すでに申し上げておりますが、通報者への嫌がらせが行政処分や懲戒処分の対象になる、ということは、「内部通報」や「内部告発」という行動に出ることを決意した社員が申告することになるので、企業のレピュテーションリスクが顕在化する可能性は高いはずです。会社にとって不誠実と思われる告発に至った者が誰なのか詮索することまで許されないわけではないと思いますが、いずれにせよ、今後は公益通報への対応業務に問題のある企業がプラック企業と評されるリスクは確実に増えるはずです。

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